kaigo cloverhttps://kaigo-clover.comSun, 10 Aug 2025 13:52:15 +0000jahourly1https://kaigo-clover.com/wp-content/uploads/2022/02/cropped-flower_clover-32x32.pngkaigo cloverhttps://kaigo-clover.com3232 【4-5】自立と生活支援【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/independence-and-life-support/https://kaigo-clover.com/independence-and-life-support/#respondSun, 10 Aug 2025 13:51:35 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8311

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家族、地域との関わり

利用者のことを考えるうえで、家族の存在は欠かせません。

利用者とその家族は強い絆で結びついており、お互いの関係は生活の質にも影響してきます。

近くにいて理解してくれる家族もいれば、距離をおいたり、尊厳を傷つけるような対応をする家族もいるかもしれません。

利用者一人ひとりに合った「個別ケア」を実践するためにも、利用者だけでなく、その家族についてもよく知る必要があります。

一方で、家族にもそれぞれの生活があります。

家族の中で介護が必要な人がいることで、これまでの生活リズムや役割に変化が生じ、家族内のバランスが崩れやすくなります。

このバランスを維持するためにも、家族に対応できることは何か、地域のサポートや必要な介護サービスは何か、考える必要があります。

介護福祉職は、地域の様々な専門機関や多職種と連携をしながら、利用者や家族を支援していきます。

家族が地域で孤立しないように支援することも大切です。

生活環境の整備

安心・安全に暮らせることは、自分らしく生きていくうえで、必要不可欠です。

生活の環境について、3つの側面から見ていきます。

物理的環境

安心・安全な環境

住居のある場所や、住居自体が大雨や地震といった自然災害からある程度守られていることが大切です。

介護的な環境

介護の視点では、住居の中についてもよく考えなければいけません。

安全に暮らしていくためには、十分なスペースの確保や、段差の解消といった対応をする必要があります。

利用者が持っている力を引き出すためには、ドアや手すりなどをその人の状態に合わせて設置することも必要です。

快適な環境

室内の温度管理、証明の調整、利用者の好みに合わせた環境であることも大切です。

心理的環境

安心感を持てる、快適であることが大切です。

特に家族との交流が感じられる状態は、大きな安心感を生み出します。

プライバシー確保と同時に、家族とのコミュニケーションが取れるような環境を整えましょう。

また、介護が必要な状態になったとしても、これまでと同じような環境で過ごすことは、精神的な安らぎを生み出します。

これまで使用してきた家具や家電、こだわりの生活用品が身近な場所にあることは、自分らしさを感じたり、安心感を感じる機会になります。

社会的環境

家族との交流だけでなく、地域社会との関わりも大切です。

必要な情報へのアクセスができることや、社会参加のための手段(移動や支援など)が確保されていることなどが挙げられます。

外出を支援するサービスとして、ボランティアやガイドヘルパーによるサポート、交通機関の料金割引、介護タクシーといった移動手段などがあります。

バリアフリー、ユニバーサルデザインの考え方

バリアフリーとユニバーサルデザインは混同されることが多いですが、発案されたきっかけや背景は大きく違います。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違いについて見ていきましょう。

バリアフリー

バリアフリー

障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去すること。

もともと住宅建築用語で登場したため、段差などの物理的障壁の除去を指すことが多いですが、

より広く障害者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味でも使用されます。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザイン

あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。

障害者だったロナルド・メイスが、バリアフリー対応設備の「障害者だけの特別扱い」に嫌気がさして、

最初から多くの方に使いやすいものを作る設計手法として発明されました。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違い

2つの違いを、具体例で考えてみます。

建物の玄関前に段差があるとします。

バリアフリーでは、玄関前にある段差にスロープを付けます。

ユニバーサルデザインでは、設計時点からスロープを計画し、作りあげます。

完成したものはスロープの付いた同じ形状なので、混同されやすいです。

バリアフリーユニバーサル
デザイン
思想・発想生活に障害となる
物理的な障壁の削除
多くの方に使いやすい
デザイン手法
対象者障害者・高齢者全ての人
(個人差や国籍の違いなどに配慮)
普及スタイル行政主導民間主導
バリアフリーとユニバーサルデザインの違い
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【4-4】リハビリテーション【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/rehabilitation/https://kaigo-clover.com/rehabilitation/#respondSun, 10 Aug 2025 13:40:11 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8306

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リハビリテーションの意義、考え方

リハビリテーションとは

リハビリテーションと聞くと、怪我や病気をした後に行う機能を回復させるための訓練を想像する人も多いと思いますが、本来の言葉の意味とは少し異なります。

「リハビリテーション」(Rehabilitation)という言葉は、

re(再び) habilis(適応) -ation(すること)

から成り立っています。

つまり、単なる機能回復ではなく、「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きること」が重要で、そのために行われるすべての活動がリハビリテーションになります。

リハビリテーション

「権利の回復」「名誉の回復」

リハビリテーションの理念は、その人らしい生活を取り戻す、その人らしく生きる権利を回復するという意味で「全人間的復権」と表現されることもあります。

リハビリテーションの歴史

時代とともにリハビリテーションの考え方も変化してきました。

自立生活運動(IL運動)

1960年代に、アメリカ・カリフォルニア州の重度の障害がある学生たちが中心となって行った抗議運動。

大学キャンパス内のバリアフリー化を求めたほか、自立生活支援サービスのプログラムの3原則を提唱した。

  • 障害者のニーズを最も知っているのは障害者自身である。
  • 障害者のニーズは、さまざまなサービスを用意して、総合的なプログラムによって効果的となる。
  • 障害者は、住んでいるコミュニティーの中にできるだけ統合されるべきである。

この運動は全米へと広がり、これまでの専門家が障害の治療をめざすという「医療モデル」から、障害者自身が自立した社会生活をするために必要なサービスを利用し、自己決定をしていく「(自立)生活モデル」(または「社会モデル」)に変えていくべきであると考えられるようになりました。

ノーマライゼーション

1960年代に、デンマークで始まった知的障害者への援助方法の改善を要求した運動から始まった考え方。

1951年に結成された知的障害児親の会から、以下の願いがありました。

  • 1500人収容する大型施設を、20~30人の小規模な施設にすること
  • 社会から分離されている施設を、親や保護者の生活する地域に作ること
  • 障害のない子どもたちと同じような教育を受ける機会を作ること

デンマークの社会省で働いていたバンク-ミケルセンは、知的障害児の親たちからの願いを象徴的に表現する言葉として「ノーマライゼーション」を採用しました。

また、1959年には世界で初めて「ノーマライゼーション」という言葉が用いられた「知的障害者福祉法」がデンマークで制定されました。

インクルージョン

「障害があっても地域で地域の資源を利用し,市民が包み込んだ共生社会を目指す」という理念。

1994年にスペイン・サラマンカで開催されたユネスコの「特別ニーズ教育世界会議」で採択し、宣言された「サラマンカ声明」によって注目を集めました。

生活を通したリハビリテーション

リハビリテーションは専門職が提供するだけではありません。

日常の生活行動や動作を通じて、維持・改善することもできます。

転倒などのリスクに注意しながら、安全を確保するために利用者の動作の特徴や注意点、環境について専門職と連携しながら検討する必要があります。

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【4-3】介護予防【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/nursing-care-prevention/https://kaigo-clover.com/nursing-care-prevention/#respondSun, 10 Aug 2025 13:32:23 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8301

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介護予防の意義、考え方

老年症候群とは

老化に伴って、心や体に様々な症状がまとまって出てくることを老年症候群といいます。

老年症候群

加齢に伴い高齢者に多くみられる、医師の診察や介護・看護を必要とする症状・徴候の総称。

老化現象ともいい、特に75歳以上の後期高齢者に多くみられる。

代表的な症状として、動機や息切れ、めまい、しびれ、尿失禁、転倒、不眠、うつ、認知機能の低下などがあり、

老年症候群の症状・徴候は、50項目以上が存在します。

また、老年症候群の特徴として、複数の症状をあわせ持つことが挙げられます。

このような身体の不調が、日常生活や社会参加の妨げとなることもあります。

このような加齢に伴う心身の変化から活動や参加の機会を守り、要介護状態にならないように健康であり続けるためにも「介護予防」の観点が重要になってきます。

介護予防の目的

厚生労働省によると、介護予防とは

  • 要介護状態になることをできる限り防ぐこと
  • 要介護状態になることをできる限り遅らせること
  • 要介護状態にあっても、その悪化をできる限り防ぐこと
  • 要介護状態にあっても、状態の軽減を目指すこと

と定義されています。

健康な高齢者は、要介護状態にならないようにし、すでに要介護状態にある高齢者は、状態の悪化を防ぎ、改善を目指します。

介護予防システム

介護予防は、対象者と目的によって大きく3段階に分けられています。

生活習慣病予防及び介護予防の「予防」の段階

介護予防マニュアル│厚生労働省

1次予防(活動的な状態)

対象:健康的・活動的な状態にある高齢者

目的:活動や生活機能を維持し、向上させる(予防する)

2次予防(虚弱な状態)

対象:要支援・要介護状態になる可能性の高い高齢者

目的:早期発見・早期対応することで、要支援・要介護状態になることを防ぐ、遅らせる

3次予防(要介護状態)

対象:すでに要支援・要介護状態にある高齢者

目的:重度化を防止するとともに、要介護状態の改善を目指す

1次予防では健康を維持し、2次予防では早期発見・対応し、3次予防では重度化を防止し改善を目指します。

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【4-2】生活意欲と活動【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/motivation-and-activity/https://kaigo-clover.com/motivation-and-activity/#respondSun, 10 Aug 2025 13:13:56 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8297

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社会参加

令和4年版の「高齢社会白書」によると、

  • 65歳以上の30.2%が収入の伴う仕事をしている
  • 65歳以上の51.6%が社会活動に参加している

という結果が見られました。

また、収入の伴う仕事をしている人の方が、収入の伴う仕事をしていない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高く、

社会活動に参加した人の方が、参加していない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した割合が高いことが分かりました。

このことからも、仕事や社会活動といった社会参加が、高齢者の生活の満足度を高めることに関連があることが分かります。

令和4年版高齢社会白書 全体版│内閣府

アクティビティ

自分らしく生活をすることは、生きる意欲につながります。

これまでに獲得してきた知識や技術、趣味などを活かすことで、その人らしい生活を続けることができます。

アクティビティは、その人の生活の質(QOL)を向上させることを目的としたケアになります。

就労に関する支援

日本人は働くことで自己成長や技術向上を追求し、自己実現や社会的価値を重視する傾向があるという研究結果があります。

つまり、働くことで収入を得るだけでなく、生きがいを見出し、技能の向上や成長を求めているといえます。

60歳以上の男女に対する調査結果によれば、仕事を選ぶ理由として「収入がほしいから」が最も多く、次いで「健康のため」「仕事自体が面白いから」「自己実現につながるから」という順になっています。

このような観点から、障害者や高齢者にも働く機会と場を提供することが、高齢化する日本社会の重要な課題と考えられています。

政府は「ニッポン一億総活躍プラン」をはじめ、高齢者の持っている能力を活かすために様々な制度を整備しています。

2020年3月には、厚生労働省が「高年齢労働者の安全と健康保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を公表し、高い労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりを推進しています。

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【4-1】介護福祉における自立支援【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/supporting-independence-in-nursing-care-and-welfare/https://kaigo-clover.com/supporting-independence-in-nursing-care-and-welfare/#respondSun, 10 Aug 2025 11:09:39 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8293

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自立支援の考え方

介護における自立支援とは、介護が必要な人が、できるかぎり自分の能力を活かして自立した生活ができるように、支援・介護をすることです。

自立支援

介護が必要な人が、できるかぎり自分の能力を活かして自立した生活ができるように、支援・介護をすること

できる部分は本人にしてもらい、できない部分を支援するという考え方です。

身体的な自立だけでなく、精神的自立経済的自立など、様々な視点から支援することが求められます。

利用者理解の視点

ICFの考え方

ICFでは、マイナス面(疾病・障害)だけでなく、プラス面(生活機能)にも注目するようになりました。

ICF

国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health)

エンパワメント

エンパワメント

その人が持っている障害やマイナス面に着目して援助をするのではなく、長所、力、強さに着目して援助すること

ストレングス

ストレングス

援助を受ける利用者自身が持つ心理的な意欲や積極性、または身体面の治癒力や残存機能、社会資源などの環境要因の能力や強さのこと

意思決定支援

介護サービスを受けるにあたって、利用者はどのようなサービスを利用したいのか

「十分な説明を受けたうえで、サービスを自己決定する権利」が保障される必要があります。

この権利を保障するためには、利用者にとって必要とされる情報を、本人が理解できる方法で伝える必要があります。

また、利用者本人が意思表示をすることができるかを確認することも大切です。

家屋と意見が異なる場合は、利用者本人の意志を代弁し、意見調整を行うことも必要です。

ライフスタイルの自己決定権

一日の生活リズムや生活動作の方法だけでなく、

生きがいといった人生に対する価値観に合わせて、利用者の生活を支援します。

介護福祉職の思い込みや決めつけによる支援にならないよう、利用者の自己選択の機会を奪わないようにする必要があります。

生命・医療の自己決定権

体調が悪いときに医療機関を受診するかどうか、

生命に関わる緊急事態のときに、延命治療を行うのかなど

利用者の健康に関わる自己決定権を支援します。

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【3-1】専門職の倫理【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/professional-ethics/https://kaigo-clover.com/professional-ethics/#respondSun, 10 Aug 2025 10:57:39 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8288

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職業倫理と法令遵守

日本介護福祉士会倫理綱領

日本介護福祉士会倫理綱領

1995年11月17日宣言

前文

私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。
そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。

(利用者本位、自立支援)

1. 介護福祉士は、すべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。

(専門的サービスの提供)

2. 介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研鑽に励むとともに、豊かな感性と的確な判断力を培い、深い洞察力をもって専門的サービスの提供に努めます。
また、介護福祉士は、介護福祉サービスの質的向上に努め、自己の実施した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。

(プライバシーの保護)

3. 介護福祉士は、プライバシーを保護するため、職務上知り得た個人の情報を守ります。

(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)

4. 介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。

(利用者ニーズの代弁)

5. 介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割であると確認したうえで、考え、行動します。

(地域福祉の推進)

6. 介護福祉士は、地域において生じる介護問題を解決していくために、専門職として常に積極的な態度で住民と接し、介護問題に対する深い理解が得られるよう努めるとともに、その介護力の強化に協力していきます。

(後継者の育成)

7. 介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。

日本介護福祉士会倫理基準(行動規範)

(利用者本位、自立支援)

1. 介護福祉士は、利用者をいかなる理由においても差別せず、人としての尊厳を大切にし、利用者本位であることを意識しながら、心豊かな暮らしと老後が送れるよう介護福祉サービスを提供します。

2. 介護福祉士は、利用者が自己決定できるように、利用者の状態に合わせた適切な方法で情報提供を行います。

3. 介護福祉士は、自らの価値観に偏ることなく、利用者の自己決定を尊重します。

4. 介護福祉士は、利用者の心身の状況を的確に把握し、根拠に基づいた介護福祉サービスを提供して、利用者の自立を支援します。

(専門的サービスの提供)

1. 介護福祉士は、利用者の生活の質の向上を図るため、的確な判断力と深い洞察力を養い、福祉理念に基づいた専門的サービスの提供に努めます。

2. 介護福祉士は、常に専門職であることを自覚し、質の高い介護を提供するために向上心を持ち、専門的知識・技術の研鑚に励みます。

3. 介護福祉士は、利用者を一人の生活者として受けとめ、豊かな感性を以て全面的に理解し、受容し、専門職として支援します。

4. 介護福祉士は、より良い介護を提供するために振り返り、質の向上に努めます。

5. 介護福祉士は、自らの提供した介護について専門職として責任を負います。

6. 介護福祉士は、専門的サービスを提供するにあたり、自身の健康管理に努めます。

(プライバシーの保護)

1. 介護福祉士は、利用者が自らのプライバシー権を自覚するように働きかけます。

2. 介護福祉士は、利用者の個人情報を収集または使用する場合、その都度利用者の同意を得ます。

3. 介護福祉士は、利用者のプライバシーの権利を擁護し、業務上知り得た個人情報について業務中か否かを問わず、秘密を保持します。また、その義務は生涯にわたって継続します。

4. 介護福祉士は、記録の保管と廃棄について、利用者の秘密が漏れないように慎重に管理・対応します。

(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)

1. 介護福祉士は、利用者の生活を支えることに対して最善を尽くすことを共通の価値として、他の介護福祉士及び保健医療福祉関係者と協働します。

2. 介護福祉士は、利用者や地域社会の福祉向上のため、他の専門職や他機関と協働し、相互の創意、工夫、努力によって、より質の高いサービスを提供するように努めます。

3. 介護福祉士は、他職種との円滑な連携を図るために、情報を共有します。

(利用者ニーズの代弁)

1. 介護福祉士は、利用者が望む福祉サービスを適切に受けられるように権利を擁護し、ニーズを代弁していきます。

2. 介護福祉士は、社会にみられる不正義の改善と利用者の問題解決のために、利用者や他の専門職と連帯し、専門的な視点と効果的な方法により社会に働きかけます。

(地域福祉の推進)

1. 介護福祉士は、地域の社会資源を把握し、利用者がより多くの選択肢の中から支援内容を選ぶことができるよう努力し、新たな社会資源の開発に努めます。

2. 介護福祉士は、社会福祉実践に及ぼす社会施策や福祉計画の影響を認識し、地域住民と連携し、地域福祉の推進に積極的に参加します。

3. 介護福祉士は、利用者ニーズを満たすために、係わる地域の介護力の増進に努めます。

(後継者の育成)

1.  介護福祉士は、常に専門的知識・技術の向上に励み、次世代を担う後進の人材の良き手本となり公正で誠実な態度で育成に努めます。

2. 介護福祉士は、職場のマネジメント能力も担い、より良い職場環境作りに努め、働きがいの向上に努めます。

利用者の人権と介護(身体拘束禁止、 虐待防止など)

2001年に厚生労働省は「身体拘束ゼロへの手引き」を作成しました。

この中で、身体拘束がもたらす弊害などを示したほか、身体拘束の対象となる具体的な行為として11項目をあげています。

身体拘束の11の具体例

身体拘束の11の具体例

① 徘徊しないように、車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

② 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。

③ 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。

④ 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。

⑤ 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。

⑥ 車椅子や椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける。

⑦ 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。

⑧ 脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。

⑨ 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。

⑩ 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。

⑪ 自分の意思であけることのできない居室等に隔離する。

一方で、緊急やむを得ない場合は次の3つの要件を満たすなどの条件のもとで、身体拘束が認められています。

身体拘束の3要件

① 切迫性:利用者やほかの利用者の生命や身体に危険が及ぶ可能性が高い場合

② 非代替性:身体拘束以外に大大する介護方法がない場合

③ 一時性:身体拘束は一時的なものである場合

プライバシーの保護

「個人情報」と「プライバシー」はあまり区別されることなく使われますが、

厳密には意味が異なります。

個人情報

本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により特定の個人を識別できる情報のこと

プライバシー

個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利

介護サービスを提供するうえで、様々な個人情報を取り扱うことがあります。

また、入浴介助や排泄介助といった場面では、プライバシーを保護する必要もあります。

個人情報の保護だけでなく、プライバシー保護の視点も持ってサービスを提供する必要があります。

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【2-2】介護福祉士の機能【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/functions-of-certified-care-workers/https://kaigo-clover.com/functions-of-certified-care-workers/#respondSun, 10 Aug 2025 10:26:29 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8274

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介護福祉士の活動の場と役割

地域共生社会

かつての日本では、地域間や家族同士での助け合いなど、お互いを支え合う機能がありました。

次第に社会の変化に応じて、これまで地域や社会が担っていた役割の一部を社会保障として担う必要性が高まり、

病気や障害、出産、子育て、介護といった様々なライフイベントに対して、公的なサービスが拡充されてきました。

このように公的サービスや生活保障の制度が発展した結果、生活保護、児童福祉、障害福祉、介護など、リスク別に制度が発展し、より専門的なサポートが提供されるようになりました。

一方で、一人ひとりが抱えるリスクがより複雑に、より複合的になる中で、これまでの縦割りの公的なサービスの仕組みでは対応しきれないケースが出てきました。

そこで、公的なサービスのような「支え手」「受け手」のような関係のもとで提供されるだけでなく、人と人とのつながりや支え合いを活かしながら、つながることができる地域社会を目指す「地域共生社会」というコンセプトが生まれました。

地域共生社会

社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会のこと

介護予防

従来の介護は、介護が必要な状態になってから対応していましたが、現在では、介護が必要な状態にならないように事前に予防する「介護予防」の視点が重視されています。

介護予防には、要介護状態になることを予防するだけでなく、要介護状態の軽減や、悪化の防止を目的として行われます。

介護予防

要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと

2005年に行われた介護保険法の改正では、これまで1区分であった「要支援」が「要支援1」「要支援2」に分けられました。

2014年の改正では、全国一律で行われていた予防給付が市町村の地域支援事業へと移行されました。

災害

災害が発生した時に特に配慮や支援が必要となる人のことを「要配慮者」といいます。

災害対策基本法では、高齢者、障害のある人、乳幼児のほか、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者なども、特に支援が必要となる人として対象としています。

また、要配慮者のうち、自ら避難することが困難な者であってその円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する人を「避難行動要支援者」といいます。

要配慮者

災害が発生した時に特に配慮や支援が必要となる人

避難行動要支援者

要配慮者のうち、自ら避難することが困難な者であってその円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する人

介護福祉士は、災害時には避難するにあたって、適切な支援を行う必要があります。

避難所では、多職種と連携しながら、その人の生活が継続できるように支援することが求められます。

人生の最終段階

利用者の生活を支援するとともに、人生の最期の段階においても、その人らしく生きることを支援することがとても大切です。

死亡の場所別にみた年次別死亡数

【テーマ1】 看取り 参考資料│厚生労働省

完治が見込めない病気の場合に迎えたい最期の場所

医療的ケア

2012年から、一定の条件のもとで、介護福祉職は医師の指示のもとに喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアの実施が可能となりました。

専門職集団としての役割と機能

職能集団

職能団体とは、専門的資格や知識・技術を持っている専門職が、自分たちの専門性を維持・向上させるために、研修会をはじめとするさまざまな取り組みを行っている組織です。

「専門職能団体」ともいいます。

日本介護福祉士会

医師には医師会、看護師には看護協会があり、介護福祉士には介護福祉士会があります。

介護福祉士会は、1994年に設立されました。

公益社団法人 日本介護福祉士会

介護福祉士の職業倫理の向上、介護に関する専門的教育及び研究を通して、その専門性を高め、介護福祉士の資質の向上と介護に関する知識、技術の普及を図り、国民の福祉の増進に寄与すること

・介護福祉士の職業倫理並びに専門的知識及び技術の向上に関する事業

・介護福祉に関する調査研究に関する事業

・介護福祉士教育機関その他関係団体との連携及び協力に関する事業

・介護福祉士教育機関その他関係団体との連携及び協力に関する事業

・その他本会の目的を達成するために必要な事業

生涯研修体系

日本介護福祉士会は、介護福祉士の専門性を担保し、求められる役割を担うために必要な知識等を習得するための軸となる研修を生涯研修体系として示しています。

生涯研修体系│日本介護福祉士会

介護福祉士基本研修

対象:介護福祉士資格取得後~実務経験2年未満

時間:25時間

内容:介護福祉の専門職である介護福祉士として、生活支援としての介護の視点、自立支援の考え方、介護過程の展開等を学び、根拠に基づいた質の高い介護の実践力を培う研修

ファーストステップ研修

対象:介護福祉士取得後、実務経験2年~3年

時間:200時間

内容:資格取得後の「求められる介護福祉士像」を目指し、小規模チームのリーダーや初任者等の指導係として任用することを期待できる人材養成を目的とする研修

認定介護福祉士養成研修

対象:介護福祉士取得後、実務経験5年以上

時間:600時間

内容:介護職チームに対する教育指導、介護サービスマネジメントを行い、介護職チームのサービスの質を向上させる。地域包括ケアを推進するため、介護サービス提供において多職種との連携・協働を図る。地域における施設・事業所、ボランティア、家族介護者、介護福祉士等の介護力を引き出し、地域の介護力の向上を図る。といった役割の期待される介護福祉士を養成するための研修

学術団体

日本介護学会

日本介護福祉士会が、学術研究の場として2003年に設立した機関。

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【2-1】介護福祉士の役割【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/the-role-of-certified-care-workers/https://kaigo-clover.com/the-role-of-certified-care-workers/#respondSun, 10 Aug 2025 08:51:07 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8272

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社会福祉士及び介護福祉士法(定義、義務、名称独占、登録)

第1章 総則

この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

この法律において「社会福祉士」とは、第28条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第47条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第7条及び第47条の2において「相談援助」という。)を業とする者をいう。

2 この法律において「介護福祉士」とは、第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。

1987年の制定時には「入浴、排泄、食事その他の介護」となっていましたが、2007年の改正で「心身の状況に応じた介護」に変更されました。

次の各号のいずれかに該当する者は、社会福祉士又は介護福祉士となることができない。

 心身の故障により社会福祉士又は介護福祉士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過しない者

 この法律の規定その他社会福祉又は保健医療に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して2年を経過しない者

 第32条第1項第2号又は第2項(これらの規定を第42条第2項において準用する場合を含む。)の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者

第2章 社会福祉士

社会福祉士試験に合格した者は、社会福祉士となる資格を有する。

社会福祉士試験は、社会福祉士として必要な知識及び技能について行う。

社会福祉士試験は、毎年一回以上、厚生労働大臣が行う。

社会福祉士試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない

 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下この条において同じ。)において文部科学省令・厚生労働省令で定める社会福祉に関する科目(以下この条において「指定科目」という。)を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者

 学校教育法に基づく大学において文部科学省令・厚生労働省令で定める社会福祉に関する基礎科目(以下この条において「基礎科目」という。)を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設(以下「社会福祉士短期養成施設等」という。)において六月以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 学校教育法に基づく大学を卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設(以下「社会福祉士一般養成施設等」という。)において一年以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 学校教育法に基づく短期大学(修業年限が三年であるものに限り、同法に基づく専門職大学の三年の前期課程を含む。次号及び第六号において同じ。)において指定科目を修めて卒業した者(同法に基づく専門職大学の前期課程にあつては、修了した者。以下この条において同じ。)(夜間において授業を行う学科又は通信による教育を行う学科を卒業した者を除く。)その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、厚生労働省令で定める施設(以下この条において「指定施設」という。)において一年以上相談援助の業務に従事したもの

 学校教育法に基づく短期大学において基礎科目を修めて卒業した者(夜間において授業を行う学科又は通信による教育を行う学科を卒業した者を除く。)その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、指定施設において一年以上相談援助の業務に従事した後、社会福祉士短期養成施設等において六月以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 学校教育法に基づく短期大学を卒業した者(夜間において授業を行う学科又は通信による教育を行う学科を卒業した者を除く。)その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、指定施設において一年以上相談援助の業務に従事した後、社会福祉士一般養成施設等において一年以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 学校教育法に基づく短期大学(同法に基づく専門職大学の前期課程を含む。次号及び第十号において同じ。)において指定科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、指定施設において二年以上相談援助の業務に従事したもの

 学校教育法に基づく短期大学において基礎科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、指定施設において二年以上相談援助の業務に従事した後、社会福祉士短期養成施設等において六月以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項第二号に規定する養成機関の課程を修了した者であつて、指定施設において二年以上相談援助の業務に従事した後、社会福祉士短期養成施設等において六月以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 学校教育法に基づく短期大学又は高等専門学校を卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、指定施設において二年以上相談援助の業務に従事した後、社会福祉士一般養成施設等において一年以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

十一 指定施設において四年以上相談援助の業務に従事した後、社会福祉士一般養成施設等において一年以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得した者

十二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に定める児童福祉司、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)に定める身体障害者福祉司、社会福祉法に定める福祉に関する事務所に置かれる同法第十五条第一項第一号に規定する所員、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)に定める知的障害者福祉司並びに老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第六条及び第七条に規定する社会福祉主事であつた期間が四年以上となつた後、社会福祉士短期養成施設等において六月以上社会福祉士として必要な知識及び技能を修得した者

厚生労働大臣は、社会福祉士試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。

 厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて社会福祉士試験を受けることができないものとすることができる。

社会福祉士試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。

 前項の受験手数料は、これを納付した者が社会福祉士試験を受けない場合においても、返還しない。

厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下この章において「指定試験機関」という。)に、社会福祉士試験の実施に関する事務(以下この章において「試験事務」という。)を行わせることができる。

 指定試験機関の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。

 厚生労働大臣は、他に指定を受けた者がなく、かつ、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。

  職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。

 二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。

 厚生労働大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。

 一 申請者が、一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。

 二 申請者が、その行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。

 三 申請者が、第二十二条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。

 四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。

 この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者

指定試験機関の役員の選任及び解任は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 厚生労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十三条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。

指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この章において「試験事務規程」という。)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 試験事務規程で定めるべき事項は、厚生労働省令で定める。

 厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

指定試験機関は、試験事務を行う場合において、社会福祉士として必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については、社会福祉士試験委員(以下この章において「試験委員」という。)に行わせなければならない。

 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、厚生労働省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。

 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があつたときも、同様とする。

 第十一条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。

指定試験機関が試験事務を行う場合における第八条第一項及び第九条第一項の規定の適用については、第八条第一項中「厚生労働大臣」とあり、及び第九条第一項中「国」とあるのは、「指定試験機関」とする。

 前項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。

指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

指定試験機関は、厚生労働省令で定めるところにより、試験事務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。

厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、厚生労働省令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。

厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

指定試験機関は、厚生労働大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

厚生労働大臣は、指定試験機関が第十条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。

 厚生労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 第十条第三項各号の要件を満たさなくなつたと認められるとき。

 第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)、第十三条第三項又は第十八条の規定による命令に違反したとき。

 第十二条、第十四条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。

 第十三条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。

 次条第一項の条件に違反したとき。

第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項、第十三条第一項又は第二十一条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

削除

指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、厚生労働大臣に対し、審査請求をすることができる。この場合において、厚生労働大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。

厚生労働大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。

 厚生労働大臣は、指定試験機関が第二十一条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第二十二条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。

厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

 第十条第一項の規定による指定をしたとき。

 第二十一条の規定による許可をしたとき。

 第二十二条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。

 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。

社会福祉士となる資格を有する者が社会福祉士となるには、社会福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。

社会福祉士登録簿は、厚生労働省に備える。

厚生労働大臣は、社会福祉士の登録をしたときは、申請者に第二十八条に規定する事項を記載した社会福祉士登録証(以下この章において「登録証」という。)を交付する。

社会福祉士は、登録を受けた事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 社会福祉士は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。

厚生労働大臣は、社会福祉士が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至つた場合

 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

 厚生労働大臣は、社会福祉士が第四十五条及び第四十六条の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて社会福祉士の名称の使用の停止を命ずることができる。

厚生労働大臣は、社会福祉士の登録がその効力を失つたときは、その登録を消除しなければならない。

登録証の記載事項の変更を受けようとする者及び登録証の再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下この章において「指定登録機関」という。)に社会福祉士の登録の実施に関する事務(以下この章において「登録事務」という。)を行わせることができる。

 指定登録機関の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、登録事務を行おうとする者の申請により行う。

指定登録機関が登録事務を行う場合における第二十九条、第三十条、第三十一条第一項、第三十三条及び第三十四条の規定の適用については、これらの規定中「厚生労働省」とあり、「厚生労働大臣」とあり、及び「国」とあるのは、「指定登録機関」とする。

 指定登録機関が登録を行う場合において、社会福祉士の登録を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を指定登録機関に納付しなければならない。

 第一項の規定により読み替えて適用する第三十四条及び前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。

第十条第三項及び第四項、第十一条から第十三条まで、第十六条から第二十三条まで並びに第二十五条から第二十七条までの規定は、指定登録機関について準用する。この場合において、これらの規定中「試験事務」とあるのは「登録事務」と、「試験事務規程」とあるのは「登録事務規程」と、第十条第三項中「前項」とあり、及び同条第四項各号列記以外の部分中「第二項」とあるのは「第三十五条第二項」と、第十六条第一項中「職員(試験委員を含む。次項において同じ。)」とあるのは「職員」と、第二十二条第二項第二号中「第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第十一条第二項」と、同項第三号中「、第十四条第一項から第三項まで又は前条」とあるのは「又は前条」と、第二十三条第一項及び第二十七条第一号中「第十条第一項」とあるのは「第三十五条第一項」と読み替えるものとする。

この章に定めるもののほか、社会福祉士短期養成施設等及び社会福祉士一般養成施設等の指定に関し必要な事項は政令で、社会福祉士試験、指定試験機関、社会福祉士の登録、指定登録機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は厚生労働省令で定める。

第3章 介護福祉士

介護福祉士試験に合格した者は、介護福祉士となる資格を有する。

介護福祉士試験は、介護福祉士として必要な知識及び技能について行う。

 介護福祉士試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

  学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することができる者(この号の規定により文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において二年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 二 学校教育法に基づく大学において文部科学省令・厚生労働省令で定める社会福祉に関する科目を修めて卒業した者(当該科目を修めて同法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において一年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 三 学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することができる者(この号の厚生労働省令で定める学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)であつて、厚生労働省令で定める学校又は養成所を卒業した後、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において一年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 四 学校教育法に基づく高等学校又は中等教育学校であつて文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定したものにおいて三年以上(専攻科において二年以上必要な知識及び技能を修得する場合にあつては、二年以上)介護福祉士として必要な知識及び技能を修得した者

 五 三年以上介護等の業務に従事した者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において六月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの

 六 前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの

 第六条、第八条及び第九条の規定は、介護福祉士試験について準用する。

厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下この章において「指定試験機関」という。)に、介護福祉士試験の実施に関する事務(以下この章において「試験事務」という。)を行わせることができる。

 指定試験機関の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。

 第十条第三項及び第四項、第十一条から第二十三条まで並びに第二十五条から第二十七条までの規定は、指定試験機関について準用する。この場合において、第十条第三項第一号中「、試験事務の実施」とあるのは「、第四十一条第一項に規定する試験事務(以下単に「試験事務」という。)の実施」と、第十四条第一項中「社会福祉士として」とあるのは「介護福祉士として」と、「社会福祉士試験委員」とあるのは「介護福祉士試験委員」と、第二十三条第一項及び第二十七条第一号中「第十条第一項」とあるのは「第四十一条第一項」と読み替えるものとする。

介護福祉士となる資格を有する者が介護福祉士となるには、介護福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない

 第二十九条から第三十四条までの規定は、介護福祉士の登録について準用する。この場合において、第二十九条中「社会福祉士登録簿」とあるのは「介護福祉士登録簿」と、第三十条中「第二十八条」とあるのは「第四十二条第一項」と、「社会福祉士登録証」とあるのは「介護福祉士登録証」と、第三十一条並びに第三十二条第一項及び第二項中「社会福祉士」とあるのは「介護福祉士」と読み替えるものとする。

試験に合格した後に、手続きをして登録簿への登録が完了しないと介護福祉士と名乗れません。

厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下この章において「指定登録機関」という。)に介護福祉士の登録の実施に関する事務(以下この章において「登録事務」という。)を行わせることができる。

 指定登録機関の指定は、厚生労働省令の定めるところにより、登録事務を行おうとする者の申請により行う。

 第十条第三項及び第四項、第十一条から第十三条まで、第十六条から第二十三条まで、第二十五条から第二十七条まで並びに第三十六条の規定は、指定登録機関について準用する。この場合において、これらの規定中「試験事務」とあるのは「登録事務」と、「試験事務規程」とあるのは「登録事務規程」と、第十条第三項中「前項」とあり、及び同条第四項各号列記以外の部分中「第二項」とあるのは「第四十三条第二項」と、同項第二号中「その行う」とあるのは「その行う職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四条第一項に規定する職業紹介の事業(その取り扱う職種が介護等を含むものに限る。)その他の」と、第十六条第一項中「職員(試験委員を含む。次項において同じ。)」とあるのは「職員」と、第二十二条第二項第二号中「第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第十一条第二項」と、同項第三号中「、第十四条第一項から第三項まで又は前条」とあるのは「又は前条」と、第二十三条第一項及び第二十七条第一号中「第十条第一項」とあるのは「第四十三条第一項」と、第三十六条第二項中「社会福祉士」とあるのは「介護福祉士」と読み替えるものとする。

この章に規定するもののほか、第四十条第二項第一号から第三号まで及び第五号に規定する学校及び養成施設の指定並びに同項第四号に規定する高等学校及び中等教育学校の指定に関し必要な事項は政令で、介護福祉士試験、指定試験機関、介護福祉士の登録、指定登録機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は厚生労働省令で定める。

第4章 社会福祉士及び介護福祉士の義務等

社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。

2007年の改正で「誠実義務」「資質向上の責務」が追加されました。

社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。

社会福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービス(次項において「福祉サービス等」という。)が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

 介護福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、認知症(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第五条の二第一項に規定する認知症をいう。)であること等の心身の状況その他の状況に応じて、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

多職種協働について明記されています。

社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

2007年の改正で「誠実義務」「資質向上の責務」が追加されました。

社会福祉士でない者は、社会福祉士という名称を使用してはならない。

 介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない。

介護福祉士は、名称独占の資格になります。

名称独占

業務そのものは資格がなくてもできるが、国家資格を取得して登録した人だけが名乗ることができる。

例:介護福祉士など

業務独占

資格がなければ、その業務を行うことができない。

例:医師、看護師など

介護福祉士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができる。

 前項の規定は、第四十二条第二項において準用する第三十二条第二項の規定により介護福祉士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。

自らの事業又はその一環として、喀痰吸引等(介護福祉士が行うものに限る。)の業務(以下「喀痰吸引等業務」という。)を行おうとする者は、その事業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

 前項の登録(以下この章において「登録」という。)を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

  氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 二 事業所の名称及び所在地

 三 喀痰吸引等業務開始の予定年月日

 四 その他厚生労働省令で定める事項

次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

 この法律の規定その他社会福祉又は保健医療に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

 第四十八条の七の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前三号のいずれかに該当する者があるもの

都道府県知事は、第四十八条の三第二項の規定により登録を申請した者が次に掲げる要件の全てに適合しているときは、登録をしなければならない。

 医師、看護師その他の医療関係者との連携が確保されているものとして厚生労働省令で定める基準に適合していること。

 喀痰吸引等の実施に関する記録が整備されていることその他喀痰吸引等を安全かつ適正に実施するために必要な措置として厚生労働省令で定める措置が講じられていること。

 医師、看護師その他の医療関係者による喀痰吸引等の実施のための体制が充実しているため介護福祉士が喀痰吸引等を行う必要性が乏しいものとして厚生労働省令で定める場合に該当しないこと。

 登録は、登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。

 登録年月日及び登録番号

 第四十八条の三第二項各号に掲げる事項

登録を受けた者(以下「登録喀痰吸引等事業者」という。)は、第四十八条の三第二項第一号から第三号までに掲げる事項を変更しようとするときはあらかじめ、同項第四号に掲げる事項に変更があつたときは遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 登録喀痰吸引等事業者は、喀痰吸引等業務を行う必要がなくなつたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 前項の規定による届出があつたときは、当該登録喀痰吸引等事業者の登録は、その効力を失う。

都道府県知事は、登録喀痰吸引等事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて喀痰吸引等業務の停止を命ずることができる。

 第四十八条の四各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至つたとき。

 第四十八条の五第一項各号に掲げる要件に適合しなくなつたとき。

 前条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けたとき。

都道府県知事は、次に掲げる場合には、その旨を公示しなければならない。

 登録をしたとき。

 第四十八条の六第一項の規定による届出(氏名若しくは名称若しくは住所又は事業所の名称若しくは所在地に係るものに限る。)があつたとき。

 第四十八条の六第二項の規定による届出があつたとき。

 前条の規定により登録を取り消し、又は喀痰吸引等業務の停止を命じたとき。

第十九条及び第二十条の規定は、登録喀痰吸引等事業者について準用する。この場合において、これらの規定中「厚生労働大臣」とあるのは、「都道府県知事」と読み替えるものとする。

第四十八条の三から前条までに規定するもののほか、喀痰吸引等業務の登録に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第5章 罰則

第四十六条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第十六条第一項(第三十七条、第四十一条第三項及び第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第二十二条第二項(第三十七条、第四十一条第三項及び第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定による第十条第一項若しくは第四十一条第一項に規定する試験事務(第五十四条において単に「試験事務」という。)又は第三十五条第一項若しくは第四十三条第一項に規定する登録事務(第五十四条において単に「登録事務」という。)の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした第十条第一項若しくは第四十一条第一項に規定する指定試験機関(第五十四条において単に「指定試験機関」という。)又は第三十五条第一項若しくは第四十三条第一項に規定する指定登録機関(第五十四条において単に「指定登録機関」という。)の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 第三十二条第二項の規定により社会福祉士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、社会福祉士の名称を使用したもの

 第四十二条第二項において準用する第三十二条第二項の規定により介護福祉士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、介護福祉士の名称を使用したもの

 第四十八条第一項又は第二項の規定に違反した者

 第四十八条の三第一項の規定に違反して、同項の登録を受けないで、喀痰吸引等業務を行つた者

 第四十八条の七の規定による喀痰吸引等業務の停止の命令に違反した者

次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

 第十七条(第三十七条、第四十一条第三項及び第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。

 第十九条(第三十七条、第四十一条第三項及び第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 第二十条第一項(第三十七条、第四十一条第三項及び第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

 第二十一条(第三十七条、第四十一条第三項及び第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の許可を受けないで試験事務又は登録事務の全部を廃止したとき。

次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

 第四十八条の九において準用する第十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 第四十八条の九において準用する第二十条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第五十三条第四号若しくは第五号又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

医師法第17条及び保助看法第31条の解釈(通知)に基づく内容

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について

医師、歯科医師、看護師等の免許を持っていない者による医業は、法律によって禁止されています。

医業とは、医行為のことです。

医業

当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと

平成17年7月26日に発出された「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(医政発第0726005号)において、介護の現場で行われる「原則、医行為でないと考えられる行為」について示されました。

(別紙)

1 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること

2 自動血圧測定器により血圧を測定すること

3 新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること

4 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む。)

5 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族に伝えている場合に、事前の本人又は家族の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。

① 患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること

② 副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと

③ 内用薬については誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと

注1 以下に掲げる行為も、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。

① 爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること

② 重度の歯周病等がない場合の日常的な口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒又は巻き綿子などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること

③ 耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)

④ ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること。(肌に接着したパウチの取り替えを除く。)

⑤ 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと

⑥ 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(※)を用いて浣腸すること

※ 挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下、6歳から12歳未満の小児用の場合で20グラム程度以下、1歳から6歳未満の幼児用の場合で10グラム程度以下の容量のもの

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)│厚生労働省

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)

介護現場で実施されることが多いと考えれる行為のうち、平成17年の通知に記載はないもので「医行為ではないと考えられる行為」が新たに整理されました。

(別紙)

(在宅介護等の介護現場におけるインスリンの投与の準備・片付け関係)

1 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、あらかじめ医師から指示されたタイミングでの実施の声かけ、見守り、未使用の注射器等の患者への手渡し、使い終わった注射器の片付け(注射器の針を抜き、処分する行為を除く。)及び記録を行うこと。

2 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、患者が血糖測定及び血糖値の確認を行った後に、介護職員が、当該血糖値があらかじめ医師から指示されたインスリン注射を実施する血糖値の範囲と合致しているかを確認すること。

3 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、患者が準備したインスリン注射器の目盛りが、あらかじめ医師から指示されたインスリンの単位数と合っているかを読み取ること。

(血糖測定関係)

4 患者への持続血糖測定器のセンサーの貼付や当該測定器の測定値の読み取りといった、血糖値の確認を行うこと。

(経管栄養関係)

5 皮膚に発赤等がなく、身体へのテープの貼付に当たって専門的な管理を必要としない患者について、既に患者の身体に留置されている経鼻胃管栄養チューブを留めているテープが外れた場合や、汚染した場合に、あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うこと。

6 経管栄養の準備(栄養等を注入する行為を除く。)及び片付け(栄養等の注入を停止する行為を除く。)を行うこと。なお、以下の3点については医師又は看護職員が行うこと。

① 鼻からの経管栄養の場合に、既に留置されている栄養チューブが胃に挿入されているかを確認すること。

② 胃ろう・腸ろうによる経管栄養の場合に、び爛や肉芽など胃ろう・腸ろうの状態に問題がないことを確認すること。

③ 胃・腸の内容物をチューブから注射器でひいて、性状と量から胃や腸の状態を確認し、注入内容と量を予定通りとするかどうかを判断すること。

(喀痰吸引関係)

7 吸引器に溜まった汚水の廃棄や吸引器に入れる水の補充、吸引チューブ内を洗浄する目的で使用する水の補充を行うこと。

(在宅酸素療法関係)

8 在宅酸素療法を実施しており、患者が援助を必要としている場合であって、患者が酸素マスクや経鼻カニューレを装着していない状況下における、あらかじめ医師から指示された酸素流量の設定、酸素を流入していない状況下における、酸素マスクや経鼻カニューレの装着等の準備や、酸素離脱後の片付けを行うこと。ただし、酸素吸入の開始(流入が開始している酸素マスクや経鼻カニューレの装着を含む。)や停止(吸入中の酸素マスクや経鼻カニューレの除去を含む。)は医師、看護職員又は患者本人が行うこと。

9 在宅酸素療法を実施するに当たって、酸素供給装置の加湿瓶の蒸留水を交換する、機器の拭き取りを行う等の機械の使用に係る環境の整備を行うこと。

10 在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、医師又は看護職員の立会いの下で、人工呼吸器の位置の変更を行うこと。

(膀胱留置カテーテル関係)

11 膀胱留置カテーテルの蓄尿バックからの尿廃棄(DIBキャップの開閉を含む。)を行うこと。

12 膀胱留置カテーテルの蓄尿バックの尿量及び尿の色の確認を行うこと。

13 膀胱留置カテーテル等に接続されているチューブを留めているテープが外れた場合に、あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うこと。

14 専門的管理が必要無いことを医師又は看護職員が確認した場合のみ、膀胱留置カテーテルを挿入している患者の陰部洗浄を行うこと。

(服薬等介助関係)

15 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族等に伝えている場合に、事前の本人又は家族等の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、水虫や爪白癬にり患した爪への軟膏又は外用液の塗布(褥瘡の処置を除く。)、吸入薬の吸入及び分包された液剤の内服を介助すること。

① 患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること

② 副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと

③ 内用薬については誤嚥の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと

(血圧等測定関係)

16 新生児以外の者であって入院治療の必要ないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメーターを装着し、動脈血酸素飽和度を確認すること。

17 半自動血圧測定器(ポンプ式を含む。)を用いて血圧を測定すること。

(食事介助関係)

18 食事(とろみ食を含む。)の介助を行うこと。

(その他関係)

19 有床義歯(入れ歯)の着脱及び洗浄を行うこと。

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)│厚生労働省

介護福祉士資格取得者の状況

2023年(令和3年)9月時点での介護福祉士の資格登録者数は、約181万人となっています。

介護福祉士の登録者数の推移

介護福祉士の登録者数の推移│厚生労働省

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【1-3】介護福祉の基本理念【A:介護の基本】https://kaigo-clover.com/basic-principles-of-nursing-care-welfare/https://kaigo-clover.com/basic-principles-of-nursing-care-welfare/#respondSun, 10 Aug 2025 08:35:03 +0000https://kaigo-clover.com/?p=8266

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尊厳を支える介護

ノーマライゼーションの思想

デンマークのバンク・ミケルセンによって、障害者に対する行政改革を通して誕生したのが、ノーマライゼーションの考え方になります。

ノーマライゼーション

障がいのある方でもない方でも同じような生活を送れること

その後、ノーマライゼーションの考え方はスウェーデンのニィリエによって、8つにまとめられ、ヨーロッパだけでなく、アメリカにも広がりました。

ノーマライゼーションの8つの原理

① 一日のノーマルなリズム

② 一週間のノーマルなリズム

③ 一年間のノーマルなリズム

④ ライフサイクルにおけるノーマルな発達経験

⑤ ノーマルな個人の尊厳と自己決定権

⑥ ノーマルな性的関係

⑦ ノーマルな経済水準とそれを得る権利

⑧ ノーマルな環境形態と水準

ノーマライゼーションの原理は、国連の「障害者の権利に関する宣言」(1975年)のベースとなり、世界的にも広がっています。

QOLの考え方

QOLの考え方が社会福祉で取り入れられるようになったのは、1980年代に入ってからになります。

それまでは、医療やリハビリテーションの分野で用いられていました。

リハビリテーション分野のADLの考え方が主流だった時代から、次第にQOLという新しい側面で考えられるようになりました。

ノーマライゼーションやQOLといった考え方が、介護の分野でも取り入られるようになりました。

自立を支える介護

自立支援

社会福祉法第3条には「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援する」と記載されています。

利用者が自己決定をすることができる「自立」を支援していくことが、介護福祉職には求められます。

自分の生活のあり方を決める権利を「自己決定権」といいます。

自己決定権の中でも「生活に関する自己決定権」と「健康に関する自己決定権」を保障することが重要になります。

生活に関する自己決定権

1日をどのように過ごすのか、どのような人生を歩むのかなど

健康に関する自己決定権

病気になったときにどんな治療を受けるのか、延命処置を希望するのかなど

利用者主体

自己決定権があっても、十分に情報を持っていなかったりすると、自分にあった選択ができなかったり、自分らしい生活ができない場合も考えられます。

介護福祉職には、利用者に対して「十分な情報を提供し、受けるサービスを自己決定できるように支援する」ことが求められます。

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日本における介護の歴史

介護福祉の歴史について、まずは年表で確認しましょう。

1960年代

1963年 老人福祉法の成立

1970年代 介護サービスの量的向上

1970年 社会福祉施設の緊急整備について

1973年 老人医療費支給制度

1980年代 介護サービスの質的向上

1983年 老人保健法の実施

1987年 社会福祉士及び介護福祉士法の成立

1989年 ゴールドプランの策定

1990年代

1990年 老人福祉法等の一部を改正する法律

1994年 新ゴールドプランの策定

1999年 ゴールドプラン21の策定

2000年以降

2000年 介護保険法の施行

▼年代ごとに詳しく見ていきましょう▼

終戦後

終戦後、日本では多くの人が食料や住宅、仕事を失い、国全体が貧困となっていました。

その中で、国民の生活を保障するために1946年に「(旧)生活保護法」が制定されました。

さらには、戦争孤児への対応策として1947年に「児童福祉法」

戦争によって身体障害となった人の更生を目的として1949年に「身体障害者福祉法」

1950年には、「(旧)生活保護法」の問題点を改善した「(現)生活保護法」が制定されました。

これら3つの法律は「福祉三法」と呼ばれています。

福祉三法

「生活保護法」(1946年制定→1950年改正)

「児童福祉法」(1947年)

「身体障害者福祉法」(1949年)

また、「(現)生活保護法」において、養老院は養老施設へと名称が変更されました。

当時、養老施設に入所する人のほとんどが貧困で、生活保護が必要とされる高齢者となっていました。

1960年代

児童福祉法では、18歳未満の知的障害児が対象となっていなかったため、1960年に「精神薄弱者福祉法」が制定されました。(現在は「知的障害者福祉法」に名称が変わりました。)

1963年には、「老人福祉法」が制定され、「養老施設」は「特別養護老人ホーム」「養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」へと細分化されました。

1964年には、戦争で夫を亡くした人の生活を安定させるために、「母子福祉法」が制定されました。

これら3つの法律に福祉三法を加えて、「福祉六法」と呼ばれています。

福祉六法

「生活保護法」(1946年制定→1950年改正)

「児童福祉法」(1947年)

「身体障害者福祉法」(1949年)

  +

「精神薄弱者福祉法」(1960年) ※現在の「知的障害者福祉法」

「老人福祉法」(1963年) 

「母子福祉法」(1964年) ※現在の「母子及び父子並びに寡婦福祉法」

特に老人福祉法は、社会的に介護への対応が始まった重要な法律になります。

介護を行うために、特別養護老人ホームと老人家庭奉仕員が決められました。

老人家庭奉仕員は、現在の訪問介護員になります。

1970年代

特別養護老人ホームでは、収容人数が足りないなど社会福祉施設を拡充する必要がありました。

これに対応するために、老人福祉施設の収容人数の整備が図られました。

また、「老人福祉法」が改正され、1973年に「老人医療費支給制度」がはじまりました。

これにより、70歳以上の老人の医療費が無料となりました。

この年は「福祉元年」と呼ばれています。

ほかにも、在宅サービスを拡充するために1978年に「ショートステイ」、1979年に「デイサービス」が創設されました。

これは、国の補助事業として、市町村が主体となって実施されました。

老人医療費支給制度によって、医療費は増大し、特別養護老人ホームに入所できない高齢者を病院に入院させるという「社会的入院」にもつながりました。

1980年代

  • 社会福祉士及び介護福祉士法の成立
  • 老人医療費の有料化
  • 老人保健施設の創設

増加する医療費に対応するために、1982年に「老人保健法(現:高齢者の医療の確保に関する法律)」が制定されました。

これによって、70歳以上の老人の医療費については自己負担が導入され、老人の医療費は有料となりました。

また、1986年には「老人保健法」が改正され、「老人保健施設(現:介護老人保健施設)」が創設されました。

医療と介護を一体的に提供できる施設としてスタートしました。

1987年には、「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され、介護分野初の国家資格となる「介護福祉士」が誕生しました。

1990年代

1990年に「老人福祉法等の一部を改正する法律」が公布されました。

これまでは国の補助事業として行われていたショートステイやデイサービスといった在宅サービスが、老人福祉施設として明確に位置づけられました。

1994年には「新ゴールドプラン」が策定されました。

1999年には、新ゴールドプランを引き継ぐ形で「ゴールドプラン21」が策定されました。

2000年からの5年間で、基本的な目標が4つ掲げられました。

ゴールドプラン21の基本的な目標

・活力ある高齢者像の構築

・高齢者の尊厳の確保と自立支援

・支え合う地域社会の形成

・利用者から信頼される介護サービスの確立

2000年代

1997年に成立した「介護保険法」は、200年に施行されました。

介護保険法が成立した背景として、

  • 高齢化に伴う高齢者の増加
  • 核家族化の進行
  • 介護離職の増加

などが挙げられます。

こうした中で、家族の負担を減らし、社会全体で高齢者を支えることを目的として、介護保険制度が創設されました。

介護福祉士の成り立ち

1987年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され、介護福祉士について定義がされました。

その後も介護ニーズの変化に対応するために、介護福祉士の定義も改正されてきました。

これまでに行われた2回の改正の内容について、確認しましょう。

介護福祉士の行う「介護」の内容の変遷

1987年制定 入浴、排泄、食事その他の介護

介護の仕事は、身体介護を中心に考えられていました。

2007年改正 心身の状況に応じた介護

身体介護だけでなく、精神面のサポートも含まれました。

2011年改正 「心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む)

医療的ケアが、介護の内容に追加されました。

(略)

2 この法律において「介護福祉士」とは、第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。

社会福祉士及び介護福祉士法

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