第38回 筆記試験日 2026年1月25日(日)

【2-1】自立の概念【A:人間の尊厳と自立】

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自立の考え方

「自立」とは、他者の援助や支配を受けず、自分の力で判断したり身を立てたりすること、あるいはひとりだちすることを意味します。

しかし、人間は誰からの助力も得ずに自力だけで生きることは現実的に不可能であるため、「自立」の概念は、単に「自力でできたかどうか」という結果だけでなく、多様な視点から捉えられます。

ノーマライゼーションやQOLの考え方が福祉に影響を与える中で、「自立」の捉え方も変化し、経済的自立が困難な重度障害者でも、自分らしい人生を取り戻すことが「自立」であるという、人間本来の尊厳を重視した考え方が示されるようになりました。

様々な視点から自立を捉えることができます。

経済的自立

単に収入を得ることだけでなく、その金銭をどのように使うかを決め、計画的に消費をコントロールすることも含まれます。

ICTの進歩や在宅ワークの広がりなど、働き方の多様化により、障害者の働く機会が増え、経済的自立の考え方も変化してきました。

身体的自立

食事、排泄、入浴などの基本的な生活動作(ADL)を自分で行う状態を指します。

しかし、単に動作ができるだけでなく、その生活場面で何が必要で何をすべきかという認識と判断が伴うため、身体的自立度が高いからといって、他人の助けなしに生活できるわけではないことに注意が必要です。

精神的自立

自分の生活や人生の目標を持ち、自らが主体となって行動するかしないかを選択し、課題に「こころの力」で対応しながら物事を進めていくことです。

必要なときに周囲の人に相談したり、アドバイスを求めたりしながら、自分の精神をコントロールできることも精神的自立の要素とされます。

社会的自立

社会の法令やルールに従い、周囲の人々と良好な関係を保ちながら、経済活動や社会活動に参加し、社会の構成員としてその役割を担うこと、つまり社会参加している状態を指します。

最小の社会である家庭から、近隣、そしてより広い社会へと関係性が広がっていく中で、それぞれの役割を果たすことが含まれます。

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