第37回 筆記試験日 2025年1月26日(日)

第33回(令和2年度)介護福祉士国家試験 午後の問題

午後の問題

<領域:こころとからだのしくみ>

発達と老化の理解(69~76)

問題69 Aさん(小学4年生、男性)は、思いやりがあり友人も多い。図画工作や音楽が得意で落ち着いて熱心に取り組むが、苦手な科目がある。特に国語の授業のノートを見ると、黒板を書き写そうとしているが、文字の大きさもふぞろいで、一部の漢字で左右が入れ替わっているなどの誤りが多く見られ、途中で諦めた様子である。親子関係や家庭生活、身体機能、就学時健康診断などには問題がない。

 Aさんに当てはまる状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

自閉症スペクトラム障害の場合、人と関係を築くことが苦手だが、Aさんは思いやりがあり、友人も多いことから当てはまらない。

✕ 不正解

愛着障害は、愛着が形成される時期に親と愛着関係を築くことができなかった場合に生じるが、Aさんは親子関係や家庭生活には問題がないので当てはまらない。

✕ 不正解

注意欠陥多動性障害では、最後まで話を聞けない、物事に集中できない、物をよくなくす、じっとしていられないといった様子が見られるが、Aさんは得意な図画工作や音楽には落ち着いて熱心に取り組まれているので当てはまらない。

◯ 正解

学習障害では、知的発達に問題はないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった能力のうち、特定のものの習得や使用に著しい困難さが生じる。

Aさんは文字を書く能力に困難さが見られるので当てはまる。

✕ 不正解

知的障害では、18歳までの発達期に知的機能に障害がみられ、IQが低い、日常生活力の発達に支障が生じる。

Aさんは文字を書くことを除いて、身体機能や就学時健康診断に問題がないので当てはまらない。

問題70 医療や福祉の法律での年齢に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

老人福祉施設に入所できるのは、65歳以上の人である。

✕ 不正解

介護保険の第一号被保険者は、65歳以上の人である。

50歳の人は、介護保険の第二号被保険者である。

✕ 不正解

医療保険の前期高齢者は、65歳以上74歳以下の人である。

✕ 不正解

介護保険の第二号被保険者は、40歳から64歳未満の医療保険加入者である。

70歳の人は、介護保険の第一号被保険者である。

◯ 正解

後期高齢者医療の被保険者は、75歳以上の人、65歳以上74歳未満で後期高齢者医療広域連合の障害認定を受けた人である。

問題71 高齢期の喪失体験と悲嘆に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

喪失体験とは、大切な人や物を失うといった人生の危機になるような心理的な喪失・体験のことである。

✕ 不正解

悲嘆過程とは、フロイトが提唱した理論であり、死別による悲しみが癒やされ、平穏な心の状態に戻っていく過程のことである。病的ではなく、誰にでも起こり得る正常な心のプロセスである。

◯ 正解

死別からの回復には、生活の立て直しへの対処(コーピング)も必要である。

✕ 不正解

ボウルビィは、悲嘆過程に、①無感覚な段階、②思慕と探求の段階、③混乱と絶望の段階、④離別と再建の段階という順序性があることを明らかにした。

✕ 不正解

病的悲嘆への支援では、亡くなった人への愛着をほかに向けることではなく、自分の今後の人生においても価値あるものとして考えられるようにすることを目標とする。

問題72 加齢による味覚の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

舌の表面にある細かい突起の中にあり、味を感知する味蕾(みらい)は加齢によって減少する。

✕ 不正解

服用する薬剤の副作用によって、食べ物の味が分かりにくくなることがある。

✕ 不正解

加齢にともない、唾液の分泌量は減少し、味覚が低下する。

◯ 正解

加齢にともない、味蕾の数、唾液の分泌量が減少するため、濃い味付けを好むようになる。

✕ 不正解

口腔内の状況は、味覚に影響するため、口腔ケアを適切に行うことが必要である。

問題73 意欲が低下した高齢者の動機づけに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

本人の意欲が低下している場合に、他者が高い目標を掲げても、動機づけが強まることにはつながらない。

◯ 正解

本人が具体的に何をすべきか分かると、動機づけが強まる。

✕ 不正解

本人にとって興味がある目標を掲げると、強い動機が引き起こされ、動機づけは強まる。

✕ 不正解

小さな目標の達成を積み重ねていくことは、意欲の向上に繋がり、次の目標への動機づけが強まる。

✕ 不正解

本人が自分にもできそうだと思うことで、目標達成に対する意欲が向上し、動機づけが強まる。

問題74 高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

器質性便秘とは、大腸がんやクローン病といった大腸の疾患によって腸管が部分的に細くなり、便が通過しにくくなった状態のことである。

✕ 不正解

弛緩性便秘は、大腸の蠕動運動が低下して起こる便秘である。食物繊維の摂取不足、運動不足、加齢による腹筋の衰えなどが原因となり、日本人の便秘の中で最も多く、高齢者にもよくみられる。

✕ 不正解

けいれん性便秘は、大腸が痙攣を起こして部分的に狭くなり、便の通過が妨げられることで起こる便秘である。ストレスやうつ病などが原因となり、便は細く、硬くなるのが特徴である。

✕ 不正解

直腸性便秘は、直腸まで便が送られているが、便意を感じないために起こる便秘である。便意を我慢したり、下剤・浣腸などを乱用したりすることが原因となる。

✕ 不正解

抗うつ薬、がん疼痛に対する麻薬(モルヒネ)といった薬は、副作用として便秘が起こることがある。

問題75 高齢者の転倒に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査(2019年)」によると、介護が必要となった主な原因は認知症(17.6%)が最も多く、次いで脳血管疾患(16.1%)、高齢による衰弱(12.8%)、骨折・転倒(12.5%)の順番となっている。

2019年 国民生活基礎調査の概況│厚生労働省

◯ 正解

薬剤の副作用によって、めまいやふらつきが起こり、転倒につながることがある。

✕ 不正解

転倒による骨折の部位で最も多いのは、大腿骨頸部である。

✕ 不正解

過去に転倒したことがあるということは、下肢の筋力が低下して、つまずきやすくなっている可能性があり、再度転倒する危険性は高いと考えられる。

問題76 高齢者の糖尿病(diabetes mellitus)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

高齢者の糖尿病では、2型糖尿病が多く、インスリンの作用不足が原因となって発症する。

アミラーゼは、唾液や膵液に含まれる消化酵素である。

✕ 不正解

高齢者の場合、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値は、若年者に比べて同じか高めの目標値が設定されている。

✕ 不正解

高齢者の場合、自覚症状も感じにくいため、高血糖の持続による口渇感は弱い。

✕ 不正解

高齢者であっても、糖尿病の治療は、食事療法や運動療法を取り入れることが望ましい。

◯ 正解

高齢者の場合、低血糖を起こしやすいが、自覚症状に乏しい。

認知症の理解(77~86)

問題77 うつ病(depression)による仮性認知症(pseudodementia)と比べて認知症(dementia)に特徴的な事柄として、適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

認知症では、記憶、思考、理解、計算、学習、判断といった認知機能が低下し、日常生活に支障が生じる。判断障害は、認知症の中核症状の一つです。

✕ 不正解

不眠は、うつ病でよくみられる訴えであり、認知症に特徴的な事柄ではない。

✕ 不正解

認知症では、物盗られ妄想や嫉妬妄想といった症状はみられますが、誇張して訴えることは特徴的な事柄ではない。

✕ 不正解

希死念慮は認知症ではなく、うつ病による仮性認知症によくみられる症状である。

✕ 不正解

抗うつ剤は、認知症の治療に使用されることもあるが、うつ病による仮性認知症にも効果的であり、認知症に特徴的な事柄ではない。

問題78 日本における認知症(dementia)の原因のうち、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の次に多い疾患として、正しいものを1つ選びなさい。

◯ 正解

日本における認知症の原因疾患で最も多いのはアルツハイマー型認知症(67.6%)で、次いで血管性認知症(19.5%)、レビー小体型認知症(4.3%)、前頭側頭葉変性症(1.0%)、アルコール性認知症(0.4%)となっている。

「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」(平成23〜24年度)

認知症施策の総合的な推進について│厚生労働省老健局(令和元年6月)

✕ 不正解

日本における認知症の原因疾患で最も多いのはアルツハイマー型認知症(67.6%)で、次いで血管性認知症(19.5%)、レビー小体型認知症(4.3%)、前頭側頭葉変性症(1.0%)、アルコール性認知症(0.4%)となっている。

✕ 不正解

混合性認知症は、アルツハイマー型認知症と血管性認知症の両方が原因となっている認知症で、全体の3.3%を占めている。

✕ 不正解

日本における認知症の原因疾患で最も多いのはアルツハイマー型認知症(67.6%)で、次いで血管性認知症(19.5%)、レビー小体型認知症(4.3%)、前頭側頭葉変性症(1.0%)、アルコール性認知症(0.4%)となっている。

✕ 不正解

日本における認知症の原因疾患で最も多いのはアルツハイマー型認知症(67.6%)で、次いで血管性認知症(19.5%)、レビー小体型認知症(4.3%)、前頭側頭葉変性症(1.0%)、アルコール性認知症(0.4%)となっている。

問題79 日本での認知症(dementia)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

2017年(平成29年)の「患者調査」(厚生労働省)によると、アルツハイマー型認知症の患者数は増加している。一方で、アルツハイマー型認知症以外の認知症の患者数は減少している。

平成29年(2017)患者調査の概況│厚生労働省 PDFファイル

◯ 正解

アルツハイマー型認知症の有病率は、65歳以上では女性が男性の1.4倍となっている。

✕ 不正解

認知症は加齢によって脳に異常が生じることで引き起こされるため、高齢者ほど認知症の発症リスクは高い。

✕ 不正解

糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病は、認知症の発症リスクを高めるとされており、関連性があるといえる。

✕ 不正解

運動によって、脳の海馬のホルモン分泌量が増加して記憶力が向上したり、血管の老化防止といった効果が期待できるので、認知症予防には有効である。

問題80 認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

認知症初期集中支援チームは、2015年に策定された「新オレンジプラン」において「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指すという考えに基づいている。

2015年(平成27年)「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」│厚生労働省 PDFファイル

✕ 不正解

支援の対象となるのは、自宅で生活している40歳以上で、認知症が疑われる人や認知症と診断を受けた人およびその家族で、一定の要件に該当する人である。

✕ 不正解

支援の対象となるのは、自宅で生活している40歳以上で、認知症が疑われる人や認知症と診断を受けた人およびその家族で、一定の要件に該当する人である。

✕ 不正解

認知症に対して初期の支援を短期的に集中的に行うのが特徴で、支援期間はおおむね6か月とされている。

◯ 正解

初回訪問後にチーム員会議を開催し、ケア方針を決定する。チーム員は、一定の要件をすべて満たす専門職2名以上、認知症サポート医である医師1名で構成される。

問題81 クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

日本でのクロイツフェルト・ヤコブ病の有病率は、年間100万人に約1人である。

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関するQ&A│厚生労働省

◯ 正解

クロイツフェルト・ヤコブ病は、プリオンたんぱく質が脳内に蓄積することで発症する神経系の疾患である。

✕ 不正解

発症から数ヶ月以内に認知症の症状が急速に進行する。

✕ 不正解

クロイツフェルト・ヤコブ病は症状の進行が非常に速く、初期症状から1〜2年ほどで死に至るため、致死率は高い。

✕ 不正解

ミオクローヌスと呼ばれる不随意運動が特徴的な症状としてみられます。

ミオクローヌス:脳や脊髄の異常によって、手足・顔・体などにピクピクと動く不随意運動

問題82 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

レビー小体型認知症は、レビー小体とよばれる物質が脳内の神経細胞に蓄積して発症する。

脳梗塞が原因になるのは、脳血管性認知症である。

✕ 不正解

初発症状はレム睡眠行動障害で、その後、パーキンソニズム(安静時振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害)や幻視などが現れる。

初期に記憶障害がみられるのは、アルツハイマー型認知症である。

✕ 不正解

レビー小体型認知症では、けいれんではなく、パーキンソニズム(安静時振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害)がみられる。

✕ 不正解

人格変化は、前頭側頭型認知症でよくみられる症状である。

◯ 正解

レビー小体型認知症では、筋固縮によって嚥下機能が低下しやすく、誤嚥性肺炎を合併することが多い。

問題83 Bさん(80歳、女性、要介護2)は、1年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の診断を受け、服薬を継続している。同居の息子は日中不在のため、週に3回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、訪問介護員(ホームヘルパー)と共に活発に会話や家事をしていた。不眠を強く訴えることが増えたため、1週間前に病院を受診したときに息子が主治医に相談した。その後、午前中うとうとしていることが多くなり、飲水時にむせることがあった。歩くとき、ふらつくようになったが、麻痺はみられない。バイタルサイン(vital signs)に変化はなく、食欲・水分摂取量も保たれている。

訪問介護員(ホームヘルパー)のBさんと息子への言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

Bさんは不眠を訴えることが増え、午前中うとうとしていることが多くなっている。日中横になって過ごすと、不眠を悪化させるおそれがある。

✕ 不正解

歩くときにふらつくようになった原因が歩行機能の低下にあるとは限らない。リハビリの必要性を判断するのは医師である。

✕ 不正解

飲水時にむせることはあったが、Bさんの食欲・水分摂取量は保たれており、嚥下障害が起きているとは考えにくい。

◯ 正解

Bさんの不眠について息子が医師に相談したときに、睡眠薬を処方され、その影響が出ている可能性が考えられる。

✕ 不正解

認知症の症状が進行していると判断するのは医師である。

問題84 認知症(dementia)の原因疾患を鑑別するときに、慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)の診断に有用な検査として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

血液検査は、アルツハイマー型認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定するものである。

✕ 不正解

脳血流検査は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の診断に有効である。

◯ 正解

慢性硬膜下血腫とは、脳の硬膜の下に血腫ができ、脳が圧迫される疾患である。

頭部CT検査では、脳内の血腫を確認できることから、慢性硬膜下血腫の診断に有効である。

✕ 不正解

脳波検査は、脳血管障害やてんかんなどの診断に有効である。

✕ 不正解

認知機能検査は、口頭質問などによる簡易な検査方法で、主に認知症のスクリーニングテストに使用される。

改訂長谷川式簡易知能評価スケールやMMSE(ミニメンタルステート検査)などがある。

問題85 認知症(dementia)に伴う注意障害に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

認知症に伴う注意障害では、周囲の声や他者の動きに注意がそれやすい、複数のことを同時に進行できないといった症状がみられます。

✕ 不正解

毎日、同じ時間に同じ行動をするのは、認知症に伴う常同行動の説明です。

✕ 不正解

旅行の計画を立てることが難しくなるのは、認知症に伴う遂行機能障害の説明です。

✕ 不正解

話そうとすることを言い間違えるのは、認知症に伴う失語の説明です。

✕ 不正解

介護職員から説明を受けたことを覚えていないのは、認知症に伴う記憶障害の説明です。

問題86 Cさん(87歳、男性、要介護5)は、重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)である。現在、介護老人福祉施設に入所しているが終末期の状態にある。できる限り経口摂取を続けてきたが、誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)を繰り返し、経口摂取が困難となった。臥床状態が続き、声かけに対する反応も少なくなっている。医師から、「死が極めて近い状態である」と伝えられた。
施設で看取ることになっているCさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

経口摂取が困難で、臥床状態が続き、声かけに対する反応も少なく、医師からも「死が極めて近い状態である」と言われているCさんに、離床する時間をつくることは適切な対応ではありません。本人の様子を見ながら、必要に応じて体位変換などを行いましょう。

✕ 不正解

声かけに対する反応も少なくなっているCさんに、会話で希望を聞くことは適切ではありません。

✕ 不正解

事前指示書は、判断能力を失った場合に行われる医療行為について、あらかじめ文書によって意思表示をするものです。重度のアルツハイマー型認知症で、声かけに対する反応も少なくなっているCさんが作成することは困難であり、適切ではありません。

◯ 正解

終末期の援助では、医療職と連携をとりながら、身体的苦痛をできる限り和らげ、最期までその人らしい生活が送れるよう援助していくことが大切です。

✕ 不正解

誤嚥性肺炎を繰り返し、経口摂取が困難となっているCさんに、好きな食事を用意することは適切ではありません。

障害の理解(87~96)

問題87 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の社会モデルに基づく障害のとらえ方に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

障害を個人の問題としてとらえるのは、医学モデルです。

✕ 不正解

病気・外傷から直接的に生じるとするのは、医学モデルです。

◯ 正解

ICFの社会モデルとは、障害は個人の問題、病気や外傷、医療による治療行為から直接的に生じるのではなく、社会環境との関係性の中から生じるとする考え方です。

よって、さまざまな環境との相互作用を障害の要因の一つとしてとらえることは、ICFの考え方に合っています。

✕ 不正解

治療してできるだけ回復させるのではなく、社会環境の改善を目指すのがICFの社会モデルの考え方となります。

✕ 不正解

医療による援助ではなく、社会環境の改善を重視するのがICFの社会モデルの考え方となります。

問題88 リハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

リハビリテーション(Rehabilitation)の語源は、「再び(re)」「適した(habilis)」「すること(ation)」であり、「再び適したものにすること」を意味します。

✕ 不正解

ニィリエは、デンマークのバンク=ミケルセンが提唱したノーマライゼーションの考え方を進めて、ノーマライゼーションの8つの原理を提唱した人物です。

✕ 不正解

WHO(世界保健機関)が1968年に示したリハビリテーションの定義では、「医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ、相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な限り最高レベルに達せしめることである」とされており、医療の領域に限定されていません。

✕ 不正解

自立生活運動は、1970年代はじめにアメリカで起こった運動で、重度の障害があっても必要なサービスを受ける上で、本人の自己決定と自己尊重を尊重するなど、リハビリテーションと深く関わっています。

✕ 不正解

機能回復訓練は、社会的リハビリテーションではなく、医学的リハビリテーションです。

社会的リハビリテーションは、社会の中で生活する力を身につけることを目的としたリハビリテーションです。

問題89 「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」の考え方のもとに、障害者が作成の段階から関わり、その意見が反映されて成立したものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

優生保護法は、1948年に制定された法律で、遺伝性の知的障害や成因障害といった病気があるとされた人に対して、本人の同意なしに、強制的に優生手術(不妊手術)や中絶などが合法化されました。

1996年に「母体保護法」に改正・改称され、条文からは「優生」という言葉が削除されました。

優生保護法│衆議院

母体保護法│e-gov 法令検索

✕ 不正解

国際障害者年は、1981年に国際連合によって定められました国際年のひとつで、「完全参加と平等」がスローガンとして掲げられました。

✕ 不正解

知的障害者福祉法は、知的障害者の福祉を図ることを目的とした法律です。

✕ 不正解

身体障害者福祉法は、身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とした法律です。

◯ 正解

障害者の権利に関する条約は、障害者が作成の段階から関わり、その意見が反映され、2006年の国連総会において採択されました。(日本は2007年に署名、2014年に批准)

条約を締結した国には、障害に基づくあらゆる差別の禁止や、障害者の社会参加の促進に向けての取り組みが義務づけられました。

問題90 Dさん(31歳、男性)は、脊髄損傷(spinal cord injury)による対麻痺で、リハビリテーションのため入院中である。車いすでの日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)は自立したが、退院後自宅で生活するときに、褥瘡が生じないか心配している。
Dさんの褥瘡が発生しやすい部位として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

対麻痺は、腰から下の両下肢が麻痺することです。頭部は動かすことができるため、車いすを使用して生活するときに、褥瘡が発生しやすい部位ではありません。

✕ 不正解

対麻痺は、腰から下の両下肢が麻痺することです。上腕部は動かすことができるため、車いすを使用して生活するときに、褥瘡が発生しやすい部位ではありません。

✕ 不正解

車いすの生活では、背部は圧迫されやすいですが、体重がかかりにくい部位であるため、褥瘡が発生しやすい部位とはいえません。

✕ 不正解

車いすの生活で腹部が圧迫されることはないため、褥瘡が発生しやすい部位ではありません。

◯ 正解

対麻痺は、腰から下の両下肢が麻痺することです。

坐骨結節部は、坐骨の下端にある隆起で、椅子に座ったときに座面に接し、体重を支える部分をさします。

Dさんは退院後も引き続き、車いすを使用して自宅で生活すると考えられます。車いすの生活では、上半身の体重が坐骨結節部にかかり、また麻痺で痛みを感じにくいため、褥瘡が発生しやすい部位といえます。

問題91 脊髄の完全損傷で、プッシュアップが可能となる最上位のレベルとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

頸髄(C1〜C3)の損傷では、四肢麻痺や呼吸障害といった重度の障害が生じるため、プッシュアップ(肘を伸ばす力)は不可能です。

◯ 正解

プッシュアップとは、手で床などを押して、体を持ち上げる動きのことです。

頸髄(C7)の損傷では、寝返りや座位保持、起き上がりなどが可能であり、肘を伸ばす力も残っているため、プッシュアップが可能となる最上位のレベルとして適切です。

✕ 不正解

胸髄の損傷では、体幹や下肢の麻痺がみられます。上肢全体は使えますが、最上位のレベルではありません。

✕ 不正解

腰髄の損傷では、下肢の麻痺がみられます。上肢全体は使えますが、最上位のレベルではありません。

✕ 不正解

仙髄の損傷では、下肢の一部麻痺がみられます。ほとんど介助を必要としない状態であり、最上位のレベルではありません。

問題92 筋ジストロフィー(muscular dystrophy)の病態について、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

※網膜の変性は、網膜色素変性症でみられる症状です。

✕ 不正解

筋力の低下によって運動機能に障害が起こりますが、運動神経が変性するわけではありません。

※運動神経の変性は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)でみられる症状です。

✕ 不正解

筋ジストロフィーの原因は、自己免疫ではなく、遺伝子の異常によるものです。

✕ 不正解

※中脳の黒質が病変部位となる疾患は、パーキンソン病です。

◯ 正解

筋ジストロフィーは、遺伝子変異によって、骨格筋(筋繊維)が変性・壊死し、進行性の筋力低下を引き起こす遺伝性の筋疾患の総称です。

(筋線維に必須な構成タンパク質が作れず、筋線維が変性し、壊れやすくなることで、筋力低下、筋萎縮が生じ、運動機能障害を引き起こします。)

※骨格筋は、骨や皮膚に付着して、関節などを動かす働きをしています。一般的に筋肉とよばれているものは骨格筋です。

※筋繊維は、筋肉を構成する細胞のことです。

問題93 「障害者虐待防止法」の心理的虐待に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

✕ 不正解

身体的虐待に当たります。

✕ 不正解

性的虐待に当たります。

◯ 正解

心理的虐待に当たります。

✕ 不正解

ネグレクトに当たります。

✕ 不正解

経済的虐待に当たります。

問題94 心臓機能障害のある人に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

塩分を過度に摂取することで、体内を循環する血液量が増え、心臓に負担がかかります。

よって、心臓機能に障害があつ人には、塩分の制限が必要な場合があります。

◯ 正解

心臓機能の障害がある人は、慢性心不全を起こしている場合が多く、呼吸困難や動悸、息切れといった自覚症状がみられます。

✕ 不正解

呼吸困難や息切れといった自覚症状がみられますが、外出を避ける必要はありません。

医師と相談した上で、適度な運動を行い、残存機能を維持することが必要です。

✕ 不正解

ペースメーカーの装着者は、身体障害者手帳の障害等級1、3、4級に該当します。

よって、身体障害者手帳の交付対象となります。

等級詳細
1級・機器への依存が絶対的な状態(クラス1)でペースメーカー等を体内に入れた人
・機器への依存が相対的な状態(クラス2)でペースメーカー等を体内に入れ、身体活動能力が2メッツ未満の人
3級・クラス2以下の状態でペースメーカー等を体内に入れ、身体活動能力が2メッツ以上4メッツ未満の人
4級・クラス2以下の状態でペースメーカー等を体内に入れ、身体活動能力が4メッツ以上の人
✕ 不正解

精神的なストレスによって、脈拍が速くなったり、血圧が上昇するなど、心臓機能への影響は大きいといえます。

問題95 発達障害のEさん(5歳、男性)の母親(28歳)は、Eさんのことを一生懸命に理解しようと頑張っている。しかし、うまくいかないことも多く、子育てに自信をなくし、どうしたらよいのかわからずに一人で悩んでいる様子が見られる。
母親への支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

Eさんの母親は、すでにEさんのことを一生懸命に理解しようと頑張っています。

よって、現状を受け入れるように説得するのではなく、一人で悩んでいる母親に対し、悩みを聞き、どうすればよいのかを一緒に考えていく支援が必要です。

✕ 不正解

Eさんの母親は、休息が取れないことではなく、子育ての方法について悩んでいます。

レスパイトケアを紹介することは、悩みの解消にはつながらないため、適切な支援とはいえません。

◯ 正解

ペアレント・メンターは、発達障害児を育てた経験のある親で、相談支援に関する一定のトレーニングを受けた人のことです。

一人で悩んでいるEさんの母親に、子育てに関する悩みを相談するできる相手を紹介することは、最も適切な支援といえます。

✕ 不正解

Eさんの発達支援を強化しても、母親の悩みを解決することには繋がりません。

✕ 不正解

介護支援専門員は、介護が必要な人が適切なケアを受けられるようにケアプランを作成します。

Eさんは5歳であり、介護保険制度の利用対象者ではありません。

問題96 「2016年(平成28年)生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における身体障害者手帳所持者の日常的な情報入手手段として、最も割合が高いものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

割合は第2位で、最も高くはなかった。

✕ 不正解

割合は第3位で、最も高くはなかった。

✕ 不正解

割合は第4位で、最も高くはなかった。

◯ 正解

身体障害者手帳所持者の日常的な情報入手手段として、65歳未満、65歳以上の者ともに「テレビ」と回答した割合が最も高かった。

平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)│厚生労働省

✕ 不正解

割合は第5位で、最も高くはなかった。

こころとからだのしくみ(97~108)

問題97 心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

心的外傷後ストレス障害(PTSD)では、原因となった体験が繰り返し思い起こされるフラッシュバック(再体験症状)がみられます。

PTSDの症状

侵入症状(その出来事が頭の中に入り込んでくるように繰り返しよみがえり、制御することができない)

・その出来事を思い出させるあらゆる物事の回避

・思考や気分に対する悪影響

・覚醒レベルと反応の変化

MSDマニュアル家庭版

✕ 不正解

心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断は、症状が1ヶ月以上続くことが条件の1つとなります。

1ヶ月以内で症状が治まるものは、急性ストレス反応です。

PTSDの診断基準

・外傷的出来事を直接または間接的に体験したことがある。

・症状が1カ月以上続いている。

・症状が重大な苦痛を引き起こしているか、日常生活に大きな支障をきたしている。

・PTSDに関連する各カテゴリーの症状(侵入症状、回避症状、思考や気分に対する悪影響、覚醒レベルと反応の変化)がいくつか認められる。

MSDマニュアル家庭版

✕ 不正解

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、生命や身体に脅威を及ぼす大きな出来事が原因となります。

✕ 不正解

心的外傷後ストレス障害(PTSD)では、被害妄想は生じません。

✕ 不正解

心的外傷後ストレス障害(PTSD)では、うつ病や不安症などの症状が現れることがあり、気分は落ち込みます。

問題98 健康な人の体温に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

体温とは、新陳代謝によって生産された熱のことです。

基礎代謝の影響により、小児は高め、高齢者は低めになります。(約1歳半~2歳で最も高い値を示します。)

✕ 不正解

外気温の影響により、早朝の体温は最も低くなります。

※午前4時ころが最も低く、午後から夕方にかけて高くなります。

✕ 不正解

脇の下の温度である腋窩温(えきかおん)は、口の中の口腔温(こうくうおん)より低くなります。

◯ 正解

視床下部は間脳にあり、体温や血圧などの調節といった、自律神経系の中枢となります。

✕ 不正解

体温は、気温や室温といった環境の影響を受けます。

問題99 義歯を使用したときの影響として、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

唾液の分泌量は老化にともない減少するため、義歯を使用しても増加はしません。

◯ 正解

義歯を装着することで、口腔内の空気がもれにくくなり、話す言葉も明瞭になります。

✕ 不正解

義歯を使用しても、舌の動きが悪くなることは通常ありません。

✕ 不正解

義歯を使用することで、口元が引き締まり、口まわりのしわは目立たなくなります。

✕ 不正解

味覚の低下は、味蕾の数や唾液分泌量の減少によるものであり、義歯を使用した影響ではありません。

問題100 1週間の安静臥床で筋力は何%程度低下するか、次のうちから最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

1%は1日、安静臥床した場合に起こる筋力低下となります。

✕ 不正解

5%は数日間、安静臥床した場合に起こる筋力低下となります。

◯ 正解

安静臥床とは、まったく筋力を使わずに横になっている状態です。

1週間の安静臥床を続けると、筋力は10〜15%程度低下するといわれています。

安静臥床期間筋力低下(%)
1日1〜3%
1週間10〜15%
1ヶ月50%
✕ 不正解

30%は数週間、安静臥床した場合に起こる筋力低下となります。

✕ 不正解

50%は1ヶ月程度、安静臥床した場合に起こる筋力低下となります。

問題101 栄養素の働きに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

栄養素の中で、最大のエネルギー源となるのは脂質です。

✕ 不正解

糖質をエネルギーに変える栄養素は、ビタミンB1です。

ビタミンDは、骨の形成に関わっています。

✕ 不正解

骨の形成に関わる栄養素は、カルシウムビタミンDビタミンKなどです。

カリウムは、体液の浸透圧やpHの調節に関わっています。

✕ 不正解

カルシウムの吸収に関わる栄養素は、ビタミンDです。

ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える際に必要な栄養素です。

◯ 正解

ナトリウムは、血圧の調節に関わっています。

問題102 Fさん(80歳、女性)は、普段の食事は自立している。日常生活では眼鏡がないと不自由である。ある日、いつもより食事に時間がかかっていた。介護福祉職が確認したところ、Fさんは、「眼鏡が壊れて使えなくなってしまった」と答えた。
食事をとるプロセスで、Fさんが最も影響を受ける段階として、正しいものを1つ選びなさい。

◯ 正解

摂食から嚥下までのプロセスは、①先行期→②準備期→③口腔期→④咽頭期→⑤食道期の5段階に分類されます。

①先行期は、視覚や嗅覚などで食物を認知し、食べる準備を整える段階となります。

Fさんがいつもより食事に時間がかかったのは、眼鏡が壊れたからであり、視覚で食べ物を認知する先行期が影響を受けたと考えられます。

✕ 不正解

摂食から嚥下までのプロセスは、①先行期→②準備期→③口腔期→④咽頭期→⑤食道期の5段階に分類されます。

②準備期は、食物を口に入れ、咀しゃくして食塊にする段階となります。

✕ 不正解

摂食から嚥下までのプロセスは、①先行期→②準備期→③口腔期→④咽頭期→⑤食道期の5段階に分類されます。

③口腔期は、飲み込める状態になった食塊を咽頭に送り込む段階となります。

✕ 不正解

摂食から嚥下までのプロセスは、①先行期→②準備期→③口腔期→④咽頭期→⑤食道期の5段階に分類されます。

④咽頭期は、食塊が咽頭を通過する段階となります。

✕ 不正解

摂食から嚥下までのプロセスは、①先行期→②準備期→③口腔期→④咽頭期→⑤食道期の5段階に分類されます。

⑤食道期は、食塊が食道を通過し、胃に送られる段階となります。

問題103 入浴(中温浴、38~41℃)の効果に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

中温度の入浴では、副交感神経が刺激され、脳はリラックスします。

✕ 不正解

中温度の入浴では、筋肉は弛緩します。

✕ 不正解

中温度の入浴では、心臓が拡張し、血圧は低下します。

◯ 正解

中温度の入浴では、腎臓の働きは促進されます。

器官高温浴(42度以上)中温浴(38〜41度)
興奮する鎮静する
自律神経交感神経が優位副交感神経が優位
心臓心拍数が速く・増加する心拍数が遅く・減少する
血管血管は収縮し、血圧が上昇する血管は拡張し、血圧が低下する
筋肉収縮する弛緩する
腎臓働きが抑えられる働きが活発になる
働きが抑えられる働きが活発になる
膀胱広がる(排尿を抑える)縮む(排尿を促す)
✕ 不正解

中温度の入浴では、腸の働きは活性化されます。

問題104 Gさん(83歳、女性)は、認知機能は正常で、日常生活は杖歩行で自立し外出もしていた。最近、外出が減ったため理由を尋ねたところ、咳やくしゃみで尿が漏れることが多いため外出を控えていると言った。Gさんの尿失禁として、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

機能性尿失禁は、認知機能や運動機能の低下によって、トイレまでの移動や排泄動作などに時間がかかり、尿がもれてしまいます。

Gさんは認知機能は正常で、杖歩行で自立しているため当てはまりません。

◯ 正解

腹圧性尿失禁は、加齢や肥満、出産などによって骨盤底筋群が弱くなり、咳やくしゃみなどで腹圧がかかったときに、尿が漏れてしまいます。

Gさんは、「咳やくしゃみで尿が漏れることが多い」と発言しているため、腹圧性尿失禁と考えられます。

✕ 不正解

溢流性尿失禁は、前立腺肥大症や神経因性膀胱などにより、膀胱が尿でいっぱいになって尿が少しずつ漏れてしまいます。

Gさんの尿失禁には当てはまりません。

✕ 不正解

反射性尿失禁は、脊髄損傷などにより、膀胱にある程度尿が溜まっても尿意を感じられず、膀胱が反射的に収縮して尿が漏れてしまいます。

Gさんの尿失禁には当てはまりません。

✕ 不正解

切迫性尿失禁は、加齢による膀胱括約筋の弛緩などにより、強い尿意を感じてからトイレに行くまで我慢できずに漏れてしまいます。

Gさんの尿失禁には当てはまりません。

問題105 次のうち、便秘の原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

炎症性腸疾患は、便秘ではなく、下痢の原因となります。

✕ 不正解

経管栄養では、栄養剤の注入速度が速かったり、栄養剤の温度が低かったりすると、下痢になります。

✕ 不正解

食道や胃といった消化管を切除すると、下痢をしがちになります。

✕ 不正解

感染性腸炎は、便秘ではなく、下痢の原因となります。

◯ 正解

長期臥床が続くと、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が低下し、便秘がちになります。

問題106 高齢者の睡眠の特徴に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

高齢になると、浅いノンレム睡眠が増えるため、熟眠感は減少します。

✕ 不正解

高齢になると、深いノンレム睡眠が減るため、深睡眠は減少します。

✕ 不正解

高齢になると、入眠障害や中途覚醒、早朝覚醒が多くなり、夜間の睡眠時間は減少します。

◯ 正解

高齢になると、入眠障害や中途覚醒、早朝覚醒が多くなるほか、睡眠と覚醒を調整するホルモンであるメラトニンが減少するため、睡眠の周期は不規則になります。

✕ 不正解

高齢になると、床についてもなかなか眠ることができない(入眠障害)ため、入眠までの時間は長くなります。

問題107 睡眠に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

夢を見るのは、脳が活発に活動しているレム睡眠のときが多いです。

レム睡眠の特徴

・急速眼球運動があらわれる

・筋肉の緊張がなくなる

・夢を見ることが多い

✕ 不正解

入眠はノンレム睡眠から始まり、一気に深い眠りに入ります。

眠りについてから1時間ほど経つと、徐々に眠りが浅くなり、レム睡眠へと移行します。

✕ 不正解

筋緊張が消失するのは、レム睡眠になります。

✕ 不正解

早い眼球運動がみられるのは、レム睡眠になります。

✕ 不正解

加齢にともなってメラトニンの分泌が減少するため、高齢者は浅いノンレム睡眠が増加します。

問題108 死斑が出現し始める時間として、正しいものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

死後5分以内では、死斑はまだ出現していません。

◯ 正解

死斑は、心停止後に血流が止まり、血管内の血液が下部へ集中することで発生します。

死斑は通常、死後20〜30分で出現し始めます。

✕ 不正解

死後3時間では、死斑はすでに出現しています。

✕ 不正解

死後8〜12時間では、死斑はすでに出現し、死斑の現れ方が最も強くなります。

✕ 不正解

死後48時間では、死斑はすでに出現しています。

<領域:医療的ケア>

医療的ケア(109~113)

問題109 介護福祉職が経管栄養を実施するときに、注入量を指示する者として、適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

経管栄養は医行為であるため、医師の指示通りに行う必要があります。

医師は、「介護職員等喀痰吸引等指示書」によって指示を行います。

✕ 不正解

看護職員が、介護福祉職に注入量を指示することはできません。

✕ 不正解

訪問看護事業所の管理者が、介護福祉職に注入量を指示することはできません。

✕ 不正解

訪問介護事業所の管理者が介護福祉職に注入量を指示することはできません。

✕ 不正解

介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護福祉職に注入量を指示することはできません。

問題110 気管粘膜のせん毛運動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

痰の粘度が高いと、せん毛運動は抑制されます。

✕ 不正解

せん毛運動は、空気中の異物をとらえるのではなく、排出する運動になります。

空気中の異物をとらえるのは、気管などから分泌される粘液になります。

✕ 不正解

せん毛運動と咳に関連性はありません。

✕ 不正解

気管内部は、乾燥しているよりも適度な湿り気のあるほうが、動きがよくなります。

◯ 正解

せん毛運動とは痰を排出するために、痰を気管の奥から口腔のほうへ移動させる運動のことです。

問111 介護福祉職が実施する喀痰吸引で、口腔内と気管カニューレ内部の吸引に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

気管カニューレ内部の吸引は、気管カニューレの内径の2分の1以下の太さのものを使用します。

※「介護職員等喀痰吸引等指示書」で指示されたサイズ(太さ)を使用します。

◯ 正解

気管カニューレ内部の吸引では、無菌的な操作を行う必要があるため、滅菌された洗浄水を使用します。

✕ 不正解

気管カニューレ内部の吸引では、内部が見えやすいように利用者の頭部は正面に向けて、安楽な姿勢で行います。

✕ 不正解

吸引時間は、口腔内より気管カニューレ内部のほうを短くします。

※「介護職員等喀痰吸引等指示書」で指示された時間で実施します。

補足

気管カニューレ内部の吸引は、吸引物と一緒に気道内の空気も吸引されるため、息が吸えません。

吸引時間が長引くと、低酸素血症などを引き起こす可能性があるため、できるだけ短時間で行いましょう。

✕ 不正解

吸引圧は、口腔内より気管カニューレ内部のほうを低くします。

※「介護職員等喀痰吸引等指示書」で指示された吸引圧で実施します。

問題112 Hさん(80歳、男性)は嚥下機能の低下があり、胃ろうを1か月前に造設して、自宅に退院した。現在、胃ろう周囲の皮膚のトラブルはなく、1日3回の経管栄養は妻と介護福祉職が分担して行っている。経管栄養を始めてから下肢の筋力が低下して、妻の介助を受けながらトイレへは歩いて行っている。最近、「便が硬くて出にくい」との訴えがある。
Hさんに対して介護福祉職が行う日常生活支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

特に、胃ろう部に異常がなければ普通に入浴することができるため、湯につけても問題ありません。

✕ 不正解

胃ろう部を圧迫することで、皮膚を傷つける恐れがあるため控えます。

✕ 不正解

ベッド上では、腹圧がかかりにくく排便が困難な姿勢といえます。

座位で前傾姿勢をとることで、自然な排便を促すことができます。

◯ 正解

Hさんは下肢の筋力が低下しており、「便が硬くて出にくい」という訴えがあります。

歩行運動を勧めることで、血液の循環が良くなり、腸の動きを改善させることにつながります。

✕ 不正解

栄養剤の注入量は、医師の指示に従います。

よって、介護福祉職の判断で勝手に、栄養剤の注入量を増やすように促してはいけません。

問題113 経管栄養の実施に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

感染予防のため、経管栄養の準備を行う前には、石鹸と流水で丁寧に手を洗ってから行います。

✕ 不正解

廃棄しないで住むように、栄養剤は消費期限が近づいている古いものから使用します

✕ 不正解

注入のたびにアルコールで消毒する必要はありません。

汚れている場合は、ぬるま湯に浸したガーゼなどで優しく拭き取ります。

✕ 不正解

カテーテルチップシリンジは、1回使用して破棄する必要はありません

使用後は中性洗剤で洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム液で消毒し、乾燥させます。

✕ 不正解

経口摂取をしていない場合、唾液による自浄作用が低下し、口腔内の細菌が繁殖しやすくなります。

誤嚥性肺炎や歯周病、上気道感染にもつながるため、口腔ケアは毎食後行います

<領域:総合問題>

総合問題(114~125)

次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(83歳、女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断されたが、近くのスーパーへの買物や、近所の散歩には出かけていた。
1か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。

問題114 現在のJさんに心配される病態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

フレイルとは、加齢に伴って筋力や活力が低下した状態のことです。

Jさんは右膝の痛みがあり、散歩にも行かなくなるなど活動量が低下しています。

また、食事量も減ってきており、筋力や活力が低下したフレイルの病態にならないか心配されます。

✕ 不正解

不定愁訴(ふていしゅうそ)とは、「頭が重い」「疲れやすい」などさまざまな自覚症状を訴えるが、検査をしても異常が見つからない状態のことです。

Jさんは、明確な理由が分かっているので当てはまりません。

✕ 不正解

寛解(かんかい)とは、病気による症状や検査結果に異常が現れなくなった状態のことです。

Jさんは、膝の痛みが悪化しているので当てはまりません。

✕ 不正解

不穏とは、落ち着きがなくなり、興奮している状態のことです。

現在のJさんの状態には当てはまりません。

✕ 不正解

せん妄とは、意識障害の一種で、軽い意識混濁や興奮、幻覚・妄想などがみられる状態のことです。

現在のJさんの状態には当てはまりません。

問題115 Jさんは、食事量は回復したが、膝に痛みがあり、家の中ではつかまり歩きをしていた。要介護認定を受けたところ要支援2と判定され、家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。
通所初日、車で迎えに行くと、Jさんは、「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い、玄関の前からなかなか動かなかった。
このときの介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

Jさんは、人付き合いが苦手であり、通所型サービスを利用することに不安を感じています。

よって、強引に車に乗るような声掛けは、Jさんの気持ちに配慮した言葉かけではありません。

✕ 不正解

Jさんの不安な気持ちを受け止めていますが、介護福祉職の判断で休みにするのは適切ではありません。

✕ 不正解

Jさんは、膝の痛みはあるものの、家の中ではつかまり歩きができています。

玄関の前から動かなかったのは、通所事業サービスの利用に不安を感じているからであり、車いすを提案するのは適切ではありません。

◯ 正解

Jさんの不安な気持ちに寄り添った、適切な言葉かけです。

✕ 不正解

Jさんの気持ちをより不安にさせてしまう言葉かけになるので、適切ではありません。

問題116 その後、Jさんは少しずつ回復し、膝の痛みもなく、家の中では何もつかまらずに歩くことができている。一人で散歩に出ようという意欲も出てきた。
Jさんは、介護福祉職にもっと安定して歩けるように練習をしていきたいことや、外出するときは膝の負担を減らすために杖を使用したいと思っていることを話した。
Jさんに合った、杖を使った歩き方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

杖は基本的に健側の手で持ちます。Jさんは右膝に痛みがあるので、杖は左手で持ちます。

杖を使用する場合は、①杖(健側)→②杖と反対の足(患側)→③杖側の足(健側)三動作歩行が基本となります。

よって、Jさんは杖は健側の左手で持ち、杖を出した後に患側の右足を出し、次に健側の左足を出します。

※問題文からは、選択肢1と3のいずれも正答となる余地があり、「最も適切なものを1つ」選ぶことができないため、問題として成立していません。よって、全員に得点する措置が取られました。

✕ 不正解

杖は基本的に健側の手で持ちます。Jさんは右膝に痛みがあるので、杖は左手で持ちます。

◯ 正解

杖は基本的に健側の手で持ちます。Jさんは右膝に痛みがあるので、杖は左手で持ちます。

杖歩行に慣れている場合は、①杖(健側)と患側の足を同時に出す→②健側の足をだす二動作歩行をすることで、三動作歩行より速く歩くことができます。

※問題文からは、選択肢1と3のいずれも正答となる余地があり、「最も適切なものを1つ」選ぶことができないため、問題として成立していません。よって、全員に得点する措置が取られました。

✕ 不正解

杖は基本的に健側の手で持ちます。Jさんは右膝に痛みがあるので、杖は左手で持ちます。

✕ 不正解

Jさんは右膝に痛みがあります。左手の杖と左足を出すと、痛みのある右膝に体重がかかり、負担となってしまいます。

次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。

〔事 例〕
Kさん(80歳、女性)は夫が亡くなった後、自宅で一人暮らしをしていた。ある日、一人娘のLさんが訪ねると、ごみが散乱しており、冷蔵庫の中には古くなった食材がたくさん入っていた。
変化に驚いたLさんはKさんと病院を受診したところ、認知症(dementia)と診断された。Lさんは、Kさんに家庭的な雰囲気の中で生活をしてほしいと考えた。その結果、Kさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用することになった。
入居して1週間が経過し、Kさんと関わったM介護福祉職は、Kさんは短期記憶の低下により、最近の出来事については話すことは難しいが、自分が学校に通っていた頃の話や、子どもの頃に歌っていた歌については生き生きと話すことを確認した。

問題117 M介護福祉職は、Kさんが今持っている認知能力を活用して、ほかの利用者と交流する機会を作りたいと考え、Kさんとほかの利用者に参加してもらう活動を企画することにした。
M介護福祉職が企画した活動の手法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

リアリティ・オリエンテーションは、日時や場所、名前などの正しい情報を繰り返し説明することで、見当識障害を改善するための訓練です。

Kさんとほかの利用者との交流する機会を作る手法としては最適ではありません。

✕ 不正解

ピアカウンセリングは、同じ障害や悩みを抱える仲間(ピア)同士が、対等な立場で話し合いを繰り返すことで、自身の感情を開放し、問題解決を図る方法です。

Kさんが今持っている認知能力を活用した活動ではありません。

✕ 不正解

スーパービジョンは、熟練した援助の専門家(スーパーバイザー)が、経験の浅い職員(スーパーバイジー)に対して、専門的スキル向上のために教育や指導を行うことです。

Kさんにふさわしい活動の手法ではありません。

◯ 正解

回想法は、昔の写真や音楽、馴染みのあるものを使用して、幼少時の頃の記憶や思い出を語り合う心理療法のことです。

思い出を語り合うことで脳が活性化されるため、認知症の予防や進行の抑制にも効果があるとされています。

Kさんは、自分が学校に通っていた頃の話や子供の頃に歌っていた歌については生き生きと話しており、回想法によってほかの利用者との交流を行うことができると考えられます。

✕ 不正解

社会生活技能訓練は、精神障害者を対象とした認知行動療法に基づいたリハビリテーション方法のことです。

Kさんにふさわしい活動の手法ではありません。

問題118 ある日、M介護福祉職がKさんの入浴介護を行っていたところ、手のひらや指の間に赤い丘疹を確認した。M介護福祉職がKさんに、「かゆくないですか」と聞くと、「かゆい」と答えた。そのため、病院を受診したところ、角化型疥癬(hyperkeratotic scabies)と診断された。
Kさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

服にもヒゼンダニが付着している可能性があるので、ビニール袋に入れて運びます。

✕ 不正解

疥癬の感染経路は接触感染なので、Kさんにマスクを着けてもらっても感染予防の効果はありません。

✕ 不正解

感染力が非常に強いので、一定期間(1〜2週間くらい)Kさんを個室に隔離する必要があります。

✕ 不正解

疥癬の感染経路は接触感染なので、介護をするときは使い捨てのガウンや手袋を使用する必要があります。

✕ 不正解

ほかの利用者への感染を防ぐために、Kさんの入浴の順番は最後にします。

問題119 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用するKさんの要介護度に変更があった場合に影響があるものとして、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

介護保険料は、市町村ごとに所得に応じて設定されます。

◯ 正解

認知症対応型共同生活介護費は、要介護度に応じて1日単位の金額が設定されます。

✕ 不正解

介護サービスの利用者負担割合は、所得に応じて設定されます。

✕ 不正解

食費は、介護保険給付の対象外です。

✕ 不正解

居住費は、介護保険給付の対象外です。

次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。

〔事 例〕
Aさん(10歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)であり、多動で発語は少ない。毎日のように道路に飛び出してしまったり、高い所に登ったりするなど、危険の判断ができない。また、感情の起伏が激しく、パニックになると止めても壁に頭を打ちつけ、気持ちが高ぶると騒ぎ出す。お金の使い方がわからないため好きなものをたくさん買おうとする。
現在は、特別支援学校に通っており、普段の介護は母親が一人で担っている。

問題120 Aさんのこのような状態に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

注意障害とは、注意力が散漫になり、1つのことに集中して取り組むことができなくなる障害です。

高次脳機能障害にみられる症状のひとつです。

✕ 不正解

遂行機能障害とは、物事を計画立てて行うことができなくなる障害です。

高次脳機能障害にみられる症状のひとつです。

◯ 正解

強度行動障害とは、自傷行為や他の人に危害を及ぼす行動が見られ、特別な支援がないと生活が難しい障害のことです。

自閉症スペクトラム障害や重度の知的障害のある人にみられやすい症状です。

✕ 不正解

記憶障害とは、自分の体験した記憶が思い出せなかったり、新しいことを覚えることが出来なくなったりする障害です。

高次脳機能障害や認知症などでよくみられる症状です。

✕ 不正解

気分障害とは、気持ちが落ち込んだり、高ぶったりする感情の起伏が激しい状態のことです。

感情障害ともよばれ、自閉症スペクトラム障害でみられる症状です。

問題121 Aさんの将来を考え、家族以外の支援者と行動できるようにすることを目標に障害福祉サービスを利用することになった。介護福祉職と一緒に散歩に行き、外出時のルールを覚えたり、移動中の危険回避などの支援を受けている。
Aさんが利用しているサービスとして、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

同行援護は、視覚障害によって移動に著しい困難をともなう者に対して、外出時に同行して、移動に必要な情報の提供や、移動の援護などを行います。

Aさんは、視覚障害ではないので利用できません。

✕ 不正解

自立生活援助は、定期的な巡回訪問または随時通報によって、障害者からの相談に応じて必要な情報の提供および助言などを行うサービスです。

一緒に外出などを行うサービスではないので、Aさんには当てはまりません。

✕ 不正解

自立訓練は、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、一定期間、身体機能または生活能力の向上のための訓練などを行うサービスです。

Aさんは、日常生活のために身体機能の向上を目的としているわけではないので当てはまりません。

✕ 不正解

生活介護は、常に介護を必要とする障害者に対して、障害者支援施設等において、主に昼間に、入浴・排せつ・食事の介護などを行うとともに、創作的活動や生産活動の機会を提供するサービスです。

Aさんは、施設内ではなく、外出時のサービスを利用しているので当てはまりません。

◯ 正解

行動援護は、知的障害や精神障害によって行動上著しい困難さがあり、常に介護を必要とする障害児や障害者を対象に、外出中の移動支援を行うサービスです。

Aさんが現在受けているサービス内容(介護福祉職との外出、外出時のルールを学ぶ、移動中の危機回避の支援)に当てはまります。

問題122 Aさんのサービス利用開始から6か月が経ち、支援の見直しをすることになった。Aさんの現状は、散歩では周囲を気にせず走り出すなど、まだ危険認知ができていない。介護福祉職はルールを守ることや周りに注意するように声かけをするが、注意されるとイライラし、パニックになることがある。
一方で、スーパーではお菓子のパッケージを見て、硬貨を出し、長時間その場から動こうとしない。介護福祉職は、Aさんがお菓子とお金に注目している様子から、その力を引き出す支援を特別支援学校に提案した。
介護福祉職が特別支援学校に提案した支援の背景となる考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

◯ 正解

エンパワメントとは、利用者が自らの問題を主体的に解決する力を引き出すことを意味する言葉です。

お菓子のパッケージを見て、硬貨を出しているAさんが、自分の力で買い物ができるように力を引き出す支援は、このエンパワメントの考え方が背景にあります。

✕ 不正解

アドボカシー(権利擁護)とは、利用者の意思や主張を代弁することを意味する言葉です。

✕ 不正解

ピアサポートとは、同じ経験や体験をしている人同士(ピア)が集まって、語り合うことでお互いに支え合う(サポート)ことを意味する言葉です。

✕ 不正解

ノーマライゼーションとは、障害がある人もない人も、住み慣れた地域で、同じように共に生き、普通に生活をするという考え方を意味する言葉です。

✕ 不正解

インクルージョンとは、障害のある人をはじめ、それぞれに必要な援助を行いながら、ともに成長・発達し、共生していく教育のあり方を意味する言葉です。

次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。

〔事 例〕
Bさん(45歳、女性)はアパートで一人暮らしをしていた。家族や親戚との付き合いはなかったが、趣味も多く、充実した生活を送っていた。
ある日、車で買物に行く途中、交通事故を起こし、U病院に救急搬送され手術を受けた。
手術の数日後、医師から、頸髄損傷(cervical cord injury)があり、第5頸髄節まで機能残存するための手術をしたこと、今後の治療方針、リハビリテーションによって今後の生活がどこまで可能になるかについて、丁寧に説明を受けた。

問題123 Bさんの今後の生活に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

第5頸髄節(C5)までの機能残存では、肩や肘、前腕の一部を動かすことができますが、体幹や下腿は麻痺しているため、自力歩行はできません。

✕ 不正解

第5頸髄節(C5)までの機能残存では、肩や肘、前腕の一部を動かすことができます。

自走式標準型車いすを自分で操作できるのは、第8頸髄節(C8 )までの機能が残存している場合になります。

✕ 不正解

呼吸障害が起こり、人工呼吸が必要になるのは、第1頸髄節(C1)から第3頸髄節(C3)の損傷レベルになります。

◯ 正解

第5頸髄節(C5)までの機能残存では、肩や肘、前腕の一部を動かすことができます。

よって、電動車いすを自分で操作することは可能です。

損傷レベル運動機能ADL
C1〜C3呼吸障害あり、人工呼吸器が必要です
上肢・下肢・体幹すべてが麻痺状態
全介助が必要
C4自発呼吸ができる全介助が必要
C5肩・肘・前腕の一部を動かせる手を使った動作以外、介助が必要
C6手首を動かすことができる自助具を使用して食事ができる
C7肘を伸ばすことができる
プッシュアップができる
食事・整容・更衣ができる
起き上がりができる
C8上肢が全て動く車いすでのADLが自立している
✕ 不正解

第5頸髄節(C5)までの機能残存では、肩や肘、前腕の一部を動かすことができますが、指を使った細かい作業は困難です。

問題124 Bさんは、入院当初は落ち込んでいたが、徐々に表情が明るくなり、U病院でのリハビリテーションにも積極的に取り組むようになった。現在はVリハビリテーション病院に転院して、退院後の生活に向けて身体障害者手帳を取得し、準備を進めている。Bさんは、以前のようなアパートでの一人暮らしはすぐには難しいと考え、障害者支援施設への入所を考えている。
障害者支援施設に入所するために、Bさんがこの時期に行う手続きとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

介護支援専門員に相談して、居宅サービス計画を作成してもらうのは、介護保険制度による介護給付を受ける場合です。

よって、Bさんが障害者支援施設に入所するための手続きではありません。

✕ 不正解

Bさんが障害者支援施設に入所するためには、要介護認定ではなく、障害支援区分認定を受ける必要があります。

✕ 不正解

介護支援専門員に相談して、施設サービス計画を作成してもらうのは、介護保険制度による介護給付を受ける場合です。

よって、Bさんが障害者支援施設に入所するための手続きではありません。

✕ 不正解

障害福祉サービスを利用するためには、市町村の窓口に申請し、障害支援区分の認定を受ける必要があります。

選択肢は、障害支援区分の認定を受けた後の手続きになるため、適切ではありません。

サービス等利用計画を作成するのは、Bさんから依頼を受けた指定特定相談支援事業者が行います。

◯ 正解

障害福祉サービスを利用するためには、市町村の窓口に申請し、障害支援区分の認定を受ける必要があります。

問題125 その後、Bさんは希望どおり障害者支援施設に入所した。入所した施設では、C介護福祉職がBさんの担当になった。C介護福祉職は、Bさんから、「日常生活で、もっと自分でできることを増やし、いずれは地域で生活したい」と言われた。そこでC介護福祉職は、施設内の他職種と連携して支援を行う必要があると考えた。
C介護福祉職が連携する他職種とその業務内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

工作などの作業を行いながら身体機能の回復を図るためには、作業療法士と連携します。

看護師は、医師の指示・管理下で療養上の世話または診療の補助などを行います。

◯ 正解

選択肢のとおりです。

✕ 不正解

趣味活動を増やすためには、介護福祉職をはじめとした職種と連携します。

管理栄養士は、栄養状態の面から健康増進を図ります。

✕ 不正解

活用できる地域のインフォーマルサービスを検討するためには、社会福祉士と連携します。

義肢装具士は、医師の指示の下に、義肢や装具の採寸・採型・製作、身体への適合などを行います。

✕ 不正解

栄養状態の面から健康増進を図るためには、管理栄養士と連携します。

社会福祉士は、活用できる地域のインフォーマルサービスの検討などを行います。


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