人は誰しも、役割を演じて生きています。
会社員、母親、店員など、おかれた地位や立場によって、求められる役割が違います。
与えられた役割に、喜びを感じる人もいれば、苦しんでいる人もいるかもしれません。
今回はそんな「役割」について解説していきます。
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字のごとく、役割とは「割り当てられた役目」のことです。
社会の中では、会社員、店員、警察官など仕事によって異なりますし、
社長、部長、〇〇担当など地位や立場によっても役割が違います。
家庭でも、母親、子どもなど、それぞれに役割があります。
そんな役割に関する用語が国家試験でも出題されたことがあります。
今回は代表的な役割理論に関する用語を紹介します。
役割期待
人は誰しも、周囲から役割を演じることを期待されています。
例えば、会社から「社長」という役割を与えられたり、
家族から「母親」をいう役割を演じることを期待されます。
これを「役割期待」といいます。
人には、与えられた役割にふさわしい行動や、その立場にあるべき姿を期待されているということです。
・社長→会社のリーダーをしての責任、リーダーシップなど
・母親→子どもの世話、料理、洗濯など
役割取得
役割期待を受け入れて、そのように行動することを「役割取得」といいます。
・社長→リーダーシップを発揮して、会社を引っ張る
・母親→率先して、家事や育児を行う
役割適応
役割期待に応え、行動できている状態を「役割適応」といいます。
役割形成
期待された役割以外にも、状況に応じて新しい役割を取り入れて、行動することを「役割形成」といいます。
役割距離
すべての人が、役割期待どおりに役割を演じられるわけではありません。
期待されていることから距離をとって、違った行動をとることがあります。
これを「役割距離」といいます。
人は、期待されている役割から距離をとって、期待通りに役割を演じないことがあるということです。
※意図的に距離を取ることもあれば、無意識のうちに距離をとっていることもあります。
・子ども→食事中にご飯で遊びはじめてしまう
役割葛藤
立場によっては、複数の役割を担うこともあります。
例えば、社会の中では会社員として、家族の中では母親としての役割を担う人もいるでしょう。
そのような立場に置かれた場合、役割同士が矛盾したり、対立することがあります。
こういったときに起こる葛藤を「役割葛藤」といいます。
・働いている女性→どうしても休めない会議があるが、子どもが熱を出したので保育園に迎えに行かないといけない
役割演技(ロールプレイ)
与えられた役割を演じたり、役割を他人と交換することで自己理解や他者理解を促すことを「役割演技」といいます。
主に心理療法の手段として用いられますが、語学習得や企業研修といった教育の場面でも使用される学習方法になります。
第33回 過去問
問題3 人間関係における役割葛藤の例として、適切なものを1つ選びなさい。
生活支援相談員の期待に応えようと作業態度を真似ることは「役割期待」(もしくは「役割取得」)の例になります。
就労継続支援とは?A型・B型の違いについても解説!役割葛藤とは、同一人物が複数の役割の中で葛藤することを言います。
家族介護者が、仕事と介護という2つの役割の両立に悩むことは「役割葛藤」の例になります。
利用者の役を演じることは「役割演技(ロールプレイ)」の例になります。
採用面接の模擬訓練中にふざけて冗談を言ってしまうのは「役割距離」の例になります。
代わりに役割を担うのは「役割形成」の例になります。