第36回 筆記試験日 2024年1月28日(日)

就労継続支援とは?A型・B型の違いについても解説!

就労継続支援とは、障害者総合支援法にもとづいた福祉サービスのひとつになります。

企業などで働くことが困難な場合に、働くための準備をサポートしたり、働く場所を提供します。

今回は、就労継続支援とは何か、もとになっている法律から、それぞれのサービス内容について解説していきます。

障害者総合支援法とは

就労継続支援は「障害者総合支援法」に基づくサービスになります。

「障害者総合支援法」は、障害のある人の日常生活および社会生活を総合的に支援することを目的とした法律になります。

正式には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」といいます。

すでに施行されていた「障害者自立支援法」の内容や問題点を見直し、

法律を改正するかたちで、2013年4月に施行されました。

その後も3年を目安に法案の見直しが行われています。

就労系障害福祉サービスの種類

「障害者総合支援法」にもとづいた就労系の障害福祉サービスは、4種類あります。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労定着支援

それぞれ何が違うの?

これから解説していくね!

就労移行支援

就労移行支援とは、就労を希望する障害者であって、一般企業に雇用されることができると見込まれる人に対して、一定期間就労に必要な知識や技能を向上させるために必要なトレーニングを行います。

就労移行支援の流れ

施設内でのトレーニング

・施設内の作業訓練を通じて、体力や集中力の向上を目指します。

・SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)やグループワークなどを通じて、コミュニケーション能力の向上を目指します。

施設外でのトレーニング

・施設の外で活動することで、環境の変化やストレスに馴染んでいくことを目指します。

企業への実習(職場体験)を通じて、働くイメージ作りや職場の環境について学びます。

就職活動

・ハローワークなどを利用し、就職先を一緒に探します。

・就職希望先で職場実習を一定期間行います。

・働き続けるための課題を把握して、状況を整理します。

就職と定着支援

・企業とのマッチングが成功すると、就職となります。

就職後6ヶ月間は、職場への定着のために必要な相談なども行います。

就労移行支援は、一般就職に向けたトレーニングや就職、定着のための支援を行います。就労移行支援には、原則2年という制限があり、賃金は基本的には発生しません。

就労継続支援A型

就労継続支援A型とは、一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である人に対して、雇用契約を結んだ上で、働くことができる場所の提供を行います。

・移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった人

・特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった人

・過去に就労経験はあるが、現在雇用関係の状態にない人

就労移行支援とは何が違うの?

就労移行支援が就職のためのトレーニング、就労継続支援は働く場(事業所)を提供するのが主な役割になっています。


「A型」のポイント

雇用契約が結ばれているため、利用者は原則、法律で規定された最低賃金以上の賃金を受け取ることができます。

就労継続支援B型

就労継続支援B型とは、一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である人に対して、雇用契約は結ばずに、働くことができる場所の提供を行います。

・過去に就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人

・50歳に達している、または障害基礎年金1級を受給している人

・そのほか、就労移行支事業者等によって就労継続支援B型事業の利用が適切であるとされた人

就労継続支援には、雇用契約を結ぶ「A型」と雇用契約を結ばない「B型」の2種類あります。

ほかに違いはないの?

「A型」は賃金(給与)の支払いが発生し、「B型」は賃金(工賃)の支払いが発生します。


「B型」のポイント

雇用契約がなく、利用者は成果物への報酬の「工賃」というかたちで賃金を受け取ります。

※工賃は法律で定められている最低賃金を下回ることが多くなっています。

一方で、雇用契約に縛られないため、利用者が自身の状況に合わせてペースを崩さずにはたらけるという特徴があります。

A型とB型の違い

A型B型
雇用契約ありなし
賃金給与工賃
年齢制限65歳未満なし

就労定着支援

就労移行支援や就労継続支援のサービスを利用して、仕事につくことができたとしても

障害のある方が働き続けることは簡単ではありません。

仕事の内容や賃金、労働条件のほかにも職場の雰囲気や人間関係、体力との関係、通勤など、さまざまな理由から仕事をやめてしまう方もいます。

こういった問題をふまえて、2018年に改正された障害者総合支援法に基づいて、新設されたのが「就労定着支援」の事業になります。

就労定着支援では、就労移行支援や就労継続支援などを経て、一般企業に新たに雇用された方で、就労に伴う環境の変化によって生活面の課題が生じている人に対して、企業との連絡調整や日常生活のサポートを行います。

一般就労から、6カ月が経過した人を対象にしたサービスになります。

比較表

就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型就労定着支援
対象者一般企業への雇用が見込まれる方一般企業への雇用が困難な方一般企業への雇用が困難な方一般企業に新たに雇用された方
サービス内容就職に向けたトレーニング
就職支援・定着支援
働く場の提供働く場の提供企業との連絡調整
日常生活のサポート
利用期間基本2年制限なし制限なし3年

過去問

第33回 人間関係とコミュニケーション

問題3 人間関係における役割葛藤の例として、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

利用者が生活支援相談員の期待に応えようと作業態度を真似ることは役割葛藤ではないため不正解。

◯ 正解

役割葛藤とは1つの役割の中で葛藤することである。家族介護者が、介護者という役割の中で、仕事と介護の両立に悩むことは役割葛藤であるため正解。

✕ 不正解

利用者の役を演じることは「役割演技(ロールプレイ)」であって、役割葛藤ではないため不正解。

✕ 不正解

緊張から生じた行動かもしれないが、葛藤が生じているわけでないため不正解。

✕ 不正解

遊び相手という役割を担っているが、葛藤が生じているわけではないため不正解。

参考

外部サイト障害者の就労支援対策の状況│厚生労働省

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