第36回 筆記試験日 2024年1月28日(日)

尿失禁の原因と症状、分類について【こころとからだのしくみ】

今回は尿失禁の原因と症状、分類について確認していきます。

尿失禁とは

「尿失禁」という言い方は医学用語で、「尿もれ」のほうが馴染みがあるかもしれません。

医学的な尿失禁の定義は以下のとおりです。

  • 自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと

40歳以上の方の約4割が、尿失禁の経験があるとも言われており、

その割合は加齢とともに増加していきます。

尿失禁の原因と分類

尿失禁の原因はさまざまで、分類の仕方も学会やテキストによって異なります。

今回は、国家試験で過去に出た分類に合わせています。

尿失禁の分類

腹圧性尿失禁

切迫性尿失禁

混合性尿失禁

溢流性尿失禁

反射性尿失禁

機能性尿失禁

それぞれ確認していきましょう。

腹圧性尿失禁

重いものを持ち上げたり、せきやくしゃみなどによって腹圧がかかったときに尿がもれてしまいます。

加齢や出産、肥満などによって骨盤底筋群が弱くなることが原因になります。

切迫性尿失禁

突然、強い尿意を感じ、トイレまで我慢ができずに尿がもれてしまいます。

多くの場合、特に原因がなく膀胱が勝手に収縮してしまいますが、男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も原因となります。

混合性尿失禁

「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」が混合するタイプの尿失禁です。

溢流性尿失禁

尿が出にくくなる排尿障害によって、尿意を感じても排尿ができず、膀胱がいっぱいになると少しずつ尿がもれてしまいます。

男性は前立腺肥大による尿道通過の障害、女性は直腸がんの手術後に膀胱周辺の神経機能が低下することなどが原因となります。

反射性尿失禁

尿意が感じられないのに、膀胱にある程度尿が溜まると、膀胱が反射的に収縮して尿がもれてしまいます。

脊髄損傷や脳障害などが原因となります。

機能性尿失禁

認知機能や運動機能の低下によって、トイレまでの移動や排泄動作などに時間がかかり、尿がもれてしまいます。

膀胱や尿道に異常はありません。

過去問

第33回 こころとからだのしくみ

問題104 Gさん(83歳、女性)は、認知機能は正常で、日常生活は杖歩行で自立し外出もしていた。最近、外出が減ったため理由を尋ねたところ、咳やくしゃみで尿が漏れることが多いため外出を控えていると言った。Gさんの尿失禁として、適切なものを1つ選びなさい。

✕ 不正解

機能性尿失禁は、認知機能や運動機能の低下によって、トイレまでの移動や排泄動作などに時間がかかり、尿がもれてしまいます。

Gさんは認知機能は正常で、杖歩行で自立しているため当てはまりません。

◯ 正解

腹圧性尿失禁は、加齢や肥満、出産などによって骨盤底筋群が弱くなり、咳やくしゃみなどで腹圧がかかったときに、尿が漏れてしまいます。

Gさんは、「咳やくしゃみで尿が漏れることが多い」と発言しているため、腹圧性尿失禁と考えられます。

✕ 不正解

溢流性尿失禁は、前立腺肥大症や神経因性膀胱などにより、膀胱が尿でいっぱいになって尿が少しずつ漏れてしまいます。

Gさんの尿失禁には当てはまりません。

✕ 不正解

反射性尿失禁は、脊髄損傷などにより、膀胱にある程度尿が溜まっても尿意を感じられず、膀胱が反射的に収縮して尿が漏れてしまいます。

Gさんの尿失禁には当てはまりません。

✕ 不正解

切迫性尿失禁は、加齢による膀胱括約筋の弛緩などにより、強い尿意を感じてからトイレに行くまで我慢できずに漏れてしまいます。

Gさんの尿失禁には当てはまりません。

参考

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