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<領域:人間と社会>
人間の尊厳と自立(1~2)
問題1 Aさん(76歳、女性、要支援1)は、一人暮らしである。週 1 回介護予防通所リハビリテーションを利用しながら、近所の友人たちとの麻雀を楽しみに生活している。最近、膝に痛みを感じ、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断された。同時期に友人が入院し、楽しみにしていた麻雀ができなくなった。Aさんは徐々に今後の生活に不安を感じるようになった。ある日、「自宅で暮らし続けたいけど、心配なの・・・」と介護福祉職に話した。
Aさんに対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
要介護認定は、介護サービスの必要度(要介護度)を判定するために行います。
Aさんが利用している「介護予防通所リハビリテーション」は、要支援1あるいは要支援2の認定を受けた方が対象となるサービスです。
よって、Aさんはすでに要介護認定を受けているため、申請を勧める必要はありません。
介護老人保健施設や診療所、病院において、日常生活の自立を助けるために理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図るサービスです。
要介護状態になることをできる限り防ぐ(発生を予防する)、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的としています。高齢者の有する能力に応じ、自立した生活を営むことができるよう支援します。
要支援1または要支援2の認定を受けた方が対象となります。
まずは、Aさんが感じている生活に対する不安な気持ちに着目することが大切です。
まずは、Aさんが感じている生活に対する不安な気持ちに着目することが大切です。
まずは、Aさんが感じている生活に対する不安な気持ちに着目することが大切です。
対人援助の基本的態度として、「受容」「共感」「傾聴」の姿勢が必要です。
Aさんは「自宅で暮らし続けたいけど、心配なの・・・」と話しています。
心配しているAさんの生活に対する思いを聞くことがまずは求められます。
受容
援助を求めている人を、1人の人間として受け入れようとすること
共感
相手の感情に寄り添い、相手の気持や気持ちの変化に気づいて理解しようとする態度のこと
傾聴
耳を傾けて、相手の伝えたいことを聴いて理解しようとすること
問題2 次の記述のうち、介護を必要とする人の自立についての考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
他者の支援を受けながら、本人が主体となって、選択しながら生きていくことができていれば、自立しているといえます。
「他者に支援を求める力」も含めて、「自立」と捉えることが必要です。
精神的自立は、自分の生活や人生をどう生きるのか目標を持ち、自らが主体となって行動していく中で、期待した結果が得られなくても、その結果を受け止めながら、次の課題に主体的に取り組めることをいいます。
身体的自立
精神的自立
経済的自立
社会的自立
社会的自立は、社会のルールや法令に従い、まわりの人たちと良好な関係を保ちながら、経済活動や社会活動に参加し、社会の一員として役割を担っている状態のことです。
身体的自立は、生活を維持・継続していくために必要とされる身体的動作を自分で行うことができる状態のことです。
経済的自立は、働くことによって収入を得て、金銭的な援助を受けることなく生活をすることができる状態のことです。
また、収入を得るだけでなく、その金銭をどのように使うのかを決め、計画的に消費をコントロールすることも、経済的に自立しているかをはかる大切な要素だといえます。
人間関係とコミュニケーション(3~6)
問題3 U介護老人福祉施設では、利用者の介護計画を担当の介護福祉職が作成している。このため、利用者の個別の介護目標を、介護福祉職のチーム全員で共有することが課題になっている。
この課題を解決するための取り組みとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
課題の解決には適しません。
集団規範(集団は基準を共有する)
メンバーに期待される価値観や判断、態度、行動などの基準のこと
同調行動(集団に合わせる)
他のメンバーに自分の考えや行動を合わせること
内集団バイアス(所属する集団をひいきする)
自分が所属し、身内意識を持っている集団に好意的な態度をとること
集団圧力(集団内で圧力が生じる)
少数意見を持つ人が、多数意見に合わせるように強制されること
集団凝集性(集団はまとまる)
メンバーをその集団にとどまらせようとする力のこと
問題4 Bさん(90歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。入浴日に、担当の介護福祉職が居室を訪問し、「Bさん、今日はお風呂の日です。時間は午後3時からです」と伝えた。しかし、Bさんは言っていることがわからなかったようで、「はい、何ですか」と困った様子で言った。
このときの、介護福祉職の準言語を活用した対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Bさんを怖がらせてしまう可能性があるため、適切ではありません。
適度に抑揚をつけないと相手に伝わりにくいため、適切ではありません。
Bさんが聞き取りやすい対応のため適切です。
準言語コミュニケーション
声の大きさ、高さ、質、語尾の抑揚、滑舌、イントネーション、話す速さなど
お互いに会話のペースが崩れてしまうため、適切ではありません。
高齢者にとって聞き取りにくいため、適切ではありません。
問題5 V介護老人福祉施設では、感染症が流行したために、緊急的な介護体制で事業を継続することになった。さらに労務管理を担当する職員からは、介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントに取り組む必要性について提案があった。
次の記述のうち、このマネジメントに該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントにはなりません。
介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントにはなりません。
介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントにはなりません。
介護福祉職の燃え尽き症候群を防止することは、介護福祉職の精神的健康を守るうえで最も重要なことです。
燃え尽き症候群(バーンアウト(burnout))
強い使命感や責任感を持って仕事に取り組んでいた人が、突然、燃え尽きたようにやる気を失ってしまう症状
介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントにはなりません。
問題6 次のうち、介護老人福祉施設における全体の指揮命令系統を把握するために必要なものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
組織図には、すべての事業や部門、職位などが記載されており、担当者がひと目で分かります。
組織内の階層や、それぞれの指揮命令系統も組織図から読み取ることができます。
勤務表には、社員の勤務状況や休暇の取得状況などがまとめられています。
勤務している社員の男女比など確認できますが、施設全体の指揮命令系統を把握するために必要なものではありません。
経営理念とは、企業や組織が存在する目的や価値観、ビジョンを明確にし、それらを実現するためのガイドラインを明文化したものです。
企業の存在意義や使命を明確にするものであり、施設全体の指揮命令系統を把握するために必要なものではありません。
施設内のルールや価値観の変遷を知ることができますが、施設全体の指揮命令系統を把握するために必要なものではありません。
施設全体のサービス提供能力を知ることができますが、施設全体の指揮命令系統を把握するために必要なものではありません。
社会の理解(7~18)
問題7 次のうち、セルフヘルプグループ(self-help group)の活動に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
断酒会は、1958年に誕生した酒害者による、酒害者のための自助組織で、セルフヘルプグループの活動に該当します。
何らかの共通している問題や課題を抱えている本人や家族等で構成される当事者グループ
同じ悩みを持つ当事者同士がお互いに理解し、支え合うことによって問題を解決していこうという取り組み、組織のことである。
具体的には、日本身体障害者団体連合会、全日本ろうあ連盟、日本視覚障害者団体連合会、全日本手をつなぐ育成会、断酒会などがある。
こども食堂は、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂で、民間発の自主的・自発的な取組みです。
セルフヘルプグループの活動には該当しません。
問題8 特定非営利活動法人(NPO法人)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1998年(平成10年)12月に施行された「特定非営利活動促進法」に基づいて設置されます。
原則として都道府県知事もしくは指定都市の長が認証します。
特定非営利活動促進法 第9条
特定非営利活動法人の所轄庁は、その主たる事務所が所在する都道府県の知事(その事務所が一の指定都市の区域内のみに所在する特定非営利活動法人にあっては、当該指定都市の長)とする。
特定非営利活動法人(NPO法人)
NPO(Non-Profit Organization)は、継続的、自発的に社会貢献活動を行う営利を目的としない民間組織
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
NPO法人は、活動資金を集めるために収益事業を行うことができます。
特定非営利活動促進法 第5条
特定非営利活動法人は、その行う特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、当該特定非営利活動に係る事業以外の事業を行うことができる。この場合において、利益を生じたときは、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない。
宗教活動や政治活動を主たる目的とする活動は禁止されています。
特定非営利活動促進法 第2条第2項第2号
・宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的としていない
・政治上の主義を推進し、指示し、又はこれに反対することを主たる目的としていない
問題9 地域福祉において、19世紀後半に始まった、貧困地域に住み込んで実態調査を行いながら住民への教育や生活上の援助を行ったものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
世界保健機関(WHO:World Health Organization)
すべての人々の健康を増進し保護するため互いに他の国々と協力する目的で1948年に設立された組織
福祉事務所
福祉六法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務を行う社会福祉行政機関
地域包括支援センター
地域において、保健、福祉、医療などの様々な分野において総合的に高齢者の生活を支援する拠点となる機関
生活協同組合
一人ひとりがお金(出資金)を出し合い、みんなで利用、運営しながら暮らしを向上させていく消費者の協同組合
セツルメント
貧しい人が多く住む区域に定住し、住民と親しく触れ合ってその生活の向上に努める社会運動
19世紀後半にイギリス・ロンドンにてトインビー・ホール(ボランティアによる教育・福祉活動の拠点)が誕生したことに始まる。
問題10 社会福祉基礎構造改革に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
社会福祉基礎構造改革では、50年間続いた社会福祉事業法が社会福祉法に改正され、内容も大きく変更されました。
社会福祉法
社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定めた法律
1951年に制定された社会福祉事業法は、2000年に社会福祉法に改正された。
社会福祉基礎構造改革では、行政がサービスを決定する措置制度から利用者が自らサービスを選択する利用契約制度に変更されました。
支援費制度
障害者自らがサービスを選択し、事業者と対等な立場で契約を結ぶことにより、サービスを利用する制度
社会福祉基礎構造改革では、それまで国、地方自治体、社会福祉法人などに限られていたサービス提供事業者の範囲を拡大し、民間営利企業も参入できるようになりました。
社会福祉基礎構造改革では、介護保険制度だけでなく、障害福祉分野においても措置制度から利用契約制度への移行が検討され、2003年から支援費制度が施行されました。
支援費制度
障害者自らがサービスを選択し、事業者と対等な立場で契約を結ぶことにより、サービスを利用する制度
現在行われている日常生活自立支援事業は、もとは地域福祉権利擁護事業という名称で1999年に創設されました。
日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)
認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など判断能力が十分でない方々に対して、地域で自立した生活が送ることができるよう福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理等を行う事業。
1999年に地域福祉権利擁護事業として創設され、2007年度から日常生活自立支援事業へと事業名が変更された。
社会福祉基礎構造改革
1951年から続いていた社会福祉事業法をはじめとする関連の法律が一度に改正された一連の改革
問題11 Cさん(77歳、男性)は、60歳で公務員を定年退職し、年金生活をしている。持病や障害はなく,退職後も趣味のゴルフを楽しみながら健康に過ごしている。ある日、Cさんはゴルフ中にけがをして医療機関を受診した。
このとき、Cさんに適用される公的医療制度として、正しいものを1つ選びなさい。
国民健康保険
他の医療保険制度(被用者保険、後期高齢者医療制度)に加入していない全ての住民の方を対象とした医療保険制度
日本国内に住所を有する方であって、以下のいずれにも該当しない方は、国民健康保険の被保険者となります。
・ 他の医療保険(健康保険)に加入している方、その被扶養者
・ 生活保護を受けている方
・ 後期高齢者医療制度に加入している方
・ 短期滞在在留外国人の方 など
後期高齢者医療制度
75歳以上の高齢者(65歳以上74歳以下の方で、寝たきり等一定の障害があると認定された方を含む)が加入する独立した医療制度
Cさんが加入してきた医療保険制度
国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員が対象となる医療保険制度
他の医療保険制度に加入していない全ての住民の方を対象とした医療保険制度
75歳以上の高齢者が加入する独立した医療制度
共済組合保険
国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員が対象となる医療保険制度
障害者総合支援法によって規定されている自立支援医療費の1つで、障害のある方が対象となります。
育成医療
身体に障がいがあり、治療により生活能力を獲得するために行われる手術等の医療行為を受ける18歳未満の児童の医療費の一部を助成する制度
障害者総合支援法によって規定されている自立支援医療費の1つで、障害のある方が対象となります。
更生医療
身体障がい者手帳を持ち、その障がいを除いたり苦痛を軽減したりする医療行為を受ける18歳以上の方の医療費の一部を助成する制度
問題12 次のうち、介護保険法に基づき、都道府県・指定都市・中核市が指定(許可)、監督を行うサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。
市町村が指定・監督を行います。
市町村が指定・監督を行います。
介護サービスの指定・監督
都道府県 指定都市 中核市 | 市町村 | |
---|---|---|
予防給付 | ・介護予防サービス | ・地域密着型介護予防サービス ・介護予防支援 |
介護給付 | ・居宅介護サービス ・施設サービス | ・地域密着型介護サービス ・居宅介護支援 |
地域密着型介護サービスの1つで、市町村が指定・監督を行います。
夜間対応型訪問介護
夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問するサービス
<定期巡回>
夜間帯(18~8時)に定期的な訪問を受け、排泄の介助や安否確認などのサービスを受けることができる
<随時対応>
ベッドから転落して自力で起き上がれない時や夜間に急に体調が悪くなった時などに、訪問介護員(ホームヘルパー)を呼んで介助を受けたり、救急車の手配などのサービスを受けることができる。
市町村が指定・監督を行います。
問題13 「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
手帳の有無については明記されておらず、全ての障害者が対象となります。
障害者差別解消法 第2条「定義」
障害者
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
第7条、第8条において、「その実施に伴う負担が過重でないときは〜合理的な配慮をしなければならない」と明記されている。
合理的配慮
障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としていると意思が伝えられたとき、行政や事業者は負担が重すぎない範囲で対応すること
個人による差別行為への罰則規定はありません。
第25条、26条において、秘密保持に関する罰則規定と、事業者の報告に関する罰則規定が定められています。
虐待については、「障害者虐待防止法」において定められています。
障害者差別解消法の第1条「目的」には、「この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり〜」と明記されています。
障害者基本法第4条「差別の禁止」を具体的に実行するために、障害者差別解消法が制定されました。
障害者差別解消法
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として制定された法律。
全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として制定された。
正式名称:「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」
問題14 「障害者総合支援法」に規定された移動に関する支援の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
障害者総合支援法にもとづく地域生活支援事業によって支給されます。
移動支援
単独では外出困難な障害者(児)が、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動や社会参加のため、外出時にヘルパーを派遣し、必要な移動の介助及び外出に伴って必要となる介護を提供するサービス
(行動援護及び重度訪問介護の対象にならない場合に限る)
障害者総合支援法の給付・事業
行動援護は、知的障害または精神障害によって移動に困難がある者が利用します。
行動援護
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が行動する際の必要な援助を行います。
同行援護は、視覚障害によって移動に困難がある者が利用します。
同行援護
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の当該障害者等が外出する際の必要な援助を行います。
重度訪問介護では、自宅での介護、家事、相談など生活全般における援助や、外出時における移動中の介護を総合的に行います。
重度訪問介護
重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要するものにつき、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を行います。(日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援を含む。)
外出支援については規定されていません。
共同生活援助(グループホーム)
障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。
問題15 Dさん(80歳、男性、要介護2)は、認知症(dementia)がある。訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしをしている。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)がDさんの自宅を訪問すると、近所に住むDさんの長女から、「父が、高額な投資信託の電話勧誘を受けて、契約しようかどうか悩んでいるようで心配だ」と相談された。
訪問介護員(ホームヘルパー)が長女に助言する相談先として、最も適切なものを1つ選びなさい。
公正取引委員会
独占禁止法に基づき、私的独占の禁止や不当な取引制限の規制などを行う委員会
都道府県障害者権利擁護センター
障害者虐待防止法に基づき、使用者による障害者虐待の通報や届出の受理、障害者虐待に関する相談などを行う機関
運営適正化委員会
福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保と、福祉サービスに関する利用者等からの苦情の適切な解決等を行う機関。社会福祉法に基づき、全国の都道府県社会福祉協議会に設置されている。
不当な行為が確認された場合には、都道府県知事への通知を行います。
Dさんの長女が相談している内容は、投資信託という消費生活に関するものであるため、消費生活センターに相談するのが適切です。
消費生活センター
消費者安全法に基づき、事業者に対する消費者の苦情や相談のほかに、消費者啓発活動や生活に関する情報提供などを行う機関
市町村保健センター
地域保健法に基づき、住民に対し、健康相談・保健指導・健康診査など地域保健に関する必要な事業を行うための施設
問題16 災害時の福祉避難所に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設等の入所対象者はそれぞれ緊急入所等を含め、当該施設で適切に対応されるべきであるため、原則として福祉避難所の受入対象者とはしていない。
災害対策基本法に基づいて指定される避難所になります。
要配慮者とは
「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」(災害対策基本法第8条第2項第15号)「その他の特に配慮を要する者」として、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者、医療的ケア(※)を必要とする者等が想定される。
指定福祉避難所におけるホームヘルパーの派遣等、福祉各法による在宅福祉サービス等の提供は、福祉各法による実施を想定している。(災害救助法による救助としては予定していない。)
指定福祉避難所におけるホームヘルパーの派遣等、福祉各法による在宅福祉サービス等の提供は、福祉各法による実施を想定している。(災害救助法による救助としては予定していない。)
問題17 「感染症法」に基づいて、結核(tuberculosis)を発症した在宅の高齢者に、医療費の公費負担の申請業務や家庭訪問指導などを行う機関として、適切なものを1つ選びなさい。
(注)「感染症法」とは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」のことである。
基幹相談支援センター
障害者が地域で安心して生活できるように、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関
地域活動支援センター
障害者等を通わせ、創作的活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進などを提供する施設
保健所
地域保健に関する各種業務を行う機関
老人福祉センター
無料、または低額な料金で高齢者に関する各種の相談に応ずるとともに、高齢者に健康の増進や教養の向上、レクリエーションのための便宜を総合的に提供する施設
医療保護施設
医療を必要とする要保護者に対し、医療の給付を行う施設
※指定病院や診療所の許可病床であるため、独立した施設というよりも病院に付随する機能の施設といえる
問題18 Eさん(55 歳、女性、障害の有無は不明)は、ひきこもりの状態にあり、就労していない。父親の年金で父親とアパートで暮らしていたが、父親が亡くなり、一人暮らしになった。遠方に住む弟は、姉が家賃を滞納していて、生活に困っているようだと、家主から連絡を受けた。
心配した弟が相談する機関として、最も適切なものを1つ選びなさい。
地域包括支援センター
地域において、保健、福祉、医療などの様々な分野において総合的に高齢者の生活を支援する拠点となる機関
福祉事務所
福祉六法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務を行う社会福祉行政機関
精神保健福祉センター
精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関
公共職業安定所(ハローワーク)
仕事を探している方や人材を探している事業主の方に対して、様々なサービスを無償で提供する国(厚生労働省)が運営する総合的雇用サービス機関
年金事務所
年金の加入や住所変更の手続き、社会保険の適用や徴収、年金給付に関する相談や給付手続きなどを行う機関
<領域:こころとからだのしくみ>
こころとからだのしくみ(19~30)
問題19 次のうち、マズロー(Maslow, A.H.)の欲求階層説で成長欲求に該当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
承認欲求
他者から認められたり、尊敬されたりすることで見たされる欲求
安全欲求
心身の安心・安全を守ることで満たされる欲求
自己実現欲求
目標を持ち、達成することで満たされる欲求
マズローの欲求階層説
成長↔欠乏 | 欲求の種類 | 社会↔基本 |
---|---|---|
成長欲求 | 自己実現欲求 | 社会的欲求 |
欠乏欲求 | 承認欲求 | 社会的欲求 |
欠乏欲求 | 所属・愛情欲求 | 社会的欲求 |
欠乏欲求 | 安全欲求 | 基本的欲求 |
欠乏欲求 | 生理的欲求 | 基本的欲求 |
生理的欲求
食事・排泄・睡眠など人が生きるために必要なことを欲する欲求
所属・愛情欲求
集団に属したり、愛したり愛されたりすることで満たされる欲求
問題20 次のうち、交感神経の作用に該当するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
交感神経
からだを活動・緊張・攻撃などの方向に向かわせる神経
副交感神経
内臓の働きを高め、体を休ませる方向に向かわせる神経
自律神経
交感神経 | 副交感神経 | |
---|---|---|
収縮 | 血管 | 拡張 |
増加 | 心拍 | 減少 |
弛緩 | 気道 | 収縮 |
抑制 | 消化 | 促進 |
散大 | 瞳孔 | 収縮 |
交感神経がはたらくと、心拍数は増加します。
交感神経がはたらくと、気道は拡張します。
交感神経がはたらくと、消化は抑制されます。
交感神経がはたらくと、瞳孔は散大します。
問題21 Fさん(82 歳、女性)は、健康診断で骨粗鬆症(osteoporosis)と診断され、内服治療が開始された。
歩行で時々ふらつくが、ゆっくりと自立歩行することができる。昼間は自室にこもり、ベッドで横になっていることが多い。リハビリテーションとして週3日歩行訓練を行い、食事は普通食を毎食8割以上摂取している。
Fさんの骨粗鬆症(osteoporosis)の進行を予防するための支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
骨は適切な負荷がかかるほど、骨を作る細胞が活発になり、強くなる性質があります。
現在、週3日行っているリハビリテーションを週1日に減らすことは、骨粗鬆症の進行の予防として適切ではありません。
繊維質の多い食事は、骨粗鬆症の進行の予防として適切ではありません。
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂る必要があります。
日光浴をすることで、カルシウムを朝から吸収するときに必要なビタミンDを作ることができます。
骨粗鬆症
骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気
骨は適切な負荷がかかるほど、骨を作る細胞が活発になり、強くなる性質があります。
現在行っている自立歩行を継続することが、骨粗鬆症の進行の予防に繋がります。
骨粗鬆症の進行予防に適切なビタミンは、ビタミンD、ビタミンKなどがあります。
問題22 中耳にある耳小骨として、正しいものを1つ選びなさい。
耳小骨
鼓膜の奥にあるツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の3つの小さな骨
頭部にある骨の1つです。
頭部にある骨の1つです。
頭部にある骨の1つです。
頭部にある骨の1つです。
問題23 成人の爪に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
爪の主成分は、タンパク質の一種である「ケラチン」です。
個人差がありますが、1ヶ月で1~2mm(1日に0.1~0.2mm)伸びると言われています。
爪床は、爪(爪甲)の下にある皮下組織の一部です。
正常な爪の色は、薄いピンク色です。(爪床の毛細血管が透けるため)
爪半月は、爪の根元にある白い部分で、角質化していない爪のことです。
問題24 食物が入り誤嚥が生じる部位として、適切なものを1つ選びなさい。
誤嚥
食物などが誤って咽頭や気管に入ること
問題25 Gさん(79歳、男性)は、介護老人保健施設に入所している。Gさんは普段から食べ物をかきこむように食べる様子がみられ、最近はむせることが多くなった。義歯は使用していない。食事は普通食を摂取している。ある日の昼食時、唐揚げを口の中に入れたあと、喉をつかむようなしぐさをし、苦しそうな表情になった。 Gさんに起きていることとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
心筋梗塞では、突然の強い胸の痛みや圧迫感が見られますが、Gさんの症状には当てはまりません。
心筋梗塞
心臓に血液を送る冠動脈という血管が詰まることによって、心臓の筋肉に栄養や酸素が届かなくなり、心臓の筋肉が壊死する病気
Gさんに、皮膚症状は見られません。
蕁麻疹
皮膚の一部に少し膨らんだ発疹ができる病気
誤嚥性肺炎では、「元気がない」「食欲がない」といった症状が見られますが、Gさんの症状には当てはまりません。
誤嚥性肺炎
気管に入ってはいけない物が気管に入る(誤嚥する)ことで生じる肺炎
高齢者の誤嚥性肺炎では、発熱や咳といった症状が見られないのも特徴です。
食中毒では、下痢や腹痛、発熱、吐き気といった症状が見られますが、Gさんの症状には当てはまりません。
食中毒
食中毒を引き起こす細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気
Gさんの「唐揚げを口の中に入れたあと、喉をつかむようなしぐさをし、苦しそうな表情になった」という様子から、窒息だと考えられます。
窒息
空気の通り道である気道が塞がれて、息が詰まっている状態
問題26 Hさん(60歳、男性)は、身長170cm、体重120kgである。Hさんは浴槽で入浴しているときに毎回、「お風呂につかると、からだが軽く感じて楽になります」と話す。胸が苦しいなど、ほかの訴えはない。
Hさんが話している内容に関連する入浴の作用として、最も適切なものを1つ選びなさい。
静水圧作用
からだが水圧を受けることで、血液の循環が促進され、心臓のはたらきを活発にする作用
温熱作用
からだが温まることで血管が拡張し、血行が良くなる作用。
体内の老廃物が排出されるほか、内臓や腎臓のはたらきが活発になる。
汚れを落とすことで、感染を予防し、皮膚を清潔に保つことはできますが、Hさんの話している症状には当てはまりません。
浮力作用
重力が軽減されることで、体重が9分の1程度になる作用。
腰や膝への負担が軽減されるほか、からだへの負担が減ることでリラックスできる。
からだが温まることで新陳代謝が促進されますが、Hさんの話している症状には当てはまりません。
問題27 男性に比べて女性に尿路感染症(urinary tract infection)が起こりやすい要因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
子宮が大きくなると、膀胱が圧迫されて頻尿になりやすくなりますが、尿路感染症の要因とはなりません。
男性よりも女性の方が尿道が短く、直線的で細菌が尿道口から入りやすいため、女性のほうが尿路感染症を起こしやすいと言えます。
一般的に女性の方が腹部の筋力は弱いですが、尿路感染症の要因とはなりません。
女性ホルモンの作用は、尿路感染症の要因とはなりません。
2つの女性ホルモン
卵胞ホルモン(エストロゲン)
・女性らしいカラダをつくる。
・子宮内膜を厚くする。
・血管、骨などを健康に保つ。
・コラーゲン産生を促し、美肌をつくる。
黄体ホルモン(プロゲストーゲン)
・体温を上げる。
・子宮内膜の環境を整え、着床しやすい状態を維持する。
・排卵を抑制する。
尿道括約筋が弛緩すると、腹圧性尿失禁が起こりやすくなりますが、尿路感染症の要因とはなりません。
問題28 次のうち、眠りが浅くなる原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
抗不安薬には、不安や緊張を和らげる効果があります。また、眠くなることが多いため、睡眠補助剤として使われる場合もあります。
就寝前に飲酒は、一時的に眠気を促す作用がありますが、深い眠りを妨げ、睡眠の質の低下を招く可能性があります。
アルコールの利尿作用によってトイレの回数が増え、アルコールが代謝される過程で脳が活性化し、睡眠のリズムが乱れやすくなります。
抗アレルギー薬の代表例として、抗ヒスタミン薬があります。抗ヒスタミン薬はヒスタミンの作用をおさえることでアレルギー反応を抑えることができますが、副作用として「眠気」が見られることがあります。
うつ病やうつ状態を改善させる効果がありますが、副作用として「眠気」が見られることがあります。
足浴をすることで、全身の血行が良くなり、副交感神経が働くことでリラックスし、入眠効果を高めることができます。
問題29 概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢は「早朝覚醒」の説明です。
選択肢は「周期性四肢運動障害」の説明です。
選択肢は「睡眠時無呼吸症候群」の説明です。
選択肢は「レム睡眠行動障害」の説明です。
朝になると目覚めて、夜になると眠くなる一日のリズムのことを「概日リズム」といいます。
この概日リズムが乱れて、睡眠と覚醒のリズムに障害が出た状態を「概日リズム(睡眠)障害」といいます。
問題30 鎮痛薬としてモルヒネを使用している利用者に、医療職と連携した介護を実践するときに留意すべき観察点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
モルヒネの服用により、日中に眠気を感じたり、傾眠状態になることがあります。
不眠の症状は他の薬の副作用や、華麗・病気によって引き起こされることが多いです。
モルヒネの服用により、腸の蠕動運動が抑制されます。便は固くなり、便秘傾向になることが多いです。
モルヒネの服用により、脈拍に大きく変化が出ることはありません。
モルヒネの服用により、呼吸が浅く、弱く感じられるようになるため、気をつけて観察する必要があります。
・便が固くなる、便秘になる。
・悪心、吐き気がする。
・日中に強い眠気を感じる。
・呼吸が浅くなる、弱くなる。
・不安やイライラを感じる。
・排尿が困難になる(時間がかかる)
鎮痛剤として使用されるモルヒネは「麻薬」であるため、使用する量・時間を守り、鍵のかかる場所で厳重に管理する必要があります。
モルヒネの服用により、体温に大きく変化が出ることはありません。
発達と老化の理解(31~38)
問題31 スキャモン(Scammon, R.E.)の発達曲線に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
神経系は、受胎から4歳ころまでに成人の90%まで急速に発達します。
筋骨格系の組織は、乳幼児期に急速に発達したあと、緩やかに発達し、12歳以降の思春期から再度、急速に発達します。
生殖器系の組織は、12歳ころまではゆるやかに発達し、思春期から20歳まで急速に発達します。
スキャモンの発達曲線
アメリカの医学者であり、受胎から20歳までの器官や臓器による発達のパターンを4つに分類し、種類によって発達のスピードが違うことを発達曲線として示した。
スキャモンの発達曲線
循環器系の組織は、乳幼児期に急速に発達したあと、緩やかに発達し、12歳以降の思春期から再度、急速に発達します。(筋骨格系の組織と同様)
リンパ系の組織は、12歳頃には成人のレベルを超えてピークを迎え、徐々に成人と同じレベルになっていきます。
問題32 幼稚園児のJさん(6歳、男性)には、広汎性発達障害(pervasive developmental disorder)がある。砂場で砂だんごを作り、きれいに並べることが好きで、毎日、一人で砂だんごを作り続けている。
ある日、園児が帰宅した後に、担任が台風に備えて砂場に青いシートをかけておいた。翌朝、登園したJさんが、いつものように砂場に行くと、青いシートがかかっていた。Jさんはパニックになり、その場で泣き続け、なかなか落ち着くことができなかった。
担任は、Jさんにどのように対応すればよかったのか、最も適切なものを1つ選びなさい。
「明日、台風が来ること」と「お団子屋さんができないこと(砂場に青いシートがかかっていること)」のつながりを理解することが難しいため、適切ではありません。
広汎性発達障害の特性として、一度パターン化されたルールや行動から変化があった場合に、柔軟に対応することが難しいことがあります。変更が起こる場合には「変更の事実と理由を事前に伝える」「具体的に行う行動を分かりやすく伝える」といった対応が適切です。
広汎性発達障害(PDD)
自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群などを含んだ総称。
※2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症(ASD)」という診断名になりました。
お団子屋さんができない理由を伝えられていないため、適切ではありません。
砂場が使えない理由を事前に伝えられていないため、適切ではありません。
お団子屋さんができない理由を事前に伝えられていないため、適切ではありません。
問題33 生理的老化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
環境因子によって引き起こされるのではなく、遺伝因子によって必然的に生じる現象です。
一度生じた変化は、訓練をしても元には戻りません。
機能を低下させ、生命活動にとって有害な影響が生じます。
老化のスピードに差はありますが、すべての生命体に生じる現象です。
遺伝的にプログラムされており、必然的に生じる現象です。
生理的老化の特徴
内在性 | 環境ではなく、遺伝的要因によって生じる |
普遍性 | すべての生命体に生じる |
進行性 | 一度生じた変化は元に戻らない |
有害性 | 機能低下を引き起こすなど、有害な影響が生じる |
問題34 エイジズム(ageism)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
エイジズムは、年齢による差別や偏見のことで、回想法の創始者であるバトラーによって提唱されました。
選択肢は、プロダクティブ・エイジングの説明です。
選択肢は、ジェロンと・フォビアの説明です。
選択肢は、アンチエイジングの説明です。
選択肢は、サクセスフル・エイジングの説明です。
問題35 Kさん(80歳、男性)は、40歳ごろから職場の健康診査で高血圧と高コレステロール血症(hypercholesterolemia)を指摘されていた。最近、階段を上るときに胸の痛みを感じていたが、しばらく休むと軽快していた。喉の違和感や嚥下痛はない。今朝、朝食後から冷や汗を伴う激しい胸痛が起こり、30分しても軽快しないので、救急車を呼んだ。
Kさんに考えられる状況として、最も適切なものを1つ選びなさい。
肺炎は、細菌やウイルスの感染によって肺に炎症が起こり、風邪に似たような症状が見られます。
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、神経細胞が死んでしまう病気です。
意識障害や吐き気、嘔吐、頭痛、麻痺といった症状が見られます。
心筋梗塞は、心臓に血液を送る「冠動脈」という血管が詰まることで、心臓の筋肉(心筋)が壊死する病気です。
激しい胸痛が20分以上続き、安静にしても治まらないのが特徴です。
呼吸困難や顔面蒼白、冷や汗、血圧低下、意識混濁・消失といった症状が見られることもあります。
狭心症と心筋梗塞の違い
狭心症 | 心筋梗塞 | |
---|---|---|
病態 | 冠動脈が狭い状態 | 冠動脈が閉塞した状態 |
発症 | 運動時や安静時に起こる | 無関係に起こる |
持続時間 | 数分〜15分程度 | 20分以上持続する |
応急手当 | 休息やニトログリセリンの舌下服用 | 救急車を呼び、医療機関へ運ぶ |
狭心症や心筋梗塞をまとめて「虚血性心疾患」といいます。
逆流性食道炎は、胃の中で胃液と混ざりあった食べ物や胃液が食道に逆流することで炎症を起こす病気です。
胸やけや呑酸、喉の痛みや違和感といった症状が見られますが、食後時間が経てば、症状は軽快していきます。
呑酸:酸っぱい液体が口まで上がってきて、苦みや酸っぱみを感じたり、げっぷが出ること
問題36 次のうち、健康寿命の説明として、適切なものを1つ選びなさい。
0歳児の平均余命を「平均寿命」といいます。
平均余命
ある年齢の人が、平均してあと何年生きられるかの期待値
健康寿命の説明として、適切ではありません。
65歳時の平均余命から介護期間を差し引いたものは、「65歳健康寿命」といいます。
健康寿命の説明として、適切ではありません。
健康寿命
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間(=平均寿命から介護期間を引いた期間)
問題37 次のうち、前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
抗利尿ホルモンは、利尿を妨げる働きがあります。
前立腺肥大症の症状の1つに、「頻尿」があるため、適切ではありません。
無尿とは、腎臓の機能障害によって1日の尿量が100ml以下の状態をいいます。
前立腺肥大では、症状が進むと「閉尿」が起こります。
閉尿
尿は正常に作られるものの、膀胱内にたまった尿の排泄が困難になる状態
初期には、夜間頻尿や軽度の排泄困難が見られます。
前立腺肥大症は、腎臓の機能障害ではないため、透析の必要はありません。
透析
腎臓の機能が低下した場合に、人工的に血液中の余分な水分や老廃物を取り除、きれいにする治療法
骨盤底筋訓練は、女性に多く見られる腹圧性尿失禁の治療法です。
問題38 次のうち、高齢期に多い筋骨格系の疾患に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
骨粗鬆症の有病率は加齢に伴い増加します。特に閉経後の女性に多いと言われています。
女性は閉経を迎えることで、骨の減少を抑えるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が減るため、骨量が減少します。
変形性膝関節症では、O脚に変形することが多いです。
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じます。
腰部脊柱管狭窄症は、腰椎部の神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、その中を走る神経が圧迫されることで、下肢のしびれや痛み、麻痺といった症状が見られる病気です。
サルコペニアは、加齢に伴って生じる骨格筋力の低下や減少のことです。
骨量が低下するのは、骨粗鬆症です。
認知症の理解(39~48)
問題39 高齢者の自動車運転免許に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「サポートカー限定免許」とは、道路交通法第91条の2の規定に基づく条件が付された免許のことである。
75歳以上の人が運転免許を更新する時には、まずは認知機能検査を受ける必要があります。
70歳以上の運転免許更新
70歳以上 | 75歳以上 |
---|---|
─ | 認知機能検査 |
高齢者講習 | 高齢者講習 |
認知症のおそれあり▶医師の診断
認知症のおそれなし▶STEP3,4へ
認知症である▶免許の取消し等
認知症でない▶STEP3,4へ
不合格▶免許の取消し等
合格▶STEP4へ
一定の違反歴がある場合のみ、検査を受けます。
座学
適性検査
実車指導(該当者のみ)
座学
適性検査
実車指導(該当者のみ)
運転技能検査は、75歳以上の人で、一定の違反歴がある場合に受ける検査です。
軽度認知障害は、運転免許取り消しには該当しません。
認知症と診断された場合は、運転免許取り消しになるため、サポートカー限定免許であっても運転はできません。
サポートカー限定免許
次の安全運転支援装置が搭載された普通自動車(サポートカー)のみ、運転することができる免許
・衝突被害軽減ブレーキ(対車両、対歩行者)
・ペダル踏み間違い時加速抑制装置
※後付けの装置については対象ではありません。
運転経歴証明書は、運転免許証を自主返納した人や運転免許証の更新を受けずに失効した人が交付を受けることができます。
問題40 認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)であるアパシー(apathy)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
「感情の起伏が見られない」という特徴は、アパシー、うつともに見られる症状ですが、選択肢2〜5はうつにみられる特徴です。
アパシー(apathy)
意欲がない状態、自発性が欠けた状態。ギリシャ語の「a=失う」「pathos=感情・苦悩」
アパシーとうつの特徴
アパシー | うつ |
---|---|
無気力である | 無気力である |
自覚なし(病識低下) | 自覚あり(病識過剰) |
葛藤なし | 葛藤あり |
無関心 | 悲観的 |
アパシーは血管性認知症でよく見られますが、重度の認知症になると、どの認知症でも出現します。
悲観的になるのは、うつにみられる特徴です。
気持ちが落ち込むのは、うつにみられる特徴です。
悩む・葛藤するのは、うつにみられる特徴です。
自分を責めるのは、うつにみられる特徴です。
問題41 認知症(dementia)の人にみられる、せん妄に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
せん妄は、急激に発症するのが特徴です。
せん妄では、意識レベルの低下や意識混濁が見られます。
せん妄では、注意障害が見られます。
せん妄では、体調の変化が誘引となります。
せん妄には、夜間に出現する事が多くあります。(夜間せん妄)
問題42 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)にみられる歩行障害として、最も適切なものを1つ選びなさい。
脊柱菅狭窄症に見られる「間欠性跛行」の症状です。
パーキンソン症状の特徴で、レビー小体型認知症によく見られます。
脊髄小脳変性症などにみられる「酩酊歩行」の症状です。
片側錐体路障害でみられる「痙性歩行」の症状です。
「デュシェンヌ歩行」や「トレンデレンブルク歩行」の症状です。
問題43 次の記述のうち、若年性認知症(dementia with early onset)の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
若年性認知症の特徴として、高齢者よりも進行が速い傾向にあります。
若年性認知症は、男性に発症が多いです。
若年性認知症の平均発症年齢は51.3歳です。加齢に伴い、有病率も高くなります。
発見のきっかけは、職場でのミスに同僚が気づいたり、家族が異変に気づくことが多いです。
年齢的に認知症とは思わず、発見・診断は遅れがちです。
特定健康診査
生活習慣病の予防のために、40歳~74歳の方を対象に行うメタボリックシンドロームに着目した健診
家計を支える働き盛りの男性に多く、就労支援が必要となることが多いです。
問題44 Lさん(78歳、女性、要介護1)は、3年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、夫の介護を受けながら二人で暮らしている。ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると夫から、「用事で外出しようとすると『外で女性に会っている』と言って興奮することが増えて困っている」と相談を受けた。 Lさんの症状に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
Lさんは夫の認識しているため、適切ではありません。
(人物)誤認
ある人の他の人と認識してしまうこと
Lさんの症状には、当てはまりません。
観念失行
身体の運動機能は保たれており、物の名称や用途も分かっているが、慣れているはずの物の使用や一連の動作が正しく行えないこと
Lさんの症状に当てはまります。
嫉妬妄想
「配偶者が他の誰かと浮気をしている」と信じる妄想のこと
Lさんの症状には、当てはまりません。
視覚失認
視力は保たれているが、目の前のものが何かわからなくなること
Lさんの症状には、当てはまりません。
幻視
何もないのに、人や物などが見えること
問題45 認知機能障害による生活への影響に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
自宅がわからないは、場所の見当識障害と考えられます。
遂行機能障害
作業の段取りを考え、効率よく作業をこなす能力の障害
出された食事を食べないは、食事と認識できない「失認」やお箸の使い方が分からない「失行」などが考えられます。
記憶障害
過去の体験や出来事の記憶が抜け落ちたり、新しいことを覚えることができなくなったりする障害
目の前の家族がわからないという症状は、相貌失認と考えられます。
相貌失認
人の顔が覚えられない、分からないという症状
今日の日付がわからないは、時間の見当識障害と考えられます。
視空間認知障害
空間の中で自分の体の位置や動きを把握する能力の障害
病識が低下するほど、うつ状態にはなりにくいと考えられます。
病識
自分自身の障害や病気を自覚して、その程度を正しく把握すること
問題46 バリデーション(validation)に基づく、認知症(dementia)の人の動きや感情に合わせるコミュニケーション技法として、正しいものを1つ選びなさい。
センタリング
介護者自身が「怒り」や「不安」の感情から解放されることを目的として行われる精神集中のための技法
相手に精神を集中すること
リフレージング
認知症の人が話した言葉の中でも大切だと思われる部分について、声の大きさやスピード、抑揚などを反映させながら繰り返す技法
相手の言葉を反復すること
レミニシング
認知症の人に過去のことを思い出し、話をしてもらう技法
過去のことを質問し、思い出話しをすること
ミラーリング
認知症の人の正面に向き合い、相手の動作や姿勢、声の大きさ、話し方を真似する技法
相手の表情や動きに合わせること
カリブレーション
認知症の人の感情を観察し、介護者が自身の感情を一致させていく技法
共感すること
問題47 Mさん(80歳、女性、要介護1)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)であり、3日前に認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。主治医から向精神薬が処方されている。居室では穏やかに過ごしていた。夕食後、表情が険しくなり、「こんなところにはいられません。私は家に帰ります」と大声を上げ、ほかの利用者にも、「あなたも一緒に帰りましょう」と声をかけて皆が落ち着かなくなることがあった。 Mさんの介護を検討するときに優先することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
Mさんの夕食後の様子や発言から、Mさんが訴えようとしていることを理解しようとすることを優先します。
介護福祉職は、まずは本人の訴えを傾聴し、「利用者本位」の姿勢で関わる必要があります。
Mさんの訴えは夕食後に見られ、居室では穏やかに過ごしていることから、Mさんの日中の過ごし方を優先することは適切ではありません。
他の利用者が落ち着かなくなったのは、Mさんの言動にあると考えられるため、ほかの利用者の状態を優先することは適切ではありません。
対応に困ったことは介護職からの視点であり、優先することとして適切ではありません。
薬の影響について検討するべきは「医療職」であり、「介護職」が検討するときに優先することではありません。
問題48 Aさん(80歳、男性、要介護1)は、認知症(dementia)で、妻の介護を受けながら二人で暮らしている。「夫は昼夜逆転がある。在宅介護を続けたいが、私が体調を崩し数日間の入院が必要になった」と言う妻に提案する、Aさんへの介護サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
通所サービスのため、昼夜逆転が見られ、数日間妻が不在となるAさんに対する介護サービスとして適切ではありません。
認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)
認知症の方が可能な限り自宅で自立した生活を送れるように、機能訓練やレクリエーションを提供し、心身機能の維持・向上を目指す通所型サービス
妻が入院している数日間、かつ夜間もサービスを受けられることから、適切なサービスといえます。
短期入所生活介護(ショートステイ)
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者が短期間施設に入所し、利用者の心身機能の維持回復や、家族の介護の負担軽減などを目的として利用できるサービス
連続して利用できる日数は「30日」までです。
Aさんの妻に必要なのは、入院の数日間だけ支援をしてくれるサービスです。
数日間だけ受けられるサービスでもないため、適切ではありません。
認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
認知症と診断された要介護者が共同生活住居に入居して、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを受けることができるサービス
Aさんの妻に必要なのは、入院の数日間だけ支援をしてくれるサービスです。
数日間だけ受けられるサービスでもないため、適切ではありません。
特定施設入居者生活介護
特定施設に入居して、介護や日常生活の世話、機能訓練、療養上の世話を受けることができるサービス
特定施設:有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、一部のサービス付高齢者向け住宅
Aさんの妻に必要なのは、入院の数日間だけ支援をしてくれるサービスです。
Aさんは要介護1であり、数日間だけ受けられるサービスでもないため、適切ではありません。
介護老人福祉施設
原則として要介護3以上の要介護者が施設に入所して利用するサービス
障害の理解(49~58)
問題49 次のうち、ノーマライゼーション(normalization)の原理を盛り込んだ法律(いわゆる「1959年法」)を制定した最初の国として、正しいものを1つ選びなさい。
デンマークのバンク・ミケルセンはノーマライゼーションの理念を法律(1959年法)の中に盛り込みました。
デンマークの社会運動家
ノーマライゼーションの「生みの親」
「1959年法」という法律の中で「ノーマライゼーション」という言葉を盛り込んだ
スウェーデンの医師
ノーマライゼーションの「育ての親」
ノーマライゼーションの「8つの原理」を提唱した
ドイツ系アメリカ人の研究者
文化的・社会的役割としてのノーマライゼーションを提唱
「ソーシャルロール・バロリゼーション」(社会的役割の実現)
イギリスは最初の国ではありません。
アメリカは最初の国ではありません。
スウェーデンは最初の国ではありません。
ノルウェーは最初の国ではありません。
問題50 法定後見制度において、成年後見人等を選任する機関等として、正しいものを1つ選びなさい。
法務局では、成年後見制度により家庭裁判所で選任された法定後見人や任意後見人を登録し、公示に関する業務を行います。
法務局
法務省の地方組織の一つ。国民の財産や身分関係の保護、登記、戸籍、国籍、供託の民事行政事務、国の利害に関係のある訴訟活動を行う訟務事務、国民の基本的人権を守る人権擁護事務などを行う。
成年後見人等の選任は、申立先である家庭裁判所が行います。
申立人:本人、配偶者、4親等以内の親族、検察官、任意後見人、市町村長など
申立先:家庭裁判所
▼申し立て(書類審査)
▼審理(調査・鑑定等)
▼審判(後見・保佐・補助)
▼審判確定
登記
都道府県知事ではありません。
市町村長ではありません。
配偶者や4親等以内の親族がおらず、申立ができない場合は市町村長が申し立てを行うことができます。
福祉事務所ではありません。
福祉事務所
福祉六法に定める援護、育成または更生の措置に関する事務を司る行政機関
問題51 次の記述のうち、障害を受容した心理的段階にみられる言動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
障害があるという自覚がないのは、第2段階「否認期」です。
周囲に不満をぶつけるには、第3段階「混乱期」です。
自分が悪いと悲観するのは、第3段階「混乱期」です。
価値観が転換し始めるのは、第4段階「解決への努力期」です。
できることに目を向けて行動するのは、第5段階「受容器」です。
受傷直後でショックを受けている。
障害は治療をすれば回復すると考えている。
意外と不安は強くない。
障害が残るかもしれないという不安が強くなる。
「自分には障害がない」という拒否の適応機制がはたらく。
障害の告知を受け、否認することができずに混乱する。
周囲に当たり散らかしたり、自分が悪いと悲観するなど、攻撃の適応機制がはたらく。
抑うつ症状が出たり、自殺企図を起こす場合もある。
障害があってもできることに気づくなど前向きな努力をし、価値観が転換し始める。
「障害があってもできることがある」という新しい価値観を持って生きていく。
すべての障害者に当てはまるものではなく、また、各段階を行ったり来たりすることもあります。
問題52 統合失調症(schizophrenia)の特徴的な症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。
振戦せん妄は、アルコール依存症の離脱症状です。
振戦せん妄
アルコールの離脱症状(禁断症状)のひとつ。重度のアルコール依存症者が飲酒をやめてから48~72時間後に始まり、不安、幻覚、振戦、興奮、見当識障害、睡眠不足(悪夢または夜間の錯覚)、頻脈、発汗などが見られる。
統合失調症の代表的な3症状
陽性症状 | 妄想、幻覚、異常行動、思考の混乱 |
陰性症状 | 感情表現の減少、意欲低下 |
認知機能障害 | 集中力・記憶力の低下、融通が利かない |
強迫性障害は、統合失調症の特徴的な症状ではありません。
強迫性障害
きわめて強い不安感や不快感(強迫観念)をもち、それを打ち消すための行為(強迫行為)を繰り返す疾患
不潔と感じて何度も手を洗ってしまったり、何度も扉の鍵を閉めたか確認しないと落ち着かないといったことがあります。
抑うつ気分は、うつ病などによく見られる症状です。
抑うつ気分
憂うつで、気持ちが晴れない、気持ちが落ち込んだ状態
健忘は、脳の損傷などによって引き起こされる症状です。
健忘
出来事を部分的または完全に思い出すことができない症状
問題53 Bさん(60歳男性)は、一人暮らしをしている。糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視覚障害(身体障害者手帳1級)があり、末梢神経障害の症状がでている。Bさんの日常生活において、介護福祉職が留意すべき点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
水晶体の白濁は、「白内障」の症状です。
口腔粘膜や外陰部の潰瘍は、「ベーチェット病」に見られる症状です。
振戦や筋固縮は、パーキンソン症状で、パーキンソン病やレビー小体型認知症などに見られます。
Bさんは視覚障害があり、末梢神経障害の症状も見られることから足先の傷などに気がつきにくいと考えられます。
本人が気がつかないうちに、足先の傷や壊疽などの病変が生じる可能性があるため、介護福祉職が留意して観察する必要があります。
感音性の難聴は、内耳や聴神経の障害によって起こります。
問題54 Cさん(55歳、男性)は、5年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。現在は症状が進行して、日常生活動作に介護が必要で、自宅では電動車いすと特殊寝台を使用している。 次の記述のうち、Cさんの現在の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
ALSでは、球麻痺による嚥下障害が見られます。
ALSでは、球麻痺による構音障害が見られます。
ALSでは、症状が進行しても感覚障害は現れにくいことが特徴です。
ALSの症状
現れやすい症状 | 現れにくい症状 |
---|---|
四肢の運動障害 嚥下障害(球麻痺) 構音障害(球麻痺) 呼吸器障害 | 感覚障害 排尿障害 視力・聴力・内臓機能の低下 |
ALSでは、呼吸器障害が見られます。
ALSでは、四肢の運動障害が見られます。
問題55 Dさん(36歳、女性、療育手帳所持)は、一人暮らしをしながら地域の作業所に通っている。身の回りのことはほとんど自分でできるが、お金の計算、特に計画的にお金を使うのが苦手だった。そこで、社会福祉協議会の生活支援員と一緒に銀行へ行って、1週間ごとにお金をおろして生活するようになった。小遣い帳に記録をするようにアドバイスを受けて、お金を計画的に使うことができるようになった。 次のうち、Dさんが活用した支援を実施する事業として、最も適切なものを1つ選びなさい。
障害者相談支援事業では、金銭に関する支援は行いません。
障害者相談支援事業
福祉サービスを利用するための情報提供や相談、社会資源を活用するための支援、社会生活力を高めるための支援などを行う事業
自立生活援助事業
居宅において単身等で生活する障害者につき、定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題を把握し、必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の自立した日常生活を営むために必要な援助を行う事業
日常生活自立支援事業の援助内容には、預金の払い戻し、預金の解約といった日常生活費の管理(日常的金銭管理)などがあります。
日常生活自立支援事業
認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行う事業
成年後見制度利用支援事業
認知症高齢者、知的障害者及び精神障害者に対して、成年後見制度の利用に必要な費用にうち、成年後見制度の申立てに要する経費及び後見人等の報酬の全部又は一部を助成する事業
成年後見制度の利用に要する費用について補助を受けなければ、成年後見制度の利用が困難であると
認められるものに対して行います。
日常生活用具給付等事業
障害者、障害児、難病患者等に対して、日常生活がより円滑に行われるための用具(日常生活用具)を給付または貸与する事業
問題56 次のうち、障害の特性に応じた休憩時間の調整など、柔軟に対応することで障害者の権利を確保する考え方を示すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
全人間的復権は、リハビリテーションの理念を表す言葉です。
全人間的復権
病気や怪我によって障害を持った人が、再び身体的・精神的・社会的に能力を発揮し、人間らしく生きられるようになること
障害の特性に応じて休憩時間を調整することは、合理的配慮の考え方と一致します。
合理的配慮
障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をすること
令和3年(2021年)に障害者差別解消法が改正され、事業者による「合理的配慮の提供」が義務化されました。※改正法は令和6年(2024年)4月1日に施行されました。
自立生活運動は、アメリカから世界へと広がった抗議運動です。
自立生活運動(IL運動)
「重度の障害があっても自分の生活を自立して生きる」という考えのもと、1960年代のアメリカで始まった、障害のある大学生を中心に起こった抗議運動。
意思決定支援
本人の判断能力に問題がある場合でも、自らの意思が反映された生活を送ることができるように、必要な情報を提供し、本人の意志決定を支援すること
共同生活援助は、障害者福祉サービスの1つです。
共同生活援助
障害のある方に対して、主に夜間において、共同生活を営む住居で相談、入浴、排せつまたは食事の介護、その他の日常生活上の援助を行う障害者福祉サービス
問題57 「障害者総合支援法」において、障害福祉サービスを利用する人の意向のもとにサービス等利用計画案を作成する事業所に置かなければならない専門職として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
「介護保険法」で規定されている専門職です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
「介護保険法」に規定された専門職で、要介護者等からの相談に応じ、各サービス事業者との連絡調整、介護サービス計画(ケアプラン)の立案などを行う。
居宅介護支援事業所や介護保険施設に必置とされている職種です。
社会福祉士は、相談援助の専門職です。
社会福祉士
『社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整、その他の援助を行うことを業とする者をいう。』
社会福祉士は、介護の専門職です。
介護福祉士
『登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう。』
民生委員は、住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行う非常勤の地方公務員です。
相談支援専門員は、生活全般にかかわる相談・情報提供やサービスなど利用計画の作成、モニタリング、関係機関との連絡・調整などの業務を行います。
相談支援専門員
障害児・障害者の意向を踏まえて、自立した日常生活や社会生活の実現のため、支援・中立・公平な立場から障害福祉サービス利用のための支援などを行う専門職
相談支援専門員は、指定特定相談支援事業所、指定児童相談支援事業所、指定一般相談支援事業所で、1人以上配置しなければいけません。
問題58 家族の介護力をアセスメントするときの視点に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
家族の介護力をアセスメントするときの視点では、家族のニーズにも配慮する必要があります。
家族の介護力をアセスメントするときには、障害者個人のニーズにも配慮する必要があります。
家族間でも常識や価値観、経験などが異なるため、主観にも差異があることを認め、尊重することが必要です。
家族の介護力をアセスメントするときには、家族を構成する個人の生活や、家族全体の生活を客観的に評価することが大切です。
支援者の視点や価値観を基準にすると、障害者個人のニーズが軽視され、独りよがりな支援となってしまう危険性があります。
<領域:医療的ケア>
医療的ケア(59~63)
問題59 次の記述のうち、喀痰吸引等を実施する訪問介護事業所として登録するときに、事業所が行うべき事項として、正しいものを1つ選びなさい。
喀痰吸引等を実施する事業所の登録基準として、研修登録機関になるという要件はありません。
登録研修機関
喀痰吸引等を実施する事業所の登録基準として、安全委員会の「設置」があります。
また、安全委員会を設置するのは医師ではなく、事業所です。
安全委員会
喀痰吸引等計画書の作成は必要ですが、作成するのは事業所の喀痰吸引等業務従事者(介護福祉士等)です。
医師の文書による指示を受ける必要があります。
登録要件として、医師、看護師、その他の医療関係者との連携が確保されている必要があります。
・医師の文書による指示、対象者の心身の状況に関する情報共有
・喀痰吸引等の実施内容に関する計画書・報告書の作成など
・実地研修を修了していない介護福祉士に対し、医師・看護師等を講師とする実地研修の実施
・安全確保ための体制の確保(安全委員会等)、感染症予防措置、秘密保持など
問題60 次のうち、呼吸器官の部位の説明に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
鼻腔は、鼻の内部で、鼻中隔によって左右に分かれています。
上葉・中葉・下葉に分かれているのは、右の肺です。
咽頭は、喉の奥の部分で、空気と食べ物が通ります。
左右に分岐しているのは気管です。
喉頭は、空気の通り道です。
食べ物の通り道は、食道です。
気管は、空気の通り道です。
肺は、胸腔内にあります。
腹腔には、胃や腸といった消化器や、腎臓や膀胱などの泌尿器があります。
問題61 次のうち、痰の吸引の準備に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
吸引器は、空気を吸い込む力(陰圧)で痰などを吸い出します。
痰の吸引の準備では、吸引器の電源を入れて、陰圧がかかるかを確認します。
陰圧
容器など内部の圧力が、外部よりも小さくなっている状態のこと
吸引器の電源を入れると吸引びんや接続チューブの内部は陰圧となる。
吸引びんは、滅菌する必要はありません。
滅菌
すべての微生物を死滅させること、または除去すること
吸引チューブのサイズは、医師の指示に従います。
洗浄水に、消毒薬を入れておく必要はありません。
洗浄水
吸引チューブの内側を洗浄するもので、口腔内・鼻腔内の吸引では水道水、気管カニューレ内部の吸引では滅菌精製水を使用する
清浄綿は、脱脂綿に低濃度のベンザルコニウム塩化物などの殺菌消毒剤を染み込ませたものです。
次亜塩素酸ナトリウム
殺菌や染み抜き、漂白に効果を発揮する塩素系の消毒剤
ノロウイルス、インフルエンザウイルス、サルモネラ菌、チフス菌、大腸菌などに有効である一方、皮膚への刺激が強く、酸性の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するといった危険があるため、取り扱いには注意が必要
問題62 次のうち、経管栄養で起こるトラブルに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
チューブの誤挿入は、むせこみや呼吸苦、嘔気・嘔吐などを起こす可能性があります。
注入速度が速いと、注入物が逆流し、嘔気や嘔吐が起こる可能性があります。
注入物の温度の調整不良は、下痢を起こす可能性があります。
注入物の濃度の間違いは、下痢や血糖の上昇などを起こす可能性があります。
注入中の姿勢の不良は、腹痛や、腹部の膨満感、嘔気・嘔吐、逆流による誤嚥などを起こす可能性があります。
問題63 Eさん(75歳、女性)は、介護老人福祉施設に入所している。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症があり、介護福祉士が胃ろうによる経管栄養を行っている。 ある日、半座位で栄養剤の注入を開始し、半分程度を順調に注入したところで、体調に変わりがないかを聞くと、「少しお腹が張ってきたような気がする」とEさんは答えた。意識レベルや顔色に変化はなく、腹痛や嘔気はない。次のうち、介護福祉士が看護職員に相談する前に行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Eさんは腹部に膨満感を訴えているため、そのまま様子を見るという判断を介護福祉職がするべきではありません。
仰臥位(背臥位)にすることで、注入した栄養剤が逆流しやすくなるため、適切ではありません。
腹部膨満感などの消化器症状は、腹部が圧迫されていることによって生じることもあるため、確認する対応は適切です。
注入速度は医師が指示します。
意識レベルや顔色に変化があるなど緊急性がある場合には、栄養剤の注入を一時中止し、看護職員に連絡する必要がありますが、Eさんの場合、緊急性はないと考えられます。