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午前の問題
<領域:人間と社会>
人間の尊厳と自立(1~2)
問題1 人権や福祉の考え方に影響を与えた人物に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
メアリー・リッチモンドは、アメリカでソーシャルワークを広めた人物です。
「ケースワークの母」と呼ばれ、1922年に『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』を著しました。
ジークムント・フロイトは、オーストリアの精神科医・心理学者で、人間の無意識の研究を行いました。
『精神分析学入門』は、フロイトが1915年から1917年にかけてウィーン大学で行った講義をまとめた著作になります。
※『種の起源』をまとめたのは、ダーウィンです。
トマス・ロバート・マルサスは、イギリスの経済学者で、1798年に『人口論』を著しました。
※『精神分析学入門』をまとめたのはフロイトです。
ヘレン・ケラーは、アメリカの作家で、視覚と聴覚の重複障害者(盲ろう者)でありながらも世界各地を訪れ、障害者の教育・福祉の発展に尽くしました。
※『看護覚え書』をまとめたのはナイチンゲールです。
チャールズ・ダーウィンは、イギリスの自然科学者で、1858年に『進化論』を発表し、1859年に『種の起源』を著しました。
※『人口論』をまとめたのはマルサスです。
問題2 自宅で生活しているAさん(87歳、男性、要介護3)は、7年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺となり、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用していた。Aさんは食べることを楽しみにしていたが、最近、食事中にむせることが多くなり、誤嚥を繰り返していた。誤嚥による緊急搬送の後、医師は妻に、「今後も自宅で生活を続けるならば、胃ろうを勧める」と話した。妻は仕方がないと諦めていたが、別に暮らしている長男は胃ろうの造設について納得していなかった。長男が実家を訪れるたびに、Aさんの今後の生活をめぐって口論が繰り返されていた。妻は訪問介護員(ホームヘルパー)にどうしたらよいか相談した。
介護福祉職の職業倫理に基づく対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
医療的な指示はできませんが、家族からの相談に対して突き放すような言い方となっているため不適切です。
家族の中で意見が別れている場合は、中立的な立場から助言することが介護福祉職には求められます。
胃ろうの増設には納得していない長男の意見にも配慮する必要があります。
介護福祉職には、利用者の自己決定を最大限尊重したり、利用者の真のニーズを受け止めて代弁するといった姿勢が求められます。
今回の場合、家族の意見を参考にすることも大切ですが、まずはAさん本人が望んでいることを尊重することが大切です。
(利用者本位、自立支援)
1. 介護福祉士は、すべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。
日本介護福祉士会の倫理綱領【介護の基本】同居しているかどうかに関係なく、特定の家族の気持ちを優先するのは不適切です。
妻・長男どちらの気持ちも配慮する必要があります。
長男と一緒に医師の話を聞きに行っても、胃ろうをすすめられると考えられます。
胃ろうの造設には納得していない長男の気持ちに配慮した対応とはいえません。
人間関係とコミュニケーション(3~4)
問題3 人間関係における役割葛藤の例として、適切なものを1つ選びなさい。
生活支援相談員の期待に応えようと作業態度を真似ることは「役割期待」(もしくは「役割取得」)の例になります。
就労継続支援とは?A型・B型の違いについても解説!役割葛藤とは、同一人物が複数の役割の中で葛藤することを言います。
家族介護者が、仕事と介護という2つの役割の両立に悩むことは「役割葛藤」の例になります。
利用者の役を演じることは「役割演技(ロールプレイ)」の例になります。
採用面接の模擬訓練中にふざけて冗談を言ってしまうのは「役割距離」の例になります。
代わりに役割を担うのは「役割形成」の例になります。
問題4 Bさん(80歳、男性)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら自宅で一人暮らしをしている。最近、自宅で転倒してから、一人で生活をしていくことに不安を持つこともある。訪問介護員(ホームヘルパー)がBさんに、「お一人での生活は大丈夫ですか。何か困っていることはありませんか」と尋ねたところ、Bさんは、「大丈夫」と不安そうな表情で答えた。
Bさんが伝えようとしたメッセージに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
言語メッセージは「大丈夫」という言葉。一方、非言語メッセージは「不安そうな表情」であり、同じ内容を強調していません。
「不安そうな表情」という非言語メッセージは、「大丈夫」という言葉メッセージを弱めています。
「大丈夫」という言語メッセージも伝えています。
「大丈夫」という言語メッセージと「不安そうな表情」という非言語メッセージは矛盾しています。
非言語メッセージの役割
メッセージの強調 | 言語メッセージを目立たせたり、感情をより明確に伝える |
メッセージの補強 | 言語メッセージの意味を強化し、明確に伝える |
メッセージの代用 | 言語メッセージの代わりに、非言語メッセージで伝える |
メッセージの矛盾 | 言語メッセージの内容を変更したり、否定する |
メッセージの調整 | 相手の会話を促したり、話を聞いていることを伝える |
「不安そうな表情」という非言語メッセージは、言葉の流れを調整していません。
社会の理解(5~16)
問題5 家族の変容に関する2015年(平成27年)以降の動向として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「50歳時の未婚割合」とは、45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率の平均であり、「生涯未婚率」とも呼ばれる。
2015年以降の平均世帯人数は、2.49人〜2.39人で推移しており、3.5人を超えていません。
年度 | 平均世帯人数 |
---|---|
2016年 | 2.47人 |
2017年 | 2.47人 |
2018年 | 2.44人 |
2019年 | 2.39人 |
核家族の中で、「ひとり親と未婚の子」の世帯は2015年(362万世帯)から2018年(368万世帯)にかけて増加しています。
※2019年では減少していますが、試験問題には2018年までのデータが使用されたと推測されます。
年度 | 「ひとり親と未婚の子」の世帯数 |
---|---|
2016年 | 364.0万世帯 |
2017年 | 364.5万世帯 |
2018年 | 368.3万世帯 |
2019年 | 361.6万世帯 |
50歳時の未婚割合は(生涯未婚率)は、男性が23.37%、女性が14.06%であり、男性の方が高くなっています。
2015年、65歳以上の人がいる世帯では最も多いのは、夫婦のみの世帯(746万世帯)で、単独世帯(624万世帯)は第2位となっています。
年度 | 単独世帯 | 夫婦のみの世帯 | 親と未婚の子のみの世帯 | 三世代世帯 | その他の世帯 |
---|---|---|---|---|---|
2016年 | 27.1% | 31.1% | 20.7% | 11.0% | 10.0% |
2017年 | 26.4% | 32.5% | 19.9% | 11.0% | 10.2% |
2018年 | 27.4% | 32.3% | 20.5% | 10.0% | 9.8% |
2019年 | 28.8% | 32.3% | 20.0% | 9.4% | 9.5% |
問題6 次のうち、セルフヘルプグループ(self-help group)に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
町内会とは、地域の課題を解決し、地域住民相互の親睦を図るために組織された、自主的・民主的な任意団体です。
学生自治会とは、大学の学生によって組織された自主的な組織で、学校生活を守り、豊かにするための活動をしている団体です。
セルフヘルプグループとは、患者会や家族会、自助グループなどを指します。障害や疾病など何らかの共通課題や悩みを抱えている人や家族が集まって、お互いの話を聞いたりすることで問題を解決する方法を見つけたり、悩みなどを共有していく活動を行うグループです。
患者会は、障害や疾病を抱えている当事者が参加するセルフヘルプグループのひとつになります。
専門職団体とは、医療や福祉などの専門的資格を持つ専門職従事者らが、自己の専門性の維持・向上や、専門職としての待遇や利益を保持・改善するための組織です。
ボランティア活動とは、自発的に(自発性・主体性の原則)、他者や社会のために(社会性・連帯性の原則)、 金銭的な利益を第一に求めない(無給性・無償性の原則)活動をする団体です。
問題7 次のうち、福祉三法に続いて制定され、福祉六法に含まれるようになった法律として、正しいものを1つ選びなさい。
社会福祉法は、1951年に制定された「社会福祉事業法」が、2000年に改正・改称された法律です。
福祉六法には含まれません。
地域保健法は、1947年に制定された「保健所法」が、1994年の改正時に「地域保健法」に改称された法律です。
福祉六法には含まれません。
介護保険法は、1997年に制定され、2000年に施行された法律です。
福祉六法には含まれません。
老人福祉法は、1963年に制定された法律で、福祉六法に含まれます。
福祉三法 | 福祉六法 |
---|---|
①児童福祉法 | ④知的障害者福祉法 |
②身体障害者福祉法 | ⑤老人福祉法 |
③生活保護法 | ⑥母子および父子並びに寡婦福祉法 |
障害者基本法は、1970年に制定された「心身障害者対策基本法」が、1993年に「障害者基本法」に改正・改称された法律です。
福祉六法には含まれません。
問題8 2017年度(平成29年度)の社会保障給付費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
2017年度の国の一般会計当初予算は約97兆円で、社会保障給付費は約120兆円であったことから上回ってはいません。
一般会計当初予算(2017年度)
社会保障給付費(2017年度)
医療関係の給付費は、2016年度が38兆8,128億円、2017年度が39兆4,195億円であり、対前年度で6,068億(1.6%)増加しています。
福祉その他の給付費は、2016年度が25兆2,162億円、2017年度が25兆9,898億円であり、対前年度で7,736億円(3.1%)増加しています。
問題9 介護保険法の保険者として、正しいものを1つ選びなさい。
社会保険診療報酬支払基金は、医療機関などから請求された医療保険の給付の費用について審査・支払いを行う機関になります。介護保険では、医療保険者を通じて第2号被保険者が負担する保険料を徴収し、保険者である市町村に支払う業務を行っています。
(支払基金の業務)
第百六十条 支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法第十五条に規定する業務のほか、第一条に規定する目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 医療保険者から納付金を徴収すること。
二 市町村に対し第百二十五条第一項の介護給付費交付金を交付すること。
三 市町村に対し第百二十六条第一項の地域支援事業支援交付金を交付すること。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 前項に規定する業務は、介護保険関係業務という。
市町村及び特別区は、介護保険の保険者になります。
国民健康保険団体連合会は、「国保連」と呼ばれ、主に保険請求に関する審査・支払事務を行っています。
(連合会の業務)
第百七十六条 連合会は、国民健康保険法の規定による業務のほか、次に掲げる業務を行う。
一 第四十一条第十項の規定により市町村から委託を受けて行う居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費、居宅介護サービス計画費、施設介護サービス費、特定入所者介護サービス費、介護予防サービス費、地域密着型介護予防サービス費、介護予防サービス計画費及び特定入所者介護予防サービス費の請求に関する審査及び支払
厚生労働省は、国の行政機関として社会保障政策や介護に関する基準づくりなどを行っています。
(国及び地方公共団体の責務)
第五条 国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
日本年金機構は、公的年金事業の運営業務を行っています。
(特別徴収の方法によって徴収した保険料額の納入の義務等)
第百三十七条 特別徴収義務者は、前条第一項の規定による通知を受けた場合においては、同項に規定する支払回数割保険料額を、厚生労働省令で定めるところにより、当該年の十月一日から翌年三月三十一日までの間において特別徴収対象年金給付の支払をする際徴収し、その徴収した日の属する月の翌月の十日までに、これを当該市町村に納入する義務を負う。
7 特別徴収義務者(厚生労働大臣に限る。)は、日本年金機構に、第一項及び第四項の規定による徴収及び納入に係る事務(当該徴収及び納入を除く。)を行わせるものとする。
問題10 介護保険制度の利用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
要介護認定を受けるためには、介護保険被保険者証を持っている必要があります。よって、要介護認定は介護保険被保険者証が交付された後に行われます。
要介護認定には、主治医意見書が必要です。主治医がいない場合には、市区町村が指定する医師や市町村職員である医師が意見書を作成します。
要介護認定の審査・判定は、認定調査と主治医意見書に基づいて、市町村に設置された介護認定審査会が行います。
居宅サービス計画の作成は、原則として要介護認定を受けた後、設定された支給限度額の範囲で行われます。
介護保険サービス利用の流れ
住んでいる市町村の窓口で「申請」を行います。
申請書と介護保険被保険者証(第2号被保険者は医療保険証)を提出します。
調査員が自宅や施設を訪問して、心身の状態を確認する「認定調査」を行います。
市町村から主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。
認定調査と主事意見書の一部をもとに、コンピュータによる「一次判定」が行われます。
一次判定の結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会で「二次判定」が行われます。
介護認定審査会の判定結果をもとに、「要介護認定」が行われます。
認定は「要支援1・2」「要介護1〜5」までの7段階および「非該当」に分かれます。
介護(介護予防)サービスを利用する場合は、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。
ケアプランにもとづいて、サービスを利用します。
要介護者の施設サービス計画の作成は、施設にいる介護支援専門員(ケアマネジャー)が行います。
地域包括支援センターは、介護予防サービス計画の作成を行います。
ケアプラン作成者
介護度 | ケアプラン作成者 |
---|---|
要支援1・2 | ・地域包括支援センター |
要介護1〜5 | ・在宅サービス→居宅介護支援事業者(介護支援専門員) ・施設サービス→施設の介護支援専門員 |
問題11 Cさん(75歳、男性、要支援2)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して一人暮らしをしていた。最近、脳梗塞(cerebral infarction)を起こして入院した。入院中に認知症(dementia)と診断された。退院時の要介護度は2で、自宅での生活継続に不安があったため、Uグループホームに入居することになった。Uグループホームの介護支援専門員(ケアマネジャー)が行うこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)ここでいう「グループホーム」とは、「認知症対応型共同生活介護事業所」のことである。
グループホームに入所しているため、居宅系サービスである訪問介護を継続して受けることはできません。
また、Cさんは退院時に要介護2に認定されているため、介護予防支援を担当する地域包括支援センターに連絡するのは適切ではありません。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用している間は、居宅療養管理指導を除く、介護保険の他の居宅サービスを利用することはできません。
グループホームへ入所する際は、施設の計画作成担当者が認知症対応型共同生活介護計画を作成します。
※計画作成担当者のうち1名以上は、介護支援専門員でないといけません。
管理者(常勤):3年以上認知症の介護に従事した経験がある人
計画作成担当者:1ユニットごとに1人、最低1人は介護支援専門員であること ※ユニット間の兼務はできない
介護職員:日中は利用者3人に1人(常勤換算)、夜間は1人
Cさんのケアプランは、Uグループホームの計画作成担当者が作成します。
居宅介護支援事業所が作成するのは、居宅サービスを利用する方の居宅サービス計画です。
認知症のある利用者であっても、書面による説明を行い、同意を得ることが必要です。
グループホームに入所している間は、訪問介護を併用して受けることはできません。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用している間は、居宅療養管理指導を除く、介護保険の他の居宅サービスを利用することはできません。
問題12 ノーマライゼーション(normalization)を説明する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢は、地域包括ケアの理念の説明になります。
地域包括ケアとは、医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的(総合的)に提供されるという考え方です。
この仕組み(ネットワーク)を「地域包括ケアシステム」といい、団塊の世代と呼ばれる人たちが、75歳以上の後期高齢者となる2025年を目処に構築することを目指しています。
選択肢は、インフォーマルサポートネットワークの説明になります。
インフォーマルサポートネットワークとは、家族、隣人、友人、その他のボランティアによって提供される非公的な支援の体制になります。
※個人をとりまく家族、友人、近隣、ボランティアなどによる援助(インフォーマル・サポート)と、公的機関やさまざまな専門職による援助(フォーマル・サポート)に基づく援助関係の総体を、「ソーシャルサポートネットワーク」といいます。
選択肢は、エンパワメントの説明になります。
利用者の自己決定や問題解決能力を高める援助を、エンパワメントアプローチといいます。
障害がある人もない人も地域社会の一員として生活が送れるように条件を整えることは、ノーマライゼーションの考え方に合っています。
選択肢は、アセスメントの説明になります。
問題13 Dさん(64歳、女性、障害支援区分4、身体障害者手帳2級)は、「障害者総合支援法」の居宅介護を利用して生活している。この居宅介護事業所は共生型サービスの対象となっている。 Dさんは65歳になった後のサービスについて心配になり、担当の居宅介護職員に、「65歳になっても今利用しているサービスは使えるのか」と尋ねてきた。 居宅介護事業所の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
共生型サービスの対象事業所であるため、65歳になっても継続してサービスを利用でき、介護保険サービスも利用することができます。
障害者が65歳になった場合でも、共生型サービスを利用する場合は、介護保険サービスとして「障害者総合支援法」のサービスを継続して利用することができます。
共生型サービスの対象事業所であるため、65歳になっても継続して同じサービスを利用することができます。
共生型サービスは、2018年度(平成30年度)の法改正によって新たに創設されました。
介護保険と障害福祉のサービスを同じ事業所で提供することができるサービスです。
それまでは、障害者が65歳になったときは、障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替える必要がありましたが、この制度によって事業所が共生型サービスの指定を受けていれば、障害者が65歳になっても同じサービスを継続して利用することができるようになりました。
主な共生型サービス
介護保険サービス | 障害福祉サービス | ||
---|---|---|---|
ホームヘルプサービス | 訪問介護 | ⇔ | 居宅介護 重度訪問介護 |
デイサービス | 通所介護 地域密着型通所介護 | ⇔ | 生活介護 自立訓児童発達支援 放課後等デイサービス |
ショートステイ | (介護予防)短期入所生活介護 | ⇔ | 短期入所 |
共生型サービスの対象事業者であるため、65歳になっても継続して利用できることが制度上決まっています。
よって、検討する必要はありません。
共生型サービスの対象事業者は、65歳になっても継続して利用できることが制度上決まっています。
障害福祉サービスの居宅介護に対応する介護保険サービスは「訪問介護」になります。
また、Dさんは介護が必要な状態であり、介護予防のための通所介護を利用するのは適切ではありません。
問題14 「障害者総合支援法」の障害者の定義に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
「障害者総合支援法」において、障害者とは18歳以上の者と年齢が規定されています。
(定義)
第四条 この法律において「障害者」とは、身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち十八歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定する精神障害者(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。以下「精神障害者」という。)のうち十八歳以上である者並びに治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるものをいう。
2 この法律において「障害児」とは、児童福祉法第四条第二項に規定する障害児をいう。
年齢の上限については規定されていません。
「障害者総合支援法」で規定されている障害者の定義のうち、「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病」が難病に該当します。
「発達障害者支援法」に規定されている発達障害者を含みます。
(定義)
第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に規定されている精神障害者を含みます。
(定義)
第五条 この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。
問題15 「障害者総合支援法」のサービスを利用するための障害支援区分を判定する組織として、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
身体障害者更生相談所は、身体に障害のある方を対象として、専門的な知識や技術を必要とする相談業務や判定業務などを行う機関になります。
障害程度の判定、身体障害者手帳の交付、補装具の判定、各種手当の認定などの他、区市町村からの相談対応や地域のサービス提供機関などへの情報提供、指導、研修支援などを行います。
(更生相談所)
第十一条 都道府県は、身体障害者の更生援護の利便のため、及び市町村の援護の適切な実施の支援のため、必要の地に身体障害者更生相談所を設けなければならない。
協議会は、地域における障害者等への支援の体制の整備を競技する機関になります。
(協議会の設置)
第八十九条の三 地方公共団体は、単独で又は共同して、障害者等への支援の体制の整備を図るため、関係機関、関係団体並びに障害者等及びその家族並びに障害者等の福祉、医療、教育又は雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者(次項において「関係機関等」という。)により構成される協議会を置くように努めなければならない。
2 前項の協議会は、関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うものとする。
基幹相談支援センターは、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関で、市町村に設置されています。
(基幹相談支援センター)
第七十七条の二 基幹相談支援センターは、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、前条第一項第三号及び第四号に掲げる事業並びに身体障害者福祉法第九条第五項第二号及び第三号、知的障害者福祉法第九条第五項第二号及び第三号並びに精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第四十九条第一項に規定する業務を総合的に行うことを目的とする施設とする。
2 市町村は、基幹相談支援センターを設置することができる。
居宅介護事業所は、障害者や障害児の居宅において、入浴、排せつ、食事などの居宅介護を提供する事業所になります。
(定義)
第五条 この法律において「障害福祉サービス」とは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助をいい、「障害福祉サービス事業」とは、障害福祉サービス(障害者支援施設、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設(以下「のぞみの園」という。)その他厚生労働省令で定める施設において行われる施設障害福祉サービス(施設入所支援及び厚生労働省令で定める障害福祉サービスをいう。以下同じ。)を除く。)を行う事業をいう。
2 この法律において「居宅介護」とは、障害者等につき、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。
市町村審査会は、障害支援区分の審査・判定を行います。
(障害支援区分の認定)
第二十一条 市町村は、前条第一項の申請があったときは、政令で定めるところにより、市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害支援区分に関する審査及び判定の結果に基づき、障害支援区分の認定を行うものとする。
問題16 「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
(注)「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
「高齢者虐待防止法」では、高齢者虐待を養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待と規定しています。
(定義等)
第二条 この法律において「高齢者」とは、六十五歳以上の者をいう。
2 この法律において「養護者」とは、高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第五項第一号の施設の業務に従事する者及び同項第二号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。
3 この法律において「高齢者虐待」とは、養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。
「高齢者虐待防止法」第二条第四項、第五項では、高齢者虐待の種類を身体的虐待、ネグレクト(介護放棄)、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5つとしています。
イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
養護者、養介護施設従事者等による高齢者虐待虐待を発見した場合には、市町村(地域包括支援センターなどへの委託は可能)に通報しなければいけません。
(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
〜
(養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等)
第二十一条 養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
3 前二項に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
施設の職員が発見した場合
【義務】市町村に通報しなければなりません。
施設の職員ではない人が発見した場合
高齢者の生命や身体な重大な危険がある
【義務】市町村に通報しなければなりません。
高齢者の生命や身体な重大な危険がない
【努力義務】市町村に通報するように努めなければなりません。
立ち入り調査を行うときに、警察官の同行は義務づけられていません。
ただし、立ち入り調査の際に、必要があると認められる場合には、高齢者の住所または居所の所在地を管轄する警察署長に対して援助を求めることができます。
(立入調査)
第十一条 市町村長は、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、介護保険法第百十五条の四十六第二項の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。
〜
(警察署長に対する援助要請等)
第十二条 市町村長は、前条第一項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該高齢者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。
虐待を通報するときに、虐待の事実確認を必要とする規定はありません。
高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した時点で、通報する義務(もしくは努力義務)があります。
よって、事実確認は通報を受けた後、市町村が行います。
(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
〜
(通報等を受けた場合の措置)
第九条 市町村は、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「高齢者虐待対応協力者」という。)とその対応について協議を行うものとする。
<領域:介護>
介護の基本(17~26)
問題17 「2016年(平成28年)国民生活基礎調査」(厚生労働省)における、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因として、最も多いものを1つ選びなさい。
「2016年(平成28年)国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、同居の主な介護者の悩みやストレスの原因として最も多いのは、「家族の病気や介護」でした。(男性:73.6%、女性:76.8%)
「自分の病気や介護」は、第2位でした。
「家族との人間関係」は、第4位でした。
「収入・家計・借金等」は、第3位でした。
「自由にできる時間がない」は、第5位でした。
問題18 「価値のある社会的役割の獲得」を目指すソーシャルロール・バロリゼーション(Social Role Valorization)を提唱した人物として、正しいものを1つ選びなさい。
バンク-ミケルセンは、1950年代にノーマライゼーションの考えを最初に提唱した人物です。
ヴォルフェンスベルガーは、アメリカやカナダにおいてノーマライゼーションの理念を発展させた「ソーシャル・ロール・バロリゼーション」を提唱しました。
これは、「どれだけ優れた教育や指導が行われても、それが隔離された場所で行われたのでは知的障害児(者)の社会的役割を引き下げてしまう」という「社会的役割の価値付与」という考え方になります。
ノーマライゼーションの発展
バンクーミケルセン
デンマーク
1959年法の制定に寄与
ベンクト・ニィリエ
スウェーデン
ノーマライゼーションの8つの原理
ヴォルフェンスベルガー
アメリカ
ソーシャル・ロール・バロリゼーション
メイヤロフは、アメリカの哲学者で、1971年に「ケアの本質ー生きることの意味」を著しました。
ケアの要素として、「知識」「リズムを変えること」「忍耐」「正直」「信頼」「謙遜」「希望」「勇気」の8つをあげました。
キットウッドは、イギリスの臨床心理学者で、パーソン・センタード・ケアを提唱しました。
認知症の人について、症状からその人を見るのではなく、今の状態がベストであるとして、その人らしさを尊重しながら人間らしい生き方を支援していくという考え方になります。
ニィリエは、バンク-ミケルセンが唱えたノーマライゼーションの考え方をさらに深め、ノーマライゼーションの8つの原理をまとめた人物です。
問題19 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)における環境因子を表す記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
アルツハイマー型認知症は病気・疾病なので、「健康状態」に分類されます。
病気、ケガ、加齢、妊娠、ストレスなど
糖尿病は、病気・疾病なので、「健康状態」に分類されます。
病気、ケガ、加齢、妊娠、ストレスなど
服薬をしているという行為は、「活動」に分類されます。
日常生活行為、仕事など
医者嫌いであることは、個人の価値観に基づく内容なので、「個人因子」に分類されます。
年齢、性別、民族、生活歴、価値観、ライフスタイルなど
町内会の会長を務めていたことは、個人の生活歴に関わることなので、「個人因子」に分類されます。
年齢、性別、民族、生活歴、価値観、ライフスタイルなど
※町内会の会長は、社会的な役割なので、「参加」に分類されることもあります。
家庭内の役割、地域社会への参加など
娘が近隣に住み、毎日訪問していることは、「環境因子」に分類されます。
・物的環境(福祉用具や住宅など)
・人的環境(家族・友人、介護職、ボランティアなど)
・社会的環境(医療・福祉サービス、制度・政策など)
ICFの全体像
問題20 利用者の自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
援助者が分別するのではなく、利用者と一緒に分別をして、ごみの分別のルールを理解してもらったり、思い出してもらえるように支援するのが適切です。
ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助する。
援助者が整理整頓するのではなく、利用者に助言をしながら、一緒に冷蔵庫の中を片付けるのが適切です。
認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
援助者が尿とりパッドを取り替えるのではなく、利用者に新しいパッドを渡したり、利用者が自分で取り替えられるように支援するのが適切です。
認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り・声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。
選択肢のとおり、本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促します。
「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」とは、利用者の安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守りのことです。
訪問介護において、該当する具体的なサービス行為は以下の通りです。
自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助(例示)
- ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う。
- 認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り・声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。
- 認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。
- 入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
- 移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
- ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
- 本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
- 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
- ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助する。
- 認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
- 洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
- 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
- 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う衣類の整理・被服の補修
- 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
- 車イス等での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
- 上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの
※生活援助のうち、訪問介護員などが代行するのではなく、安全を確保しつつ常時介護できる状態で見守りながら行うものは、日常生活動作向上の観点から、利用者の自立支援に資するものは身体介護として算定されます。
テレビを見ながらでも、利用者と一緒に洗濯物を畳むように支援するのが適切です。
洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
問題21 高齢者のリハビリテーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
高齢者にとって、機能訓練を長時間続けることは体力的にも負担が大きく、適切ではない。1回の量を少なくして複数回に分けることは適切である。
基本的な動作を行う訓練は、「理学療法」である。物理療法は、理学療法に含まれるが、電気、光線、温熱、温水、冷水などを使用する理療方法である。
関節障害がある場合、関節を積極的に動かすことは、関節に負荷がかかり状態を悪化させる可能性もあるため適切でない。
パーキンソン病の場合、急に体の向きを変えると転倒する危険性があるが、体幹をひねること自体には問題がないため、避ける必要はない。
関節リウマチの場合、朝のこわばりが症状として挙げられるため、朝に訓練を行うことは適切ではない。
問題22 施設利用者の多様な生活に配慮した介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
施設の就寝時刻に合わせてもらうことは、施設利用者の多様な生活に配慮した対応とはいえない。少しずつ施設の生活習慣に慣れていただくことも対応の一つである。
シーツが汚れるという理由で化粧をやめてもらうことは、施設利用者の多様な生活に配慮した対応とはいえない。
本を捨ててもらうことは、施設利用者の多様な生活に配慮した対応とはいえない。まずは整理整頓してもらえるように促すといった対応が望ましい。
ベッドで寝てもらうことは、施設利用者の多様な生活に配慮した対応とはいえない。できるだけ布団を敷いて寝てもらうように配慮する必要がある。
自宅で夜間に入浴をしていた人に、夕食後に入浴してもらうことは、その方の生活に配慮した対応である。
問題23 介護医療院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護医療院に入所できるのは、要介護者であって、主として長期にわたって療養が必要な者である。入所の基準が原則として要介護3以上とされているのは指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)である。
介護医療院の開設には、都道府県知事の許可を受けなければならない。
介護医療院は、「適宜入所者のためのレクレーション行事を行うよう努めるものとする」と規定されている。
入所者一人あたりの床面積は、介護医療院で8平方メートル以上、介護老人福祉施設で10.65平方メートル以上と規定されているため、同じではない。
介護医療院には、サービス提供責任者の配置基準は設けられていない。
問題24 Eさん(女性、82歳、要介護1)は、夫(80歳)と二人暮らしである。膝の痛みがあるが、夫の介助があれば外出は可能である。最近Eさん宅は、玄関、トイレ、浴室に手すりを設置している。Eさんは料理が趣味で、近所のスーパーで食材を自分で選び、購入し、食事の用意をしたいと思っている。こうした中、Eさん宅で介護支援専門員(ケアマネジャー)が関係職種を招集してサービス担当者会議を開くことになった。
Eさんの思いに添ったサービスの提案として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Eさんは自分で食材を選び、購入し、食事の準備をしたいと思っているため、訪問介護員による調理の生活援助を利用することは適切ではない。
Eさんは自分で食材を選び、購入し、食事の準備をしたいと思っているため、配食サービスを利用することは適切ではない。
日常生活自立支援事業は、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人が社会福祉協議会と契約をして、福祉サービスの利用手続きや金銭管理などを行ってもらうものである。Eさんは膝の痛みはあるものの、認知能力に問題はないため、日常生活自立支援事業の活用は適切ではない。
Eさんは膝に痛みを抱えているため、近所のスーパーまで安全に歩行できるようにサポートすることが重要である。よって、福祉用具専門相談員の助言による四輪歩行車利用を提案することは適切である。
Eさん宅の浴室には手すりが設置されており、自宅で入浴を行っているため、通所介護の職員による入浴サービスの利用を提案することは適切ではない。
問題25 介護施設におけるプライバシーの保護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
ユニット型施設では、個室化が推進されているが、食事はできるかぎり共有スペースで取れるように支援しなければならないとされている。
プライバシー保護に注意したルールを設けた上で、個々の利用者の生活歴の情報を介護職員間で共有することは適切な対応である。
個人情報記録のファイルは、適切に保管し、必要に応じて閲覧することが必要である。介護職員間で情報を共有することは大切だが、誰でも見ることができる机の上に置いたままにすることは適切ではない。
トイレのドアを開けたままで排泄の介護を行うことは、プライバシー保護の観点から問題があるため適切ではない。
家庭内の出来事や会話の内容は、介護をしていく中で重要な手がかりになることがある。プライバシーの保護には十分配慮しつつ、記録をすることは適切な対応である。
問題26 ハインリッヒ(Heinrich, H.)の法則に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
機能障害、能力障害、社会的不利という障害をとらえるための分類は、1980年にWHOで制定されたICIDH(国際障害分類)である。
人間の自己実現に向けた欲求を5つの階層で示しているのは、マズローの欲求段階説である。彼は、動機づけが形成されるときには、欲求による階層的な序列があるとし、欲求の段階を生理的欲求、安全と安定の欲求、愛情と所属の欲求、自尊の欲求、自己実現の欲求に分類した。
ハインリッヒの法則は、彼が労働災害の統計から導き出された法則である。彼は、1件の重大事故が起こる背景には、29件の軽微な事故と300件の怪我に至らない事故があったことを発見し、1931年に「災害防止の科学的研究」という本でこの法則を発表した。その数字から「1:29:300の法則」とも呼ばれる。
患者が余命を知らされてから死を受容するまでの心理的プロセスを唱えたのは、キューブラー・ロスである。第1段階「避妊」、第2段階「怒り」、第3段階「取引」、第4段階「抑うつ」、第5段階「受容」である。
生活課題を抱えた人の支援をする上で必要な7つの原則を唱えたのは、バイステックである。個別化、意図的な感情表現、統制された情緒関与、受容、非審判的態度、自己決定、秘密保持の7つである。
コミュニケーション技術(27~34)
問題27 介護福祉職が利用者と信頼関係を形成するためのコミュニケーション技術として、最も適切なものを1つ選びなさい。
利用者をありのままに受け入れることは必要だが、利用者の意見に賛成できないときには同意はしてはならない。賛成できない意見に同意することは、信頼関係の構築にはつながらない。
介護福祉職が親しみを込めて「○○ちゃん」と呼んでいても、利用者にとっては不快に感じたり、失礼と捉えられる場合もある。一概に「○○ちゃん」と呼ぶべきではない。
利用者の話を聞くだけでなく、介護福祉職からも質問をしてお互いのことをよく知ることが、信頼関係の構築につながる。
介護福祉職の価値観で一方的に判断することは、信頼関係の構築にはつながらない。
利用者を理解するためには、まず介護福祉職自身を知ることが大切である。自分の感情の動きを客観的に意識し、理解することを「自己覚知」といい、コミュニケーションの基本姿勢の1つである。
次の事例を読んで、問題28、問題29について答えなさい。
〔事例〕
Fさん(85歳、女性)は、中等度の認知症(dementia)がある。同居していた娘の支援を受けて生活してきたが、症状が進行してきたために、介護老人福祉施設への入所が決まった。
入所当日、介護福祉職はFさんの付き添いで来た娘に初めて会った。介護福祉職が、「はじめまして。よろしくお願いします」と挨拶をすると、娘は少し緊張した様子で、「お願いします」とだけ答えた。娘は、介護福祉職の問いかけに応えるまで時間がかかり、また、あまり多くを語ることはなかった。
持参した荷物の整理を終えて帰宅するとき、娘が寂しそうに、「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいた。
問題28 初対面の娘と関係を構築するために介護福祉職がとる対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
友人のような口調ではなく、丁寧に話すのが適切である。
相手のペースに合わせることで、Fさんの娘が話しやすくなることにつながる。また、表情を確認することで相手の気持を推察することもできる。
会話が途切れないように積極的に話すことは、緊張しているFさんの娘にとって負担になることも考えられる。娘さんのペースに合わせて話すのが適切である。
初対面という状況を考えると、密接距離ではなく、一定の距離を保って話すことが適切である。
スキンシップは信頼関係が構築されてから行うべきであり、初対面の人にスキンシップを用いることは適切ではない。
問題29 帰宅するときの娘の発言に対する、介護福祉職の共感的な言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
相手を安心させるための言葉かけであり、共感的な言葉かけではないため不正解。
Fさんの娘とは初対面であり、「本当に私の気持ちを分かっているのか」と思わせてしまう可能性があるため不正解。
寂しい気持ちを隠すことは、介護福祉職が理想とする態度であり、共感的な言葉かけではないため不正解。
介護福祉職の考えを押し付ける言葉かけであり、Fさんの娘に負担をかける恐れがあるため不正解。
Fさんの娘が話した内容と、感情の両方をふまえており、共感する姿勢を示す言葉かけとなっているため正解。
問題30 Gさん(55歳、男性)は父親と二人で暮らしている。父親は週2回通所介護(デイサービス)を利用している。Gさんは、父親が夜に何度も起きるために睡眠不足となり、仕事でミスが続き退職を決意した。
ある日、Gさんが介護福祉職に、「今後の生活が不安だ。通所介護(デイサービス)の利用をやめたいと考えている」と話した。
Gさんが、「利用をやめたい」と言った背景にある理由を知るためのコミュニケーションとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
Gさんが、「利用をやめたい」と言った背景にある理由を知るためには、「なぜですか」「どうしてそう思われるのですか」というような開かれた質問をし、自由に話してもらうことが適切である。
「はい」「いいえ」で答えられる「閉じられた質問」では、背景にある思いや理由を自由に話せないため不適切である。
Gさんの思いを知るためには、Gさんのペースに合わせて話をすることが大事である。
たとえ事実と異なっていたとしても、まずはGさんの話を受け入れる姿勢が必要である。
推測で判断するのではなく、Gさんから直接思いを聞くことが大切である。
問題31 利用者と家族の意向が対立する場面で、介護福祉職が両者の意向を調整するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護福祉職は、話し合いが進むように、利用者と家族が話し合うきっかけとなるような発言をすることが求められる。
両者の意見が対立している場合には、介護福祉職は中立の立場を取る必要がある。
両者の意見が対立している場合には、中立の立場を取り、それぞれの意見を聞くことが求められる。
家族の介護負担の軽減を目的にして調整することで、利用者の意見が反映されない場合もある。両者の意見を取り入れながら、最善の解決策に導いていくことが介護福祉職には求められる。
介護福祉職一人で解決するのではなく、多職種の意見も聞きながら解決していく姿勢が求められる。
問題32 運動性失語症(motor aphasia)のある人とコミュニケーションを図るときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
運動性失語(ブローカ失語)は、言葉の理解はできるが、発語が困難な失語症である。限られた単語でしか発語ができないため、絵や写真を使って反応を引き出すことは適切である。
聴力に障害はなく、言葉は理解できるため、大きな声で1音ずつ区切って話す必要はない。ゆっくり、短く、分かりやすい言葉で話すようにする。
手話は、聴覚障害者が用いるコミュニケーション手段である。
五十音表の活用は、運動性失語ではなく、構音障害のある利用者に対して有効なコミュニケーション手段である。失語症では、はなるだけでなく、読み書きにも困難さが生じる場合があるため不適切である。
「はい」「いいえ」や頷きやしぐさで答えられる「閉ざされた」は意思疎通が図りやすく、有効な手段である。
問題33 介護記録を書くときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護記録は、正確に書くためにもその日のうちに書くのが適切である。
客観的事実と主観的情報のどちらも記録しておくことが必要だが、区別して書くことが大切である。
誰から得た情報なのかを明確にするためにも、情報源を書く必要がある。
記録は事実をありのままに書く必要があり、利用者の気持ちだけを推測して書くことは不適切である。
介護福祉職にとどまらず、他の専門職の意見も記録に反映させる必要がある。
問題34 報告者と聞き手の理解の相違をなくすための聞き手の留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
受身の姿勢ではなく、不明点や疑問点があれば質問するといった積極的な姿勢を取ることが必要である。
腕組みをすることは、相手を拒否している態度にも受け取られるため、腕組みはしないほうが良い。
同調しながらではなく、不明点や疑問点があれば確認するという姿勢を取ることが必要である。
報告された内容に不明点があれば確認し、納得しながら理解を深めることが必要である。
ほかの業務をしながら報告を聞くと、報告に集中できず、理解の相互が生じる可能性がある。
報告は、それだけに集中して聞くことが大切である。
生活支援技術(35~60)
問題35 次の記述のうち、古い住宅で暮らす高齢者が、ヒートショックを防ぐために必要な環境整備の方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
居室の室温を低くすると、他の部屋との温度差でヒートショックを起こしやすくなるため不正解。
居室の温度は適温にしておく必要がある。
ヒートショックは急激な温度変化によって引き起こされるため、脱衣所の照明を明るくしても対策にはならないため不正解。
古い住宅のトイレは居室との温度差が大きく、また床面積が狭いところも多いため、床置き式の小型のパネルヒーターを置くことは、ヒートショックの対策となるため正解。
湯温が60℃のままで入浴することはできないため、温度を下げる必要がある。その際に浴室も下がり、ヒートショックにつながる危険があるため不正解。
湯温は40℃前後が適切である。
24時間換気システムを導入して換気を行っても、ヒートショックの予防にはつながらないため不正解。
問題36 高齢者にとって安全で使いやすい扉の工夫として、最も適切なものを1つ選びなさい。
トイレの扉は外開きのほうが安全で使いやすいため不正解。
内開きだと、使用中に倒れた場合に身体がつかえてしまい、外から開けられない危険性がある。
開き戸は開閉する際に前後の動きが大きくなり、杖や車椅子を使用している高齢者にとっては使いにくいため不正解。
横にスライドする引き戸は扉に前後の動きがなく、開閉の速度は遅くなるため不正解。
アコーディオンドアは、簡易な間仕切りとして使用され、気密性は低いため不正解。
また、高齢者にとっては開閉操作が難しいため適切でない。
棒型の取っ手は、つかみやすく力を入れやすいため、高齢者にとって使いやすくなるため正解。
問題37 下肢の筋力が低下して、つまずきやすくなった高齢者に適した靴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
靴底の溝が浅い靴は、滑りやすいため高齢者には適していないため不正解。
靴底が薄く硬い靴は、しっかりと踏み出しにくいため不正解。
足の指が固定される靴は、つま先が窮屈となり、地面にしっかりと踏ん張ることができないため不正解。
足背(足の甲)をしっかり覆う靴は、足が固定され、足が上げやすくなるため正解。
重い靴は、足を上げにくく、つまずきやくくなるため不正解。
問題38 介護が必要な利用者の口腔ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
うがいをすることで、口腔内の食物残渣などが取れることができる。よってブラッシング前にうがいをするのは適切であるため正解。
後屈した姿勢で歯磨きを行うと、誤嚥する可能性がある。頭部は前屈させ、顎を引いた状態で行うのが適切であるため不正解。
部分床義歯のクラスプ部分は、汚れがつきやすく最近が繁殖しやすいため流水だけでは不十分である。
専用の歯ブラシを使用し、洗う必要があるため不正解。
全部の歯がない利用者には、硬い毛の歯ブラシではなく、やわらかい粘膜用のブラシを使う必要があるため不正解。
舌の清拭は、奥から手前に向かって行うのが適切なため不正解。
手前から奥に向かって行うと、汚れや唾液を誤嚥する可能性がある。
問題39 口腔内が乾燥している人への助言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
口腔内が乾燥している場合、唾液の分泌が低下している。唾液の分泌を促すには酸味のある食べ物が適切であるため不正解。
口腔内が乾燥している場合、唾液の分泌が低下し、誤嚥に繋がりやすい。
ご縁を予防するためにも、臥床時には仰臥位で枕を使用し、前傾の姿勢が適切であるため不正解。
口腔内の乾燥を防ぐために、水分を摂取することは適切であるため不正解。
唾液腺マッサージによって、唾液の分泌が促され、口腔内の乾燥を防ぐことにつながるため正解。
ジェルタイプの保湿剤を使用するときは、前回塗った保湿剤を拭き取り、新たに塗るのが適切であるため不正解。
問題40 介護福祉職が利用者を仰臥位(背臥位)から側臥位へ体位変換するとき、図に示された力点の部位として、適切なものを1つ選びなさい。
仰臥位から側臥位に体位変換する際には、Aの肩峰とCの膝頭を力点として、「てこの原理」を応用するのが適切であるため正解。
Dのふくらはぎを力点としても、体感と足がよじれ、力が伝わりにくいため不正解。
Bの腹部を力点としても、力は伝わりにくいため不正解。
Bの腹部、Dのふくらはぎは力点としては適切でないため不正解。
Bの腹部、Eの足部は力点としては適切でないため不正解。
問題41 標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
急な上り坂では、ゆっくり進むのが適切なので不正解。
急な下り坂は、後ろ向きで進むのが適切なので不正解。
踏切を渡るときは、前輪を上げて、駆動輪(後輪)でレールを超えて進むのが適切なので正解。
段差を上るときは、前輪を上げて進み、駆動輪が段差に接してから前輪を下ろすのが適切なので不正解。
砂利道では、駆動輪ではなく前輪を上げて進むのが適切なので不正解。
問題42 Hさん(35歳、男性)は6か月前、高所作業中に転落し、第6胸髄節(Th6)を損傷した。リハビリテーション後、車いすを利用すれば日常生活を送ることができる状態になっている。
Hさんの身体機能に応じた車いすの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Hさんは頭部には麻痺がなく、ヘッドサポートの装着は必要ないため不正解。
Hさんは上肢の麻痺はなく、手は動かせるため、ハンドリムのある車いすを使用するのが適切なため不正解。
Hさんは上肢の麻痺はなく、手は動かせるため、レバーの長いブレーキを装着する必要はない。
Hさんは上肢の麻痺はなく、両腕は自由に動かせるため、片手で駆動できるハンドリムを装着する必要はない。
第6胸髄節(Th6)損傷の場合、脚と胴体下部の麻痺、胸郭から下の感覚と運動機能が失われているため、体幹の保持が困難である。腰部までのバックサポートを装着し、座位を安定させることは適切な対応である。
問題43 Jさん(80歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。食事の後、Jさんから、「最近、飲み込みにくくなって時間がかかる」と相談された。受診の結果、加齢による機能低下が疑われると診断された。
次の記述のうち、Jさんが食事をするときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
リクライニングのいすの背もたれを倒して食事をすると、誤嚥のリスクが高くなるため不正解。
栄養価の高い食事ではなく、飲み込みやすい食事を準備することが適切な対応であるため不正解。
食事前に嚥下体操をすることは、誤嚥を予防することにつながるため正解。
自力で全量を摂取させることで、疲れがたまり誤嚥のリスクが高まるため不正解。
Jさんは咀嚼機能ではなく、嚥下能力が低下していると考えられる。よって、食事を細かく刻むのではなく、とろみをつけるなど飲み込みやすくする対応が適切なため不正解。
問題44 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease)のある利用者の食事に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
繊維質の多い芋類は、ガスを発生させて横隔膜を圧迫するので控える必要があるため不正解。
炭酸飲料は、ガスを発生させて横隔膜を圧迫するので控える必要があるため不正解。
痰に含まれるたんぱく質と水分を補うために、高たんぱく質、高カロリーの食事を摂取することは適切であるため不正解。
痰を出すために咳をし、体力を使うため、高カロリーの食事を摂取することは適切であるため不正解。
慢性閉塞性肺疾患の場合、食事をすることで、胃が膨らみ横隔膜を圧迫し、息苦しくなってしまう。よって、1回の食事量を少なくし、回数を増やすことは横隔膜を圧迫させない食事方法であり、適切な対応であるため正解。
問題45 入浴の身体への作用を踏まえた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
食後すぐの入浴を避けるのは、温熱作用によって血流が良くなり、胃に血液が集まらなくなることで消化が悪くなるからである。浮力作用の影響ではないため不正解。
浮力作用とは、水の中で浮力を受けて身体が軽くなることである。この作用によって、筋肉がほぐれ関節運動を行うのに適しているため正解。
入浴後に水分補給を行うのは、温熱作用によって身体が温まり、発汗が促されるためである。静水圧作用によるものではないため不正解。
入浴前にトイレ誘導をするのは、温熱作用によって血流が良くなり、腎臓への血流も増加するためである。静水圧作用によるものではないため不正解。
温熱作用を利用するためには、ぬるめのお湯にゆっくりと長くつかるのが適切なため不正解。
問題46 四肢麻痺の利用者の手浴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
手浴は仰臥位(背臥位)ではなく、側臥位で行うのが適切であるため不正解。
手指は5〜10分程度、お湯につけるのが適切であるため不正解。
麻痺があり、自分で手を支えることができないため、利用者の手関節を支えながら洗うのは適切であるため正解。
指の間の皮膚は薄いため、優しく丁寧に洗うのが適切であるため不正解。
指の間の水気は、自然乾燥ではなくタオルで拭き取るのが適切なため不正解。
問題47 利用者の状態に応じた清潔の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
乾燥性皮膚疾患がある場合には、弱アルカリ性ではなく弱酸性の石鹸で洗うのが適切なため不正解。
人工透析をしている場合、皮膚の乾燥し、皮膚が弱っていることが多いため、柔らかいタオルでからだを洗うのは適切であるため正解。
褥瘡がある場合、褥瘡部をこすって洗うのは不適切であるため不正解。
糖尿病性神経障害がある場合、足指の間に傷がついていても気づかないことが多い。ナイロンたわしを使うことで、傷口が悪化するおそれもあるため不正解。
浮腫のある部位は、皮膚が薄くなって傷つきやすくなっているので、タオルを強く押し当てて洗うのは不適切であるため不正解。
問題48 Kさん(72歳、女性、要介護2)は、脳梗塞(cerebral infarction)で入院したが回復し、自宅への退院に向けてリハビリテーションに取り組んでいる。トイレへは手すりを使って移動し、トイレ動作は自立している。退院後も自宅のトイレでの排泄を希望している。
Kさんが自宅のトイレで排泄を実現するために必要な情報として、最も優先されるものを1つ選びなさい。
便意・尿意の有無は、トイレでの排泄を実現させるために必要な情報として最も優先されるものではないため不正解。
飲食の状況によって尿量などは変化するが、トイレでの排泄を実現させるために必要な情報として最も優先されるものではないため不正解。
Kさんはトイレ動作は自立しているため、衣類の着脱の状況は、トイレで排泄を実現するために必要な情報ではないため不正解。
Kさんは、手すりを使ってトイレまで移動し、トイレ動作も自立しているため、家族介護者の有無はトイレで排泄を実現するために必要な情報ではないため不正解。
Kさんは手すりを使えばトイレまで移動でき、トイレ動作も自立している。自宅のトイレまでの通路につかまるものがあるかなど確認することは、最も優先される情報であるため正解。
問題49 自己導尿を行っている利用者に対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
利用者が安全・安楽に自己導尿が行うために、体を支えるのは適切な対応なので正解。
利用者が自己導尿を行っている間は、プライバシーを保護するためにそばを離れるのが適切なので不正解。
カテーテルの挿入は利用者本人に認められている行為であり、介護福祉職には認められていないため不正解。
再利用のカテーテルは水道水で洗った後に、消毒液入りのケースに入れて保存するのが適切なので不正解。
尿の観察は、介護福祉職が行って記録し、以上があれば医師に伝える必要があるので不正解。
問題50 下肢筋力の低下により立位に一部介助が必要な車いすの利用者が、トイレで排泄をするときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
便座の高さは、利用者の膝より少し高くなるようにするのが適切なので不正解。
便座に移乗する前には、車いすの前の方に浅く座ってもらい、前傾姿勢になって立ち上がってもらうのが適切なので不正解。
車いすから便座に移乗するときは、利用者の腰を支えるのが適切なので不正解。
利用者が便座に移乗したら、座位が安定していることを確認する必要があるので正解。
車いすから立ち上がってから、下着とズボンを下腿部まで下げるのが適切なので不正解。
問題51 図の洗濯表示の記号の意味として、正しいものを1つ選びなさい。
洗濯表示マークに示される数字は、液温の上限を意味しているので不正解。
洗濯表示マークに示される数字は、液温の上限を意味しているので不正解。
洗濯表示マークに示される数字は、液温の上限を意味しているので不正解。
数字の30は「液温の上限」を、下部の線の1本は「弱い洗濯」ができることを示しているので正解。
非常に弱い洗濯の場合には、下部の先は2本なので不正解。
問題52 衣服についたバターのしみを取るための処理方法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
バターのしみは油性の汚れであり、水では洗い流すことができないので不正解。
バターのしみは油性の汚れであり、ベンジンで叩いてから洗剤をつけて叩くのが適切なので正解。
乾かした後にブラッシングして落とすのは、泥汚れに効果的なので不正解。
氷で冷やしてもむのは、ガムなどに効果的なので不正解。
歯磨き粉をつけてもむのは、墨汁などに効果的なので不正解。
問題53 食中毒の予防に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
鮮魚や精肉は痛みやすいので、買い物の最後に購入するのが適切なので不正解。
冷蔵庫の食品は、冷気が行きわたるように冷蔵庫の容量の70%を目安にして、隙間をあけるのが適切なので不正解。
作って保存しておく食品は、早く冷めるように広く浅い容器に入れて、すばやく冷ますことで食中毒菌の増殖をおさえることができるので正解。
再加熱するときは、中心部温度が75℃で1分間以上行うのが適切なので不正解。
使い終わった器具は、微温湯ではなく、熱湯をかけて消毒するのが適切なので不正解。
問題54 喘息のある利用者の自宅の掃除に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
ほこりが舞い上がらないようにするために、掃除機をかける前に吸着率の高いモップで床を拭くのは適切なので正解。
高いところにあるほこりが落ちてしまうため、高い所から低い所へ掃除をすすめるのが適切なので不正解。
往復拭きをすると、雑巾についたほこりが拭いたところについてしまう可能性があるため、一方向に拭くのが適切なので不正解。
ほこりをしっかりと吸い込むために、ゆっくりと動かすのが適切なので不正解。
出入り口から掃除をすすめると、掃除が終わったところに、またほこりが落ちてしまう可能性がある。奥から出入口に向かって掃除を進めるのが適切なので不正解。
問題55 ベッドに比べて畳の部屋に布団を敷いて寝る場合の利点について、最も適切なものを1つ選びなさい。
畳の上に布団を敷くと、畳と布団の間に空間がなく、布団に湿気がこもりやすいので不正解。
床の畳と布団には高さがほとんどなく、ベッドに比べて立ち上がりの動作はしにくいので不正解。
しゃがんで介護をする必要があり、ベッドに比べて介護者の負担は大きいので不正解。
ベッドに比べて、床からの音や振動が伝わりやすいので不正解。
畳と布団の間には高さにほとんど差がなく、転落する危険性がないので正解。
問題56 睡眠の環境を整える介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
寝具を選ぶときは、保湿性ではなく通気性を重視する必要があるので不正解。
湯たんぽが皮膚に直接触れると、低温やけどをするおそれがあり、タオルなどで包んで使用するのが適切なので正解。
寝室の温度は15℃前後ではなく、20℃前後が望ましいので不正解。
顎が頸部につくぐらいの高さにすると、息苦しくなるため不正解。
首の角度が15度くらいになる高さにすると、首への負担も少なく寝返りもしやすいので適切である。
電気毛布をつけたままにしておくと、低温やけどや脱水症状になるおそれがある。就寝中はタイマーなどを使用してスイッチが切れるようにするのが適切なので不正解。
問題57 Lさん(78歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右片麻痺がある。妻の介護疲れで、3日前から介護老人保健施設の短期入所療養介護(ショートステイ)を利用している。入所以降、Lさんは日中もベッドで横になっていることが多かったため、介護福祉職がLさんに話を聞くと、「夜、眠れなくて困っている」と訴えた。
介護福祉職のLさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Lさんは施設の起床時間や消灯時間が分からなくてベッドに横になっているわけではないので不正解。
Lさんは3日前に施設に来たばかりであり、まだ施設に生活に離れていないことも考えられる。また、眠ろうとする意思が大切だと伝えることは、Lさんにプレッシャーをかけることになり、介護福祉職の対応としては適切でないので不正解。
何時に寝ていたのか、どこで寝ていたのかなど自宅での睡眠の状況を尋ね、できる限りその環境に近づけることが介護福祉職として適切な対応なので正解。
日中に睡眠を取ることで、さらに夜間眠れなくなる可能性があるので不正解。
日中はできるかぎり起きて、夜間眠れるように対応することが介護福祉職には求められる。
睡眠薬の服用については、医師の判断が必要である。睡眠薬を提案する前に、環境面などを整えて夜眠れるように考えていくことが介護福祉職には求められるため不正解。
問題58 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))において、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が重要視されている。このアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を踏まえた、人生の最終段階を迎えようとする人への介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
現在抱えている悩みごとについての言葉かけは、アドバンス・ケア・プランニングを踏まえたものではないので不正解。
アドバンス・ケア・プランニングでは、利用者が主体となって、今後の医療やケア(介護)について話し合うことが重視されるので不正解。
アドバンス・ケア・プランニングでは、将来的な医療・介護のあり方について、利用者が主体となって、家族や医療・介護チーム、ケアの担当者と繰り返し話し合いながら、人生の最期をどのように迎えるのかを事前に計画することなので正解。
アドバンス・ケア・プランニングでは、口から食べられなくなった時のことを想定して、あらかじめ話し合っておく必要があるので不正解。
アドバンス・ケア・プランニングの考え方では、成年後見制度の利用を勧めることは適切ではないので不正解。
問題59 死期が近づいたときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
死期が近づいているときに食事量が減量した場合は、無理に高カロリーの食事を摂取するのではなく、自然な流れとして、体の状態に合わせることが大切なので不正解。
チアノーゼが出現したときは、血流を良くするために温罨法(おんあんぽう)で温めるのが適切なので不正解。
全身倦怠感が強いときは、体力の消耗が少ない部分清拭に切り替えるのは適切な対応なので正解。
傾眠傾向があっても、耳は聞こえていることが多い。家族や介護職が話しかけることで、気持ちを安らかにしてもらうことは適切な対応なので不正解。
アイスマッサージは、嚥下反射を起こしやすくする方法なので、死期が近づいたときに行うのは適切でないので不正解。
問題60 高齢者施設で利用者の死後に行うデスカンファレンス(death conference)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
利用者の家族や、ケアに関わった職員が参加するので、ボランティアに参加を求める必要はない。
デスカンファレンスは、利用者が亡くなった後にケアに関わったメンバーがケアの内容を振り返り、悲しみを共有しつつ、次のケアに活かしていくことである。
利用者の死亡直後ではなく、ケアに関わったメンバー一人ひとりが振り返りを行った後に実施するのが適切である。
デスカンファレンスは、個人の責任や反省点を追及するのではなく、ケアの内容を振り返る場なので不正解。
自分の悲しみといった感情を言葉で表し、それをメンバーで共有することが必要なので不正解。
介護過程(61~68)
問題61 介護過程の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
利用者の健康状態の改善は、介護過程の目的を達成するために行う内容であり、介護過程の目的ではない。
介護福祉職の介護観の変容は、介護過程の目的を達成していく過程で起こるものであり、それ自体が目的ではない。
他職種との役割の分化は、適切な介護サービスを提供するために必要ですが、それ自体が目的ではない。
家族の介護負担の軽減は、目的ではなく、目的を達成するための手段である。
利用者の生活の質の向上は、介護過程の目的のひとつである。
問題62 介護福祉職の情報収集に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
利用者のニーズや、小さな変化に気づくことができるよう、五感を活用して情報を集めるのは適切である。
利用者の生活全体をとらえて、情報を集める必要がある。
まずは利用者と信頼関係を築くことが必要である。
介護福祉職にとって興味のない情報でも、必要な情報であらば収集する必要がある。
その際は、利用者の状況把握や問題解決に必要な範囲での情報収集に限定するといった配慮が求められる。
介護福祉職が実施したいかどうかに関わらず、必要な情報を集める必要がある。
問題63 次の記述のうち、介護過程の展開におけるアセスメント(assessment)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
支援内容を説明して同意を得るのは、計画の立案段階である。
具体的な支援計画を検討するのは、計画の立案段階である。
達成できる目標を設定するのは、計画の立案段階である。
支援の経過を評価するのは、評価の段階である。
アセスメントは、利用者に関する情報を客観的、多角的に収集し、利用者が直面している生活課題を明確にすることである。
問題64 短期目標の設定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護福祉職の視点ではなく、利用者の視点で取り組める目標を設定する必要がある。
利用者や家族、ケアに関わるメンバー全員が同じ目標に向かって取り組めるように、わかりやすく、的確に受け取れる言葉を使用して目標を設定する必要がある。
実現可能な目標を段階的に設定することは、短期目標を設定するうえで重要である。
最終的な目標が長期目標であり、それに対する段階的な目標が短期目標である。
よって、長期目標と短期目標は連動させる必要がある。
最終的に実現したい生活像を設定するのは、短期目標ではなく長期目標である。
次の事例を読んで、問題65、問題66について答えなさい。
〔〔事例〕〕
Mさん(78歳、女性、要介護2)は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居している。
楽しみは、お風呂に入って肩までつかることである。身体機能に問題はない。短期目標を、「見守りのもと、一人で入浴する(3か月)」と設定し、順調に経過していた。
1か月が過ぎた頃、朝の申し送りで、「Mさんが昨日浴室を出ようとしたときに足を滑らせたが、転倒はしなかった。念のため受診したが問題はなかった」と報告があった。その日の夕方、介護福祉職が入浴に誘うと、「行きたくない」と強い口調で断った。それから1週間入浴していないことを心配した介護福祉職が居室を訪ねて、安全に入浴できるように浴室内を整えたことを伝えた。しかし、Mさんは、「怖いから」と小声で言った。
問題65 Mさんの再アセスメントに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
再アセスメントは、新たな問題が見つかったときなどに行われ、順調に経過していたときの状況分析ではない。
「怖いから」というMさんの思いを解釈することは、再アセスメントでは重要である。
入浴を断られた介護福祉職の思いを理解することは、Mさんの再アセスメントには含まれない。
Mさんが入浴を断り続けているのは、足を滑らせたときの恐怖感からきていると考えられるため、入浴時間の変更を検討するのは適切ではない。
Mさんが入浴を断り続けているのは、足を滑らせたときの恐怖感からきていると考えられるため、入浴を面倒に思っているとの判断は適切ではない。
問題66 再アセスメントによって見直した支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Mさんは湯船につかることに恐怖感を感じているわけではないので不適切である。
Mさんは浴室内で足を滑らせたことで恐怖感を覚えていると思われるため、浴室内の移動の不安を取り除く支援は適切である。
Mさんは身体機能には問題ないため、浴室まで安全に移動できる支援は適切ではない。
Mさんの楽しみは「お風呂に入って肩までつかること」なので、足浴で満足感を得ようとするのは適切ではない。
Mさんは身体機能には問題ないため、身体機能を改善するという支援の方向性は適切ではない。
次の事例を読んで、問題67、問題68について答えなさい。
〔〔事例〕〕
Aさん(80歳、女性、要介護3)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されている。診断後も家業を手伝いながら、地域の活動に参加していた。
半年前からパーキンソン病(Parkinson disease)が悪化し、動作は不安定となったが、「家族に迷惑をかけたくない」と、できることは自分で取り組んでいた。また、主となる介護者である娘に服薬を管理してもらいながら、通所介護(デイサービス)を週3回利用し、なじみの友人と話すことを楽しみにしていた。
最近、通所介護(デイサービス)の職員から娘に、昼食時にむせることが多く食事を残していること、午後になると、「レクリエーションには参加したくない」と落ち着かない様子になることが報告された。
問題67 介護福祉職がAさんについて、主観的に記録したものを1つ選びなさい。
Aさんがパーキンソン病と診断されていることは客観的事実である。
Aさんは「帰宅したい」とは言っていないが、帰宅願望からレクリエーションの参加を拒否したとするのは、介護福祉職による主観的な記録である。
Aさんが「家族に迷惑をかけたくない」と話し、できることは自分で行っていたのは、客観的事実である。
Aさんが週3回、通所介護(デイサービス)を利用しているのは、客観的事実である。
昼食時にむせることが多く、食事を残していることを娘に報告したのは、客観的事実である。
問題68 その後、娘が腰痛を発症し、Aさんは短期入所生活介護(ショートステイ)を利用することになった。次の記述のうち、短期入所生活介護(ショートステイ)におけるAさんの生活課題として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
Aさんは最近、昼食時にむせ込みが多く、食事量が減っている。食事を安全に摂取できることは、現在のAさんにとって最も最優先すべき生活課題である。
服薬管理は、自宅で娘にやってもらっていたが、短期入所生活介護(ショートステイ)では、介護職員や看護職員が行うべきである。
通所介護(デイサービス)の利用は、自宅に戻ることができてからとなる。短期入所生活介護(ショートステイ)で最も優先すべき生活課題ではない。
なじみの友人ができることは、Aさんにとってもいいことだが、最も優先すべき生活課題ではない。
Aさんが地域の活動に参加していたのは、パーキンソン病が悪化する前のことであり、短期入所生活介護(ショートステイ)で最も優先すべき生活課題ではない。