<領域:介護>
介護の基本(64~73)
問題64 介護を取り巻く状況に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
夫婦が助け合って子育てをすることではありません。
ダブルケア
「子育て」と「親や親族の介護」の時期が重なり、両方を並行して担わなければならない状態のこと
家制度と地域包括ケアシステムは関係がありません。
地域包括ケアシステム
「地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」のこと
少子高齢化、女性の社会進出、共働き世帯の増加、核家族化などを背景に、家族が担っていた「ケア機能」が低下しました。
問題65 介護福祉士に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
保健師助産師看護師法において、看護師と規定されています。
医行為を実施する事業者は、事業所ごとに都道府県知事の登録が必要です。
介護福祉士は名称独占の国家資格です。
介護福祉士国家資格は、更新制ではありません。
5年毎に更新が必要なのは、介護支援専門員(ケアマネジャー)です。
社会福祉士及び介護福祉士法第45条(信用失墜行為の禁止)において、「社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」と規定されています。
問題66 施設利用者の個人情報の保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
業務上必要な範囲の個人情報のみ閲覧ができるようにします。
個人情報を記載した書類は、復元不可能な形にして破棄します。
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」では、従業者に対する教育研修の実施
等により、個人データを実際の業務で取り扱うこととなる従業者の啓発を図り、従業者の個人情報保護意識を徹底するように求めています。
職員への守秘義務の提示は、採用時に行います。
個人情報には音声による情報も含まれるため、同意を得る必要があります。
問題67 個別性や多様性を踏まえた介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
その人らしさは、性格や価値観、生活歴、病歴、環境などを踏まえて、総合的に判断する必要があります。
生活習慣は、利用者によって異なるため、これまで生活してきた環境から理解することが必要です。
生活習慣
長い期間、繰り返し行われてきた行為のこと
生活歴は、現在に至るまでの情報を収集し、把握する必要があります。
同居家族であっても、生活様式が同じわけではありません。
利用者の生活や価値観に合わせた介護を提供します。
衣服は、利用者の趣味や個性、価値観を表現することができる大切な要素です。
利用者が自身で選べるようにするなど、個別性や多様性を尊重する必要があります。
問題68 Aさん(48歳、女性、要介護1)は、若年性認知症(dementia with early onset)で、夫、長女(高校1年生)と同居している。Aさんは家族と過ごすことを希望し、小規模多機能型居宅介護で通いを中心に利用を始めた。Aさんのことが心配な長女は、部活動を諦めて学校が終わるとすぐに帰宅していた。
ある日、夫が「長女が、学校の先生たちにも相談しているが、今の状況をわかってくれる人がいないと涙を流すことがある」と介護福祉職に相談をした。
夫の話を聞いた介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
長女は、掃除や洗濯の仕方が分からなくて困っているわけではありません。
現状についてわかってくれる人がいないことを長女は悩んでいます。
そのことを相談している夫に対して、家族でもっと頑張るように励ますことは適切ではありません。
同じような経験をしている人と問題を共有し、理解し合うことで気持ちが安定すると考えられます。
Aさんは家族と過ごすことを希望しているため、介護老人福祉施設への入所の申込みを勧めることは、Aさんの希望を無視した対応になります。
長女は介護サービスについての不満等は述べていません。
まずは、現状について長女の負担になっていることについて情報を収集する必要があります。
問題69 Bさん(61歳、男性、要介護3)は、脳梗塞(cerebral infarction)による左片麻痺がある。週2回訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、妻(58歳)と二人暮らしである。自宅での入浴が好きで、妻の介助を受けながら、毎日入浴している。サービス提供責任者に、Bさんから、「浴槽から立ち上がるのがつらくなってきた。何かいい方法はないですか」と相談があった。
Bさんへのサービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
自立生活援助は、入浴動作とは関係がありません。
自立生活援助
障害者が一人暮らしを始めた時、または一人で暮らしている時に、生活や健康、手続きなどについて、定期的な巡回訪問などによって、必要な助言や関係機関等との連絡調整などの支援を行い、暮らしの安心・安全を確保するためのサービス
浴室を広くしても、浴室からの立ち上がり動作は改善されません。
行動援護は、知的障害や発達障害によって行動することに困難がある人が利用できるサービスです。
行動援護
行動に著しい困難を有する知的障害や精神障害のある方が、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護のほか、行動する際に必要な援助を行うサービス
浴槽からの立ち上がりが困難な場合には、特定福祉用具販売で利用できる浴槽用手すりや浴槽内イスなど入浴補助用具を活用することが適切です。
特定福祉用具販売
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、福祉用具販売の指定を受けた事業者が、入浴や排泄に用いる、貸与になじまない福祉用具を販売する介護保険法の制度
Bさんは自宅での入浴が好きで、浴槽からの立ち上がりについて相談をしているため、通所介護の利用を勧めるのは適切ではありません。
問題70 社会奉仕の精神をもって、住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める者として、適切なものを1つ選びなさい。
民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々であり、「児童委員」を兼ねています。
生活相談員は、おもに施設に入所している高齢者や障害者に対し、各種の相談や援助、援助計画の立案・実施、また、関係機関との連絡・調整を行います。
訪問介護員は、サービスを利用されている方(高齢者や障害者)の自宅を訪問し、食事、排せつ、入浴、家事などの介助(身体介護・生活援助)を行います。
通所介護職員は、通所介護(デイサービス)事業等に通う要介護状態の高齢者に対して、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、自宅への送迎などを行います。
介護支援専門員は、要介護者又は要支援者からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ、各種サービス事業を行う者との連絡調整などを行います。
問題71 3階建て介護老人福祉施設がある住宅地に、下記の図記号に関連した警戒レベル3が発令された。介護福祉職がとるべき行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。
地震が起きたときの対応です。閉じ込められないように、非常脱出口を確保するために行います。
火災が起きたときの対応です。大規模な火災になることを防ぎます。
災害時に行う対応です。
地震が起きたときの対応です。家具の倒壊等を防ぎます。
問題72 次の記述のうち、介護における感染症対策として、最も適切なものを1つ選びなさい。
固形石鹸の場合、石鹸の表面に菌が残る可能性があります。
くしゃみと一緒にウイルスが放出されるため、口元を手でおさえた場合は、必ず手洗いを行います。
嘔吐物にはウイルス等が含まれるため、手袋を着用して処理を行います。
感染予防の観点から、排泄の介護では必ず利用者ごとに手袋を交換します。手袋の使い回しは感染拡大の原因となります。
うがい用のコップは、使い捨ての紙コップもしくは個人持ちのコップを使用することが望ましいです。
問題73 介護福祉士が行う服薬の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
服薬は、指示された時間に行います。
服薬できずに残った薬は、勝手に処分するのではなく、まずは医師や薬剤師に相談します。
薬の一包化は、医師に確認をして、薬剤師が行います。
内服薬は、医師から指示された用量を服薬します。
薬には副作用があります。服薬後は利用者の様子に変化がないか観察するためにも、副作用の知識を持っていることは重要です。
コミュニケーション技術(74~79)
問題74 Cさん(85歳、女性、要介護3)は、介護老人保健施設に入所しており、軽度の難聴がある。数日前から、職員は感染症対策として日常的にマスクを着用して勤務することになった。
ある日、D介護福祉職がCさんの居室を訪問すると、「孫が絵を描いて送ってくれたの」と笑いながら絵を見せてくれた。D介護福祉職はCさんの言動に共感的理解を示すために、意図的に非言語コミュニケーションを用いて対応した。
このときのD介護福祉職のCさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
書き言葉は、言語コミュニケーションになります。
表情やうなずきは、非言語コミュニケーションになります。
マスクを着用していても伝わる方法で、共感的理解を示すことができています。
言語コミュニケーション
話し言葉(音声言語)、書き言葉(文字言語)、手話、五十音表など
非言語コミュニケーション
表情、アイコンタクト、ジェスチャー、うなずき、ボディタッチなど
準言語コミュニケーション
声のトーン、大きさ、話す速度、抑揚、滑舌、間合いの取り方など
話し言葉は、言語コミュニケーションになります。
「私もうれしいです」という話し言葉は、言語コミュニケーションになります。
ゆっくりという話す速度は、準言語コミュニケーションになります。
五十音表は、準言語コミュニケーションになります。
問題75 利用者の家族との信頼関係の構築を目的としたコミュニケーションとして最も適切なものを1つ選びなさい。
介護技術を教えることが必要な場合もありますが、最も適切な選択肢ではありません。
当事者の会に参加することを望まない家族もいるため、最も適切な選択肢ではありません。
家族の気持ちに寄り添いながら、共感的に聞くことは信頼関係の構築を目的としたコミュニケーションとして適切です。
家族にプレッシャーをかけ、追い込んでしまう可能性こともあるため、最も適切な選択肢ではありません。
介護保険の説明だけでは、信頼関係の構築は難しいため、最も適切な選択肢ではありません。
問題76 Eさん(70歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で言語に障害がある。発語はできるが、話したいことをうまく言葉に言い表せない。聴覚機能に問題はなく、日常会話で使用する単語はだいたい理解できるが、単語がつながる文章になるとうまく理解できない。ある日、Eさんに介護福祉職が、「お風呂は、今日ではなくあしたですよ」と伝えると、Eさんはしばらく黙って考え、理解できない様子だった。
このとき、Eさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい
Eさんはうまく言葉に言い表すことが難しいため、Eさんに質問して、話すことを求めるのは適切ではありません。
Eさんは日常会話で使用する単語はだいたい理解できるが、単語がつながる文章になるとうまく理解できません。
よって、単語で区切って、短い言葉で伝えることで理解しやすくなります。
Eさんは介護福祉職が伝えた言葉が理解できていない様子だったため、Eさんが理解できるようにわかりやすく伝える必要があります。
別の文章で言い換えるよりも、単語で区切るなど短い言葉で伝えるほうが理解しやすいです。
Eさんは日常会話で使用する単語はだいたい理解できるため、1音ずつ区切るよりも、単語で区切るほうが理解しやすいです。
問題77 Fさん(70歳、女性)は、最近、抑うつ状態(depressive state)にあり、ベッドに寝ていることが多く、「もう死んでしまいたい」とつぶやいていた。
Fさんの発言に対する、介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
抑うつ状態では、頑張りたくても頑張れない状態にあると自分でも分かっています。
そのような状態にあるFさんを否定するような言葉かけは適切ではありません。
「もう死んでしまいたい」と感じているFさんの気持ちに寄り添う声掛けができています。
受容・共感・傾聴
Fさんは抑うつ状態にあり、自分でもしたくてベッドに寝ているわけではありません。
まずは、「もう死んでしまいたい」と感じているFさんの気持ちに寄り添う必要があります。
抑うつ状態にある人への基本的な対応として、安易に励ましてはいけません。
抑うつ状態にある人にとって、精神的に負担となってしまいます。
問題78 Gさん(70歳、女性、要介護1)は、有料老人ホームに入居していて、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)による夜盲がある。ある日の夕方Gさんがうす暗い廊下を歩いているのをH介護福祉職が発見し、「Hです。大丈夫ですか」と声をかけた。Gさんは、「びっくりした。見えにくくて、わからなかった・・・」と暗い表情で返事をした。
このときのGさんに対するH介護福祉職の受容的な対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Gさんは「びっくりした」という気持ちを受け止めたうえで、網膜色素変性症のため見えにくかったGさんの安全に配慮し、一緒に歩くことを提案しています。Gさんに対して受容的な対応ができています。
夜盲を伴いながら、徐々に視野が狭くなり(視野狭窄)、視力低下も見られる状態。失明に至ることもある。
数年あるいは数十年をかけて進行し、根本的な治療方法は確立されていません。
遺伝性・進行性の病気で、夜盲・視野狭窄・視力低下が見られます。
夜盲:網膜色素変性症によって、光を感じ取ることができなくなり、暗いところでは物が見えにくくなる。
安全のための提案はできていますが、驚かせてしまったGさんに対する受容的な対応ではありません。
問題文の場面では、点字は必要ではありません。また、驚かせてしまったGさんに対する受容的な対応ではありません。
白杖を使うには、時間をかけて技術を身につける必要があります。また、驚かせてしまったGさんに対する受容的な対応ではありません。
白杖の3つの機能
・視覚障害を持つことを周囲に知らせる
・触覚を通じて路面の情報を収集する
・路面上にある障害物を検知する
道路交通法第十四条
『目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ)は、道路を通行するきは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。』
Gさんを不安にさせてしまったのは、介護福祉職が突然声をかけたからです。また、何に対して「頑張りましょう」といっているのかがわかりません。驚かせてしまったGさんに対する受容的な対応ではありません。
問題79 事例検討の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護計画を作成する際に、内容を説明して同意を得ることは必要ですが、事例検討の目的ではありません。
「報告」の説明であり、事例検討の目的ではありません。
事例検討を通じて、チームの交流を深めることはありますが、事例検討の目的ではありません。
正解です。
・チームで課題を共有し、解決する
・チーム力、ケアの向上
事例検討の目的は、課題解決であり、職員の悩みの共有・解決ではありません。
生活支援技術(80~105)
問題80 介護老人福祉施設における、レクリエーション活動に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
利用者の好き嫌いやその日の体調は一人ひとり違うため、全員が参加することを重視することは適切ではありません。
レクリエーション活動の内容・目的によっては継続して行うほうが良いプログラムもあります。
買い物や調理といった日常生活でよく行われる動作は、脳の活性化や、認知症の予防にもつながります。
過去の趣味や活動に関わるレクリエーションを取り入れることは、脳を活性化させたり、他の利用者との交流、利用者のモチベーション向上にもつながります。
地域資源を活用することで、レクリエーションの幅が広がり、様々な人との交流にもつながります。
問題81 関節リウマチ(rheumatoid arthritis)で、関節の変形や痛みがある人への住まいに関する介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
関節リウマチがある場合は、握らずに利用できる平手すりが適しています。
平手すり
手すり表面が平らになっていて、手のひらや肘などで体を支えることができる手すり
関節リウマチは、介護保険の特定疾病の1つです!
いすの座面が低いと、立ち上がるときに膝関節に負担がかかるため、適切ではありません。
ベッドなど高い位置での臥位からの起き上がりのほうが、筋力や関節への負担が少なくてすみます。
開き戸は関節への負担が大きいため、引き戸のほうが適切です。
開き戸
押すか引く動作で開閉する扉。外開き戸と内開き戸に分かれる。
引き戸
横に開閉する扉。
引き戸のほうが、手首などの関節を使うことなく開閉することができます。
階段の使用は関節に負担がかかるため、関節リウマチがある場合は居室を1階にするほうが負担は少ないです。
問題82 心身機能が低下した高齢者の住環境の改善に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
砂利敷きは、歩行や車椅子での移動には向いていません。
丸いドアノブは、関節の麻痺や変形・痛み・握力の低下などによってはつかみにくくなるため、適切ではありません。
取っ手の種類
レバーハンドル | 丸いドアノブ |
---|---|
同系色にすることで、段差を認識しづらくなり、転倒のリスクが高まります。
階段の先端部分には滑り止めをつけ、先端部分を反対色にすることで段差を見分けやすくなります。
車椅子の移動では、固くて沈まない板製床材(フローリング)が適しています。
浴槽への出入りがしやすく、足を伸ばして姿勢を安定させることができる「和洋折衷式」が心身機能が低下した高齢者に適しています。
浴槽の種類
和式 | 和洋折衷式 | 洋式 |
---|---|---|
高齢者の場合、浴槽内で安定した姿勢で肩までつかることができ、出入りもしやすい和洋折衷式が適しています。
問題83 仰臥位(背臥位)から半座位(ファーラー位)にするとき、ギャッチベッドの背上げを行う前の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
背部の圧抜きは、ギャッチベッドの背上げを行った「あと」に行います。
臀部をベッド中央部の曲がる部分に合わせることで、しっかりとした座位の姿勢になり、ずり落ちにくくなります。
よって、ギャッチベッドの背上げを行う前に行います。
仰臥位・半座位
仰臥位 | セミファーラー位 | ファーラー位 |
---|---|---|
180度 | 15〜30度 | 45度 |
ファーラー位、セミファーラー位のことを合わせて「半座位」といいます。
ベッドの高さを最も低い位置にする必要はありません。
介護者の腰に負担がかからない高さで調整するのが適切です。
利用者の足がフットボードに付く位置は、下方過ぎます。
ベッド中央部の曲がる部分に「臀部」がくる位置に調整します。
利用者の体を斜めにしていると、転落する危険があります。
問題84 回復期にある左片麻痺の利用者が、ベッドで端座位から立位になるときの基本的な介護方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
片麻痺の利用者を介助するときは、転倒を防止するために介助者は患側に位置することが基本です。
左片麻痺の利用者の場合は、利用者の左側(患側)に立ちます。
端座位から立位になる場合、浅く座り直し、足底をしっかりと床につけた状態で行います。
端座位から立位になる場合、支持基底面の中に重心を移すために前かがみの姿勢になります。
利用者の左側は患側のため、荷重をかけるとバランスを崩したり、膝折れする危険性があります。
利用者の左の膝頭に手を当てることで、患側の膝頭が前方に出過ぎることを防ぎ、安定した立位をとりやすくなります。
生命の維持
失 った能力の回復と潜在能力の開発
残存能力を活かした日常生活機能の回復
生活するうえでの活動や参加の支援
動機能や生活機能の低下にともなうADLの低下予防
問題85 標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
急な上り坂は、ゆっくりと進みます。
急な下り坂は、転落を防ぐために必ず後ろ向きで進みます。
前輪が踏切の溝に引っかかることを防ぐために、踏切を渡るときは、前輪を上げてゆっくり進みます。
ドアの開閉が確認できるように、正面から入るようにします。
ドアにはさまれそうになったときなど、とっさの対応がしやすいためでもあります。
エレベーター内で方向転換できない場合や、エレベーター扉の溝などが広く、前輪(キャスタ)がはさみこまれそうな場合などは、後ろ向きの状態で乗車します。
転落防止のため、段差を降りるときは後ろ向きで駆動輪から降ります。
問題86 医学的管理の必要がない高齢者の爪の手入れに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
高齢者の爪は固く、乾燥しているためひび割れが起きやすいです。
入浴後に、爪が柔らかくなった状態で切ることが望ましいです。
爪の先の白い部分を切りすぎると深爪になったり、巻き爪の原因となってしまう場合があります。
白い部分は少し残るくらいの長さで切るのが適切です。
爪は少しずつ切るようにします。
爪はスクエアオフと呼ばれる切り方をするのが適切です。
スクエアオフ
指先から少し上部分の伸びた部分を直線に切り、そのあと角を少し切ります。その後やすりをかけて仕上げます。
皮膚や衣類を傷つけたり、爪割れを防ぐためにも、爪切り後は、やすりをかけて滑らかにします。
問題87 左片麻痺の利用者が、端座位でズボンを着脱するときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
片麻痺のある利用者の衣類の着脱は「脱健着患」が基本です。
利用者は左片麻痺があるため、最初に健側である右側の腰を少し上げて脱ぎます。
膝を高く上げることでバランスを崩しやくくなるため、適切ではありません。
端座位でズボンを履く場合は、患側の足を、健側の大腿部の上に乗せることで、ズボンに足を通すことができます。
立位が可能な場合は、できるだけ上まで(大腿部のあたりまで)ズボンを上げておきます。
介護福祉職は患側である左側に立ち、介助を行います。
患側は力が入りにくく、バランスを崩しやすい!
問題88 次のうち、嚥下機能の低下している利用者に提供するおやつとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
クッキーは固く、噛む力と唾液分泌が十分でないと、飲み込むことが難しい食品です。
カステラは水分が少なくパサついており、口腔内でまとまりにくいため、飲み込むことが難しい食品です。
もなかは喉にはりつきやすく、窒息の可能性が高い食品です。
持ちは粘り気が強く、喉に詰まりやすい食品です。
プリンは噛む力が弱い人でも食べやすく、飲み込みやすい食品です。
問題89 介護老人福祉施設の介護福祉職が、管理栄養士と連携することが必要な利用者の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
栄養面や調理方法などについて検討できるように、管理栄養士と連携します。
嘔吐した場合は、医師や看護師と連携します。
姿勢については、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士など)と連携します。
義歯については、歯科医師や歯科技師と連携します。
摂食・嚥下の機能訓練については、言語聴覚士と連携します。
問題90 次の記述のうち、血液透析を受けている利用者への食事の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
腎機能が低下している場合は、塩分制限が必要です。
血液中のナトリウム濃度が高くなると、血圧が上がり、腎不全を進行させます。
腎機能が低下すると、カリウムが排出されにくくなり、血液中のカリウムが高くなり、不整脈や心停止につながるおそれがあります。
野菜にはカリウムが多く含まれていますが、カリウムは水溶性のため、水にさらしたり、茹でることで減らすことができます。
正常に機能しなくなった腎臓の働きを人工的に補う治療法。
体内の血液をろ過して、老廃物や余分な水分を取り除き、血液をきれいにします。
透析は大きく分けて「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。
血液透析と腹膜透析
血液透析 | 腹膜透析 |
---|---|
医療機関に週2〜3回の通院 | 自宅・学校・会社等で実施 |
水分、塩分、たんぱく質、 カリウム、リンなどの制限 | 水分、塩分、リンなどの制限 |
シャントの造設が必要 | カテーテルの清潔・保護が必要 |
腎機能が低下すると、リンが排出されにくくなり、血液中のリンが高くなり、心疾患を起こしやすくなります。
乳製品の中には輪が多く含まれる物があるため、制限が必要です。
血液透析を受けている場合、1日の尿量や透析での除水量に応じて、水分摂取量が決められています。
魚や肉を使った料理には、タンパク質が多く含まれています。
タンパク質をとりすぎると、腎臓に負担がかかるため、多くとることは適切ではありません。
問題91 介護老人福祉施設の一般浴(個浴)で、右片麻痺の利用者が移乗台に座っている。その状態から安全に入浴をするための介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
浴槽に入るときは、健側である左足から入ります。
患側の足から入ることで、浴槽内でバランスを崩してしまう可能性があります。
湯につかるときは、浴槽のふちや手すりなど安定した場所につかまることが適切です。
浴槽内では、浮力作用によってバランスを崩しやすいため、姿勢を安定させる必要があります。
健側の足で浴槽の壁を押し、姿勢を安定させることは適切です。
浮力作用によってバランスを崩す可能性があります。
浴槽内では安定した座位姿勢が取れるように、場合によっては浴槽台や足台を使用します。
真上方向に立ち上がると、起立性低血圧を引き起こす可能性があります。
前方に重心を移動しながら立ち上がります。
問題92 次の記述のうち、椅座位で足浴を行う介護方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
ズボンの裾をたくし上げれば、ズボンを脱ぐ必要はありません。
利用者のプライバシーに配慮し、なるべく露出は控える必要があります。
やけどを防ぐためにも、湯温の確認は介護福祉職が必ず先に行います。
足浴中は、バランスの取れた姿勢でいることが大切です。
足底をつけ、手すりやサイドレールなどがあれば掴まってもらいます。
石鹸が皮膚に残ると、かゆみや発赤など皮膚のトラブルとなる場合があります。
石鹸の泡はきれいに洗い流す必要があります。
体に水分が残っていると、蒸発するときに体温が奪われ、寒さを感じます。
皮膚も乾燥するため、足浴が終わったあとは、バスタオル等で水分をしっかり拭き取る必要があります。
問題93 身体機能が低下している高齢者が、ストレッチャータイプの特殊浴槽を利用するときの入浴介護の留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
特殊浴槽の場合は、基本2名以上で介助を行います。
洗髪と洗身を同時に行うと、利用者の身体が揺れて不安定になるため、順番に行います。
背部を洗うときは、健側を下にして側臥位で行います。
利用者の不安軽減のためにも、両腕は自由にできるように固定ベルトを装着します。
首まで湯につかることで、静水圧作用が大きく働き、心臓や肺に負担がかかります。
心身機能が低下している場合は、心臓に位置くらいの高さで湯に浸かるようにします。
利用者によって異なりますが、5分程度が目安となります。
問題94 Jさん(84歳、女性、要介護3)は、認知症(dementia)があり、夫(86歲、要支援1)と二人暮らしである。Jさんは尿意はあるが、夫の介護負担を軽減するため終日おむつを使用しており、尿路感染症(urinary tract infection)を繰り返していた。夫が体調不良になったので、Jさんは介護老人福祉施設に入所した。
Jさんの尿路感染症(urinary tract infection)を予防する介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
尿路感染症を「予防する介護」として、適切ではありません。
尿路感染症を「予防する介護」として、適切ではありません。
尿路感染症を「予防する介護」として、適切ではありません。
おむつを使わないで、トイレに誘導することで
・尿道口から細菌が入りやすい状態を避けることができる
・正しい姿勢で排尿することで、残尿を防ぐことができる
・陰部の拭き取りを適切に行い、清潔を保持できる
といった効果があります。
尿路感染症を「予防する介護」として、適切ではありません。
また、提案するのは医師であり、介護福祉職が行うことではありません。
問題95 夜間、自宅のトイレでの排泄が間に合わずに失敗してしまう高齢者への介護福祉職の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
脱水につながる可能性があるため、適切ではありません。
「日中」はトイレでの排泄ができると考えられるため、「終日」リハビリパンツを使用する必要はありません。
また、利用者の尊厳にも配慮する必要があります。
夜間の不眠について困っているわけではないため、適切ではありません。
また、睡眠薬の服用については医師が判断するため、介護福祉職が助言することではありません。
排泄自体に難しさがあり、困っているわけではありません。
夜間にトイレに移動する距離や時間について検討する必要があります。
夜間、自宅のトイレでの排泄が間に合わずに失敗しているため、ポータブルトイレを使用することで、排泄が間に合うようになり、本人も安心できる可能性があります。
問題96 介護福祉職が行うことができる、市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いた排便の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
浣腸液が直腸内の温度(38℃)より低いと、末梢血管が収縮して血圧上昇や寒気を引き起こします。
浣腸液を使用する際は、お湯につけて39°C~40°Cに温める必要があります。
腸内の温度より少し高くすることで、腸壁が適度に刺激され、腸の蠕動運動が促進されます。
浣腸液を注入するときは、基本的に左側臥位で行います。
側臥位になることで肛門の位置がしっかりと確認でき、左を下にすることで、S状結腸・直腸が自然な位置をとることができます。
立位で浣腸を行うと、直腸穿孔(穴があくこと)や粘膜を傷つける危険があります。
直腸への刺激や不快感、腹痛を防ぐためにも、浣腸液はゆっくりと注入します。
注入直後に排便すると、浣腸液だけが排出されてしまうことがあります。
注入後3〜5分は排便を我慢するように声かけます。
排便がなくても、浣腸液を再注入してはいけません。
決められた用法・用量を守りましょう。
問題97 訪問介護員(ホームヘルパー)が行う見守り的援助として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正解です。
- ベッドからポータブルトイレやいすへ移乗する際の付き添い
- リハビリパンツやパット交換の見守り、声かけ
- 認知症等の高齢者に声かけと誘導で食事や水分摂取の支援
- 入浴、更衣等の見守り
- 移動時に転倒しないように側について歩く
- ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ
- 服薬時の見守り、促し
- 手助けや声かけ、見守りしながら行う掃除、整理整頓
- ゴミの分別、ルールを思い出してもらうような援助
- 認知症の高齢者と一緒に冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す
- 洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促す
- 手助けや声かけ、見守りしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
- 手助けや声かけ、見守りしながら行う衣類の整理、被服の補修
- 手助けや声かけ、見守りしながら行う調理、配膳、後片付け
- 車イス等での移動介助で店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
これらの援助はヘルパーがいつでも手助けできる状況で、ご利用者の安全を確保しながら行わなければなりません。
利用者と一緒に行っていないため、適切ではありません。
被服の補修は見守り的援助になりますが、服の作り直しは当てはまりません。
食事の盛り付けや提供は、当てはまりません。
勝手に捨てることは、適切ではありません。
問題98 高齢者が靴下・靴を選ぶときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
靴下は履き口のゴムや指先がきつくないものを勧めます。
滑り止めがついている靴下は、つま先が上がりにくい人や床面によっては転倒しやすくなります。
高齢者はつま先が下がる傾向にあります。
靴のつま先が高く、少し上向きになっている方が適切です。
踵のない脱ぎやすい靴は、踵が浮いてしまい、すり足になりやすいため、転倒しやすくなります。
高齢者は、足指や爪にトラブルを抱えていることも多く、つま先に少し余裕のある靴のほうが適切です。
問題99 Kさん(77歳、女性、要支援2)は、もの忘れが目立ちはじめ、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら夫と二人で生活している。訪問時、Kさん夫婦から、「Kさんがテレビショッピングで購入した健康食品が毎月届いてしまい、高額の支払いが発生して困っている」と相談があった。
Kさん夫婦に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の発言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
契約内容・期間によっては返品できる場合があります。
また、処分したからといって「健康食品が毎月届き、高額の支払いが発生している」ことの解決にはなりません。
テレビショッピングなどの通信販売はクーリング・オフ制度の対象外です。
訪問介護員や夫のサポートがあれば、Kさんも買い物をすることができる可能性があります。
まずは契約内容を確認し、今後の対応方法について検討する必要があります。
Kさんの行動を否定する発言となっています。
まずはKさんが買い物を続けられるように方法を検討していく必要があります。
問題100 消化管ストーマを造設した利用者への睡眠の介護に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
ストーマから出血を確認した場合は、医療職へ連絡する必要があります。
パウチに溜まった排泄物の処理は、介護福祉職が行うことができます。
特に理由がなければ、ストーマ装具を新しいものに交換する必要はありません。
パウチの破損や腹部の皮膚状態の悪化につながるため、適切ではありません。
睡眠中でも、パウチを観察やし、必要があれば泄物の処理が必要です。
問題101 Lさん(79歳、男性、要介護2)は、介護老人保健施設に入所して1か月1が経過した。睡眠中に大きないびきをかいていることが多く、いびきの音が途切れることもある。夜間に目を覚ましていたり、起床時にだるそうにしている様子もしばしば見られている。
介護福祉職がLさんについて収集すべき情報として、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
寝具についての情報よりも、睡眠中の呼吸状態についての情報を収集することが優先されます。
寝具についての情報よりも、睡眠中の呼吸状態についての情報を収集することが優先されます。
寝具についての情報よりも、睡眠中の呼吸状態についての情報を収集することが優先されます。
レストレスレッグス症候群が疑われる場合に必要となる情報です。
Lさんの情報から、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が疑われます。
まずはLさんの睡眠中の呼吸状態についての情報収集が優先されます。
問題102 Mさん(98歲、男性、要介護5)は、介護老人福祉施設に入所している。
誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、医師からは終末期が近い状態であるといわれている。
介護福祉職が確認すべきこととして、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
介護福祉職が最優先して確認すべきことは、Mさん本人の意思を確認し、今後のケア方針を検討することです。
介護福祉職が最優先して確認すべきことは、Mさん本人の意思を確認し、今後のケア方針を検討することです。
まずは、本人の意向を確認する必要があります。経口摂取に対する本人の意向を確認することは適切です。
まずは、本人の意思を確認する必要があります。
まずは、本人の意思を確認する必要があります。
問題103 デスカンファレンス(death conference)の目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
一般的な死の受容過程を学習することは、デスカンファレンスの目的ではありません。
デスカンファレンスは、利用者の死後に行われるため、適切ではありません。
デスカンファレンスは、利用者の死後に行われるため、適切ではありません。
正解です。
デスカンファレンス
かかわった利用者の死後にそのケースをふり返り、経験を次に活かしてケアの向上をはかること
デスカンファレンスは、職員に対するグリーフケアとしての意味もあります。
死生観は人それぞれ異なるため、統一する必要はありません。
問題104 福祉用具を活用するときの基本的な考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
場合によっては福祉用具だけでなく、住宅改修を検討する必要もあります。
利用者の心身状態や環境などを考慮して、組み合わせを考える必要があります。
福祉用具の選択に迷う場合は、福祉用具専門員に相談するのが適切です。
家族の負担軽減も大切ですが、まずは本人の負担軽減や自立支援を目的に選びます。
利用者の自立支援、QOLの向上につながっているかといった観点でモニタリングすることが必要です。
介護保険法における福祉用具の貸与・販売では、福祉用具専門員による福祉用具サービス計画書の作成やモニタリングが義務づけられています。
問題105 以下の図のうち、握力の低下がある利用者が使用する杖として、最も適切なものを1つ選びなさい。
T字杖は、グリップを握る必要があり、握力が低下している人には適切ではありません。
オフセット型杖は、支柱部分を握る必要がないですが、グリップを握る必要があり、握力が低下している人には適切ではありません。
ロフストランドクラッチは、前腕を通すカフとグリップの2箇所で体重を支えることができます。
手指や手首に力が入りにくい人に適しています。
多点杖は、杖の支持基底面が広いため、安定して歩くことができます。
しかし、グリップを握る必要があり、握力が低下している人には適切ではありません。
ウォーカーケインは、支持基底面が広く、立ち上がり時にも使用できます。
しかし、グリップを握る必要があり、握力が低下している人には適切ではありません。
介護過程(106~113)
問題106 介護福祉職が、初回の面談で情報を収集するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
初回の面談では、利用者と信頼関係を築くことが大切です。
次から次に質問すると、利用者の緊張や不安は高まり、信頼関係を築きにくくなります。
目的を意識しながら、利用者の立場に立って情報を収集することが大切です。
面談の内容には、個人情報やプライベートな事柄も含まれるため、基本的には個人面談とします。
経済的な質問はあまり聞かれたくない内容であることが多いため、最初に質問するのは適切ではありません。
初回の面談では、まず利用者の要望や気持ちを中心に聞きます。
問題107 介護過程の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
生活状況が変化した場合は、その時点で評価を行います。
その後、アセスメントを再度実施し、介護計画の修正・変更を行います。
介護過程の評価は、利用者とその家族、介護福祉職等で行います。
サービス担当者会議は、介護支援専門員(ケアマネジャー)がケアプランを立案するときやモニタリングをするときに開催されます。
介護過程の評価は、利用者とその家族、介護福祉職等で行います。
障害者総合支援法におけるサービス等利用計画の作成などを行います。
利用者の満足度を踏まえて評価することは大切です。
評価基準は、介護計画を立案する段階で設定しておきます。
問題108 次の記述のうち、介護老人保健施設で多職種連携によるチームアプローチ(team approach)を実践するとき、介護福祉職が担う役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護福祉職は、利用者の生活に最も近い職種です。
そこで得られた利用者の生活状況の変化に関する情報を多職種に提供することは、介護福祉職の役割として適切です。
総合的な支援の方向性は、サービス担当者会議において決定されます。
サービス担当者会議を開催するのは、介護支援専門員になります。
必要な検査を指示するのは、医師になります。
介護福祉職が、ほかの職種の貢献度を評価することは適切ではありません。
次の事例を読んで、問題109、問題110について答えなさい
〔事例〕
Aさん(75歳、女性)は、一人暮らしで、身体機能に問題はない。70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えていた。認知症(dementia)の進行が疑われて、心配した友人が地域包括支援センターに相談した結果、Aさんは介護老人福祉施設に入所することになった。入所時のAさんの要介護度は3であった。
入所後、短期目標を、「施設に慣れ、安心して生活する(3か月)」と設定し、計画は順調に進んでいた。Aさんは施設の大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、ほかの利用者に大正琴を笑顔で教えたりしていた。ある日、クラブの終了後に、Aさんは部屋に戻らずに、エレベーターの前で立ち止まっていた。介護職員が声をかけると、Aさんが、「あの子たちが待っているの」と強い口調で言った。
問題109 大正琴クラブが終わった後のAさんの行動を解釈するために必要な情報として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
Aさんの行動を解釈するために必要な情報ではありません。
Aさんの行動を解釈するために必要な情報ではありません。
Aさんの認知症の症状によって、70歳まで地域のこどもたちに大正琴を教えていた過去と、現在の状況を混同した可能性があります。このことから、「あの子たちが待っているの」という発言は、Aさんの行動を解釈するために必要な情報として最も適切だといえます。
Aさんの行動を解釈するために必要な情報ではありません。
Aさんの行動を解釈するために必要な情報ではありません。
問題110 Aさんの状況から支援を見直すことになった。
次の記述のうち、新たな支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。
介護職員との関係を改善する必要性については、事例からは読み取れません。
入所前のAさんは身体機能に問題はなく、その後、変化があったという情報もないため適切ではありません。
大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、ほかの利用者に大正琴を教えていたことから、演奏できる自信を失ったとは事例からは読み取れません。
エレベータの前で立ち止まっていましたが、座りたいといった希望があるとは事例からは読み取れません。
70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えていた経験や、「あの子たちが待っているの」という発言、現在も施設の大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、他の利用者に大正琴を笑顔で教えていることからも、「大正琴を教える役割を持つ」ことは、新たな支援の方向性として最も適切です。
次の事例を読んで、問題111、問題112について答えなさい。
〔事例〕
Bさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、49歳のときに脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、左片麻痺で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。以前は大工で、手先が器用だったと言っている。
現在は就労継続支援B型事業所に通っている。短期目標を、「右手を使い、作業を自分ひとりで行える(3か月)」と設定し、製品を箱に入れる単純作業を任されていた。
ほかの利用者との人間関係も良好で、左片麻痺に合わせた作業台で、毎日の作業目標を達成していた。生活支援員には、「将来は手先を使う仕事に就きたい」と希望を話していた。 将来に向けて、生活支援員が新たに製品の組立て作業を提案すると、Bさんも喜んで受け入れた。初日に、「ひとりで頑張る」と始めたが、途中で何度も手が止まり、完成品に不備が見られた。生活支援員が声をかけると、「こんなの、できない」と大声を出した。
問111 生活支援員の声かけに対し、Bさんが大声を出した理由を解釈する視点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
ほかの利用者との人間関係も良好と事例に書かれていることから、Bさんが大声を出した理由を解釈する視点として適切ではありません。
Bさんは「将来は手先を使う仕事に就きたい」という希望があり、製品の組立て作業の提案にも喜んでいたことから、Bさんが大声を出した理由を解釈する視点として適切ではありません。
毎日の作業目標を達成していたこともあり、毎日の作業量がBさんが大声を出した理由を解釈する視点として適切ではありません。
製品の組立て作業は「ひとりで頑張る」と始めましたが、途中で何度も手が止まり、完成品に不備が見られ、「こんなの、できない」と大声を出したことから、製品の組立て作業の状況が、Bさんが大声を出した理由であると解釈することが適切です。
作業台は左片麻痺のBさ合わせたものであり、問題があったとは事例には書かれていないため、解釈する視点として適切ではありません。
問題112 Bさんに対するカンファレンス(conference)が開催され、短期目標を達成するための具体的な支援について見直すことになった。
次の記述のうち、見直した支援内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Bさんが自信を失ってしまうため、適切ではありません。
Bさんは左麻痺のため、左側に部品を置くことは適切ではありません。
高次脳機能障害のあるBさんにとって、完成までの手順を理解しやすいように示すことは適切な支援内容です。
脳の部分的な損傷により、その脳部位が担っていた機能が障害されること
記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害といった症状がみられる。
Bさんの短期目標は「右手を使い、作業を自分ひとりで行える」であるため、生活支援員が横に座り続けて作業内容を指示することで目標が達成できなくなるため、適切ではありません。
製品の組立て作業中に、途中で何度も手が止まり、完成品に不備が見られるため、作業を増やすことは適切ではありません。
問題113 事例研究を行うときに、遵守すべき倫理的配慮として、適切なものを1つ選びなさい。
事例研究では、対象者や家族に研究内容などを説明し、同意を得る必要があります。
同意は「文書」で得ることが望ましいです。
事例研究で個人情報を活用する際には、本人から同意を得たからといっても、本人が特定されないような配慮が必要です。
得られたデータは、積極的に活用することも必要です。
決められた期間が過ぎた場合や、データを利用する必要がなくなった場合は破棄する必要があります。
論文の一部であっても、引用する場合は論文タイトル、著者、引用元などを明示する必要があります。
事実を拡大解釈してはいけません。
<領域:総合問題>
総合問題(114~125)
(総合問題1)
次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
〔事例〕
Cさん(59歳、男性)は、妻(55歳)と二人暮らしであり、専業農家である。Cさんはおとなしい性格であったが、最近怒りやすくなったと妻は感じていた。Cさんは毎日同じ時間に同じコースを散歩している。ある日、散歩コースの途中にあり、昔からよく行く八百屋から、「Cさんが代金を支払わずに商品を持っていった。今回で2回目になる。お金を支払いにきてもらえないか」と妻に連絡があった。妻がCさんに確認したところ、悪いことをした認識がなかった。心配になった妻がCさんと病院に行くと、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断を受けた。妻は今後同じようなことが起きないように、Cさんの行動を常に見守り、外出を制限したが、疲労がたまり、今後の生活に不安を感じた。そこで、地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行い、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。
問題114 Cさんが八百屋でとった行動から考えられる状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。
脱抑制は、我慢することができずに社会的なルールを無視して行動するのが特徴的です。
・時計や看板が日に入ると読み上げる
・店のなかで欲しいものがあると持ち去る
・いきなり怒る
・急に立ち去るなど
記憶障害は、新しいことが覚えられない、思い出すことができないといった記憶に関する障害です。
感情失禁は、小さな刺激に対して、大きく泣き出したり、笑いだしたりするなど感情の制御ができなくなる症状です。
見当識障害は、「時間・場所・人物」といった見当識が障害されます。
「時間→場所→人物」の順番で障害されることが多いです。
遂行機能障害は、物事を手順通りに行ったり、計画したりすることができなくなる障害です。
問題115 Cさんの介護保険制度の利用に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
Cさんは59歳のため、第2号被保険者です。
第2号被保険者の利用者負担割合は、「1割」です。
第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険者が、医療保険を一緒に徴収します。
第1号被保険者の介護保険料を、支給している年金から天引きすること
介護保険サービスは、要介護認定の申請をしたその日から利用することができます。
要介護認定の結果は、申請日にさかのぼって有効となります。
要介護認定に、利用者の費用負担はありません。
介護保険サービスの種類によっては、1回単位で費用がかかるものがあります。
問題116 その後、妻に外出を制限されたCさんは不穏となった。困った妻が訪問介護員(ホームヘルパー)に相談したところ、「八百屋に事情を話して事前にお金を渡して、Cさんが品物を持ち去ったときは、渡したお金から商品代金を支払うようにお願いしてはどうか」とアドバイスを受けた。訪問介護員(ホームヘルパー)が意図したCさんへの関わりをICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に当てはめた記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
適切ではありません。
適切ではありません。
適切ではありません。
事例では、外出を制限されて社会への参加(参加)ができなくなり、Cさんは不穏になっています。
Cさんへのかかわりとして、八百屋さんに協力を依頼すること(環境因子)が適切です。
適切ではありません。
(総合問題2)
次の事例を読んで、問題117から問題119 までについて答えなさい。
〔事例〕
Dさん(70歳、男性)は、自宅で妻と二人暮らしで、年金収入で生活している。ある日、車を運転中に事故に遭い救急搬送された。医師からは、第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)と説明を受けた。Dさんは、入院中に要介護3の認定を受けた。 Dさんは、退院後は自宅で生活することを望んでいた。妻は一緒に暮らしたいと思うが、Dさんの身体状況を考えると不安を感じていた。介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「退院後は、在宅復帰を目的に、一定の期間、リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」とDさんに提案した。Dさんは妻と退院後の生活について話し合った結果、一定期間施設に入所して、その間に、自宅の住宅改修を行うことにして、介護支援専門員(ケアマネジャー)に居宅介護住宅改修費について相談した。
問題117 次のうち、Dさんが提案を受けた施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
適切ではありません。
養護老人ホーム
65歳以上で、環境上の理由および経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な人を入所させ、養護するとともに、必要な援助を行う施設
適切ではありません。
軽費老人ホーム
60歳以上の人に、無料または低額な料金で、食事の提供その他日常生活上必要な便宣を提供する施設
適切ではありません。
介護老人福祉施設
入所定員が30人以上の特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画にもとづいて、入浴・排泄・食事などの介護や日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行う施設。原則として、新規で入所できるのは要介護3以上となる。
介護老人保健施設は、在宅生活への復帰を目指す施設であり、Dさんが提案を受けた施設として適切です。
介護老人保健施設
施設サービス計画にもとづいて、看護、医学的管理のもとでの介護や機能訓練、その他の必要な医療や日常生活上の世話を行い、在宅生活への復帰をめざす施設。病院からの退院と在宅生活の復帰を結ぶ中間にある施設であることから中間施設とも呼ばれている。
適切ではありません。
介護医療院
2018(平成30)年4月に、長期的な療養を重視した介護療養型医療施設のおもな移行先として創設された施設。おもに長期にわたり療養が必要な要介護者を対象とし、施設サービス計画にもとづいて、療養上の管理、看護、医学的管理のもとでの介護や機能訓練、その他必要な医療や日常生活上の世話を行う。
問題118 次のうち、介護支援専門員(ケアマネジャー)がDさんに説明する居宅介護住宅改修費の支給限度基準額として、適切なものを1つ選びなさい。
適切ではありません。
適切ではありません。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は、一律20万円までとなっています。
住宅改修は原則として、要介護状態あるいは要支援状態になって1回しか保険給付を受けることができません。ただし、「転居した場合」「介護の必要の程度が3段階上がった場合」には、再度給付を受けることができます。
・手すりの取付け
・段差の解消
・すべりの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取替え
・洋式便器等への便器の取替え
・その他、住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
適切ではありません。
適切ではありません。
問題119 Dさんが施設入所してから3か月後、住宅改修を終えた自宅に戻ることになった。Dさんは自宅での生活を楽しみにしている。その一方で、不安も抱えていたため、担当の介護福祉士は、理学療法士と作業療法士に相談して、生活上の留意点を記載した冊子を作成して、Dさんに手渡した。 次の記述のうち、冊子の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
上肢の機能は維持されているため、スプーンの自助具は必要ないと考えられます。
通常の車椅子での座位が可能なため、リクライニング式車椅子を使用する必要はありません。
上肢を使って寝返りをすることができるため、エアーマットの使用は必要ないと考えられます。
上肢の機能は維持されているため、ボタンエイドの使用は必要ないと考えられます。
Dさんは車椅子での生活と考えられるため、事前に多機能トイレの場所を確認しておくことは適切です。
(総合問題3)
次の事例を読んで、問題120から問題122までについて答えなさい。
〔事例〕
Eさん(34歳、女性、障害支援区分3)は、特別支援学校の高等部を卒業後、週2回、生活介護を利用しながら自宅で生活している。Eさんはアテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(cerebral palsy)で不随意運動があり、首を振る動作が見られる。
食事は首の動きに合わせて、自助具を使って食べている。食事中は不随意運動が強く、食事が終わると、「首が痛い、しびれる」と言ってベッドに横になるときがある。
また、お茶を飲むときは取っ手つきのコップで飲んでいるが、コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきた。日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて、お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしている。 Eさんは、生活介護事業所で油絵を描くことを楽しみにしている。以前から隣町の油絵教室に通い技術を高めたいと話していた。そこでEさんは、「自宅から油絵教室に通うときの介助をお願いするにはどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。
問題120 Eさんの食事の様子から、今後、引き起こされる可能性が高いと考えられる二次障害として、最も適切なものを1つ選びなさい。
Eさんの食事の状況が直接影響する可能性は高くありません。
Eさんの食事の状況が直接影響する可能性は高くありません。
Eさんの食事の状況が直接影響する可能性は高くありません。
Eさんの食事の状況が直接影響する可能性は高くありません。
頚椎症性脊髄症は、頚椎部で脊髄が圧迫されることで、首や肩の痛み、四肢のしびれや麻痺などが見られます。
Eさんは食事中に首をふる不随意運動があり、すでに首の痛みとしびれが見られることからも今後、引き起こされる可能性が高いと考えられます。
問題121 Eさんがお茶を飲むときの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
首をふる不随意運動のあるEさんには適していません。
蓋がありこぼれにくく、ストローがあることで首を大きく曲げずに飲むことができ、首が左右に振れても影響が少ないため、適切です。
首をふる不随意運動のあるEさんには適していません。
首への負担が軽減されていないため、適切ではありません。
Eさんは「自分のことは自分でやりたい」と考えているため、適切ではありません。
問題122 介護福祉職は、Eさんが隣町の油絵教室に通うことができるようにサービスを提案したいと考えている。 次のうち、Eさんが利用するサービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
自立生活援助は、障害者支援施設等から1人暮らしへの移行を希望する知的障害者や精神障害者等に、本人の意思を尊重した地域生活を支援するため、一定の期間にわたり、定期的な巡回訪問や随時の対応を行い、障害者の理解力、生活力等をおぎなう観点から適宣、適切な支援を行います。
療養介護は、医療と常時介護を必要とする人に、医療機関で機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理のもとにおける介護および日常生活の世話を行います。
移動支援とは、移動が困難な人に対してガイドヘルパーによって行われる地域生活支援事業です。
Eさんが利用するサービスとして適切です。
自立訓練は、自立した日常生活または社会生活ができるよう一定期間、身体機能または生活能力の向上のために必要な訓練を行います。
同行援護は、視覚障害により、移動にいちじるしい困難がある人等に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、 移動の援護等の外出支援を行います。
(総合問題4)
次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。
〔事例〕
Fさん(20歳、男性)は、自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)と重度の知的障害があり、自宅で母親(50歳)、姉(25歳)と3人で暮らしている。
Fさんは生活介護事業所を利用している。事業所では比較的落ち着いているが、自宅に帰ってくると母親に対してかみつきや頭突きをすることがあった。また、自分で頭をたたくなどの自傷行為もたびたび見られる。
仕事をしている母親に代わり、小さい頃から食事や排泄の介護をしている姉は、これまでFさんの行動を止めることができていたが、最近ではからだが大きくなり力も強くなって、母親と協力しても止めることが難しくなっていた。
家族で今後のことを考えた結果、Fさんは障害者支援施設に入所することになった。
問題123 次のうち、Fさんが自宅に帰ってきたときの状態に該当するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
Fさんの状態には該当しません。
学習障害
全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態
Fさんの状態には該当しません。
注意欠陥多動性障害
発達障害の一種で、年齢に見合わない「不注意」、好きなこと以外に対する集中力がなくほとんど関心や興味を示さない「多動性」、思いついたことをよく考えずに即座に行動に移してしまう「衝動性」が見られる障害
Fさんの状態には該当しません。
高次脳機能障害
脳の部分的な損傷により、その脳部位が担っていた機能が障害されること
強度行動障害は、
強度行動障害
自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のこと
Fさんの状態には該当しません。
気分障害
気分あるいは感情に大きな変化がみられる精神疾患。
抑うつ的な症状のみを認めるものをうつ病、気分高揚的な症状のみを認めるものを躁病、両方の症状をくり返すものを躁うつ病と呼んでいます。
問題124 Fさんが入所してからも月1、2回は、姉が施設を訪ね、Fさんの世話をしている。
ある日、担当の介護福祉職が姉に声をかけると、「小学生の頃から、学校が終わると友だちと遊ばずにまっすぐ家に帰り、母親に代わって、弟の世話をしてきた。今は、弟を見捨てたようで、申し訳ない」などと話す。
介護福祉職の姉への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
小学生の頃からFさんの介護をしている姉の悩みや不安を無視した対応となっているため適切ではありません。
自宅でのFさんの様子や、施設に入所を決めた家族の決断を否定するような対応となっているため適切ではありません。
姉が行ってきたFさんに対する介護をねぎらい、共感する対応ができています。
Fさんに対して申し訳ないと思っている姉の思いを無視した対応となっているため適切ではありません。
在宅ケアが難しくなったため、施設に入所していることから、戻ることは適切ではありません。
問題125 Fさんが施設に入所して1年が経った。介護福祉職は、Fさん、母親、姉と共にこれまでの生活と支援を振り返り、当面、施設で安定した生活が送れるように検討した。
次のうち、Fさんの支援を修正するときに利用するサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。
適切ではありません。
地域定着支援
地域相談支援の1つであり、地域において単身で生活する障害者に対して、常時の連絡体制を確保し、障害の特性などから生じた緊急事態などの場合の相談などを行う
計画相談支援
サービス等利用計画案を作成する「サービス利用支援」とサービス等利用計画の実施状況の把握 (モニタリング)をする「継続サービス利用支援」の2つに分類される
適切ではありません。
地域移行支援
地域相談支援の1つであり、障害者支援施設や精神科病院などから地域生活へ移行するための重点的な支援を必要とす
る者に対する住居の確保などに関する相談などを行う
基幹相談支援というサービスはありません。
適切ではありません。
基本相談支援
地域相談支援の1つであり、障害者支援施設や精神科病院などから地域生活へ移行するための重点的な支援を必要とす
る者に対する住居の確保などに関する相談などを行う