第38回 筆記試験日 2026年1月25日(日)

【1-2】介護福祉の歴史【A:介護の基本】

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日本における介護の歴史

介護福祉の歴史について、まずは年表で確認しましょう。

1960年代

1963年 老人福祉法の成立

1970年代 介護サービスの量的向上

1970年 社会福祉施設の緊急整備について

1973年 老人医療費支給制度

1980年代 介護サービスの質的向上

1983年 老人保健法の実施

1987年 社会福祉士及び介護福祉士法の成立

1989年 ゴールドプランの策定

1990年代

1990年 老人福祉法等の一部を改正する法律

1994年 新ゴールドプランの策定

1999年 ゴールドプラン21の策定

2000年以降

2000年 介護保険法の施行

▼年代ごとに詳しく見ていきましょう▼

終戦後

終戦後、日本では多くの人が食料や住宅、仕事を失い、国全体が貧困となっていました。

その中で、国民の生活を保障するために1946年に「(旧)生活保護法」が制定されました。

さらには、戦争孤児への対応策として1947年に「児童福祉法」

戦争によって身体障害となった人の更生を目的として1949年に「身体障害者福祉法」

1950年には、「(旧)生活保護法」の問題点を改善した「(現)生活保護法」が制定されました。

これら3つの法律は「福祉三法」と呼ばれています。

福祉三法

「生活保護法」(1946年制定→1950年改正)

「児童福祉法」(1947年)

「身体障害者福祉法」(1949年)

また、「(現)生活保護法」において、養老院は養老施設へと名称が変更されました。

当時、養老施設に入所する人のほとんどが貧困で、生活保護が必要とされる高齢者となっていました。

1960年代

児童福祉法では、18歳未満の知的障害児が対象となっていなかったため、1960年に「精神薄弱者福祉法」が制定されました。(現在は「知的障害者福祉法」に名称が変わりました。)

1963年には、「老人福祉法」が制定され、「養老施設」は「特別養護老人ホーム」「養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」へと細分化されました。

1964年には、戦争で夫を亡くした人の生活を安定させるために、「母子福祉法」が制定されました。

これら3つの法律に福祉三法を加えて、「福祉六法」と呼ばれています。

福祉六法

「生活保護法」(1946年制定→1950年改正)

「児童福祉法」(1947年)

「身体障害者福祉法」(1949年)

  +

「精神薄弱者福祉法」(1960年) ※現在の「知的障害者福祉法」

「老人福祉法」(1963年) 

「母子福祉法」(1964年) ※現在の「母子及び父子並びに寡婦福祉法」

特に老人福祉法は、社会的に介護への対応が始まった重要な法律になります。

介護を行うために、特別養護老人ホームと老人家庭奉仕員が決められました。

老人家庭奉仕員は、現在の訪問介護員になります。

1970年代

特別養護老人ホームでは、収容人数が足りないなど社会福祉施設を拡充する必要がありました。

これに対応するために、老人福祉施設の収容人数の整備が図られました。

また、「老人福祉法」が改正され、1973年に「老人医療費支給制度」がはじまりました。

これにより、70歳以上の老人の医療費が無料となりました。

この年は「福祉元年」と呼ばれています。

ほかにも、在宅サービスを拡充するために1978年に「ショートステイ」、1979年に「デイサービス」が創設されました。

これは、国の補助事業として、市町村が主体となって実施されました。

老人医療費支給制度によって、医療費は増大し、特別養護老人ホームに入所できない高齢者を病院に入院させるという「社会的入院」にもつながりました。

1980年代

  • 社会福祉士及び介護福祉士法の成立
  • 老人医療費の有料化
  • 老人保健施設の創設

増加する医療費に対応するために、1982年に「老人保健法(現:高齢者の医療の確保に関する法律)」が制定されました。

これによって、70歳以上の老人の医療費については自己負担が導入され、老人の医療費は有料となりました。

また、1986年には「老人保健法」が改正され、「老人保健施設(現:介護老人保健施設)」が創設されました。

医療と介護を一体的に提供できる施設としてスタートしました。

1987年には、「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され、介護分野初の国家資格となる「介護福祉士」が誕生しました。

1990年代

1990年に「老人福祉法等の一部を改正する法律」が公布されました。

これまでは国の補助事業として行われていたショートステイやデイサービスといった在宅サービスが、老人福祉施設として明確に位置づけられました。

1994年には「新ゴールドプラン」が策定されました。

1999年には、新ゴールドプランを引き継ぐ形で「ゴールドプラン21」が策定されました。

2000年からの5年間で、基本的な目標が4つ掲げられました。

ゴールドプラン21の基本的な目標

・活力ある高齢者像の構築

・高齢者の尊厳の確保と自立支援

・支え合う地域社会の形成

・利用者から信頼される介護サービスの確立

2000年代

1997年に成立した「介護保険法」は、200年に施行されました。

介護保険法が成立した背景として、

  • 高齢化に伴う高齢者の増加
  • 核家族化の進行
  • 介護離職の増加

などが挙げられます。

こうした中で、家族の負担を減らし、社会全体で高齢者を支えることを目的として、介護保険制度が創設されました。

介護福祉士の成り立ち

1987年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され、介護福祉士について定義がされました。

その後も介護ニーズの変化に対応するために、介護福祉士の定義も改正されてきました。

これまでに行われた2回の改正の内容について、確認しましょう。

介護福祉士の行う「介護」の内容の変遷

1987年制定 入浴、排泄、食事その他の介護

介護の仕事は、身体介護を中心に考えられていました。

2007年改正 心身の状況に応じた介護

身体介護だけでなく、精神面のサポートも含まれました。

2011年改正 「心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む)

医療的ケアが、介護の内容に追加されました。

(略)

2 この法律において「介護福祉士」とは、第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。

社会福祉士及び介護福祉士法

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