第36回 筆記試験日 2024年1月28日(日)

【4-4-5】自立と生活支援

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家族、地域との関わり

利用者のことを考えるうえで、家族の存在は欠かせません。

利用者とその家族は強い絆で結びついており、お互いの関係は生活の質にも影響してきます。

近くにいて理解してくれる家族もいれば、距離をおいたり、尊厳を傷つけるような対応をする家族もいるかもしれません。

利用者一人ひとりに合った「個別ケア」を実践するためにも、利用者だけでなく、その家族についてもよく知る必要があります。

一方で、家族にもそれぞれの生活があります。

家族の中で介護が必要な人がいることで、これまでの生活リズムや役割に変化が生じ、家族内のバランスが崩れやすくなります。

このバランスを維持するためにも、家族に対応できることは何か、地域のサポートや必要な介護サービスは何か、考える必要があります。

介護福祉職は、地域の様々な専門機関や多職種と連携をしながら、利用者や家族を支援していきます。

家族が地域で孤立しないように支援することも大切です。

生活環境の整備

安心・安全に暮らせることは、自分らしく生きていくうえで、必要不可欠です。

生活の環境について、3つの側面から見ていきます。

物理的環境

安心・安全な環境

住居のある場所や、住居自体が大雨や地震といった自然災害からある程度守られていることが大切です。

介護的な環境

介護の視点では、住居の中についてもよく考えなければいけません。

安全に暮らしていくためには、十分なスペースの確保や、段差の解消といった対応をする必要があります。

利用者が持っている力を引き出すためには、ドアや手すりなどをその人の状態に合わせて設置することも必要です。

快適な環境

室内の温度管理、証明の調整、利用者の好みに合わせた環境であることも大切です。

心理的環境

安心感を持てる、快適であることが大切です。

特に家族との交流が感じられる状態は、大きな安心感を生み出します。

プライバシー確保と同時に、家族とのコミュニケーションが取れるような環境を整えましょう。

また、介護が必要な状態になったとしても、これまでと同じような環境で過ごすことは、精神的な安らぎを生み出します。

これまで使用してきた家具や家電、こだわりの生活用品が身近な場所にあることは、自分らしさを感じたり、安心感を感じる機会になります。

社会的環境

家族との交流だけでなく、地域社会との関わりも大切です。

必要な情報へのアクセスができることや、社会参加のための手段(移動や支援など)が確保されていることなどが挙げられます。

外出を支援するサービスとして、ボランティアやガイドヘルパーによるサポート、交通機関の料金割引、介護タクシーといった移動手段などがあります。

バリアフリー、ユニバーサルデザインの考え方

バリアフリーとユニバーサルデザインは混同されることが多いですが、発案されたきっかけや背景は大きく違います。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違いについて見ていきましょう。

バリアフリー

バリアフリー

障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去すること。

もともと住宅建築用語で登場したため、段差などの物理的障壁の除去を指すことが多いですが、

より広く障害者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味でも使用されます。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザイン

あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。

障害者だったロナルド・メイスが、バリアフリー対応設備の「障害者だけの特別扱い」に嫌気がさして、

最初から多くの方に使いやすいものを作る設計手法として発明されました。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違い

2つの違いを、具体例で考えてみます。

建物の玄関前に段差があるとします。

バリアフリーでは、玄関前にある段差にスロープを付けます。

ユニバーサルデザインでは、設計時点からスロープを計画し、作りあげます。

完成したものはスロープの付いた同じ形状なので、混同されやすいです。

バリアフリーユニバーサル
デザイン
思想・発想生活に障害となる
物理的な障壁の削除
多くの方に使いやすい
デザイン手法
対象者障害者・高齢者全ての人
(個人差や国籍の違いなどに配慮)
普及スタイル行政主導民間主導
バリアフリーとユニバーサルデザインの違い

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