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リハビリテーションとは
リハビリテーションと聞くと、怪我や病気をした後に行う機能を回復させるための訓練を想像する人も多いと思いますが、本来の言葉の意味とは少し異なります。
「リハビリテーション」(Rehabilitation)という言葉は、
re(再び) habilis(適応) -ation(すること)
から成り立っています。
つまり、単なる機能回復ではなく、「人間らしく生きる権利の回復」や「自分らしく生きること」が重要で、そのために行われるすべての活動がリハビリテーションになります。
リハビリテーション
「権利の回復」「名誉の回復」
リハビリテーションの理念は、その人らしい生活を取り戻す、その人らしく生きる権利を回復するという意味で「全人間的復権」と表現されることもあります。
リハビリテーションの歴史
時代とともにリハビリテーションの考え方も変化してきました。
1960年代に、アメリカ・カリフォルニア州の重度の障害がある学生たちが中心となって行った抗議運動。
大学キャンパス内のバリアフリー化を求めたほか、自立生活支援サービスのプログラムの3原則を提唱した。
- 障害者のニーズを最も知っているのは障害者自身である。
- 障害者のニーズは、さまざまなサービスを用意して、総合的なプログラムによって効果的となる。
- 障害者は、住んでいるコミュニティーの中にできるだけ統合されるべきである。
この運動は全米へと広がり、これまでの専門家が障害の治療をめざすという「医療モデル」から、障害者自身が自立した社会生活をするために必要なサービスを利用し、自己決定をしていく「(自立)生活モデル」(または「社会モデル」)に変えていくべきであると考えられるようになりました。
1960年代に、デンマークで始まった知的障害者への援助方法の改善を要求した運動から始まった考え方。
1951年に結成された知的障害児親の会から、以下の願いがありました。
- 1500人収容する大型施設を、20~30人の小規模な施設にすること
- 社会から分離されている施設を、親や保護者の生活する地域に作ること
- 障害のない子どもたちと同じような教育を受ける機会を作ること
デンマークの社会省で働いていたバンク-ミケルセンは、知的障害児の親たちからの願いを象徴的に表現する言葉として「ノーマライゼーション」を採用しました。
また、1959年には世界で初めて「ノーマライゼーション」という言葉が用いられた「知的障害者福祉法」がデンマークで制定されました。
「障害があっても地域で地域の資源を利用し,市民が包み込んだ共生社会を目指す」という理念。
1994年にスペイン・サラマンカで開催されたユネスコの「特別ニーズ教育世界会議」で採択し、宣言された「サラマンカ声明」によって注目を集めました。
リハビリテーションは専門職が提供するだけではありません。
日常の生活行動や動作を通じて、維持・改善することもできます。
転倒などのリスクに注意しながら、安全を確保するために利用者の動作の特徴や注意点、環境について専門職と連携しながら検討する必要があります。