第36回 筆記試験日 2024年1月28日(日)

【3-6-5】貧困と生活困窮に関する制度

生活保護法の目的

生活保護制度

資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度

生活保護法は、日本国憲法第25条に規定されている「生存権」の理念に基づいています。

日本国憲法第25条「生存権」

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

生活保護法には、4つの基本原理と4つの原則が規定されています。

4つの基本原理

この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

国がその責任において、生活保護を行う

すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

すべての国民は、要件を満たす限り、無差別平等に保護を受けることができる

この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

健康で文化的な生活水準を維持することができる「最低限度の生活」が保障される

保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

利用できる資産や能力などを活用することが前提である。保護はそれを補足するために行われる。

4つの原則

保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

申請に基づいて開始される。

保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

厚生労働大臣が定める基準をもとに、不足分をおぎなう程度に行う。

保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。

個人や世帯の実態に合わせて行う。

保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。

世帯を単位として、保護の必要性と程度を判断する。ただし、個人を単位とする場合もある。

保護の種類と内容

生活保護は、8つの種類があります。

支給方法は、現物給付金銭給付(現金給付)があります。

生活保護の種類

種類内容給付方法
生活扶助日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費など)金銭給付
教育扶助義務教育に必要な学用品などの費用金銭給付
住宅扶助家賃などの費用金銭給付
出産扶助出産に必要な費用金銭給付
生業扶助就労に必要な技能の修得などにかかる費用金銭給付
葬祭扶助葬式に必要な費用金銭給付
医療扶助医療サービスの費用現物給付
介護扶助介護サービスの費用現物給付

介護保険の保険料は、サービスを利用していなくても毎月納めるため「生活費」と考え、「生活扶助」になります。

保護の実施機関と実施体制

生活保護の実施機関を確認しましょう。

生活保護の実施機関

実施機関対象となる市町村
市の福祉事務所市(設置は義務)999
町村の福祉事務所福祉事務所を設置している町村46
都道府県の福祉事務所福祉事務所を設置していない町村205

生活保護の業務は、社会福祉主事の資格を持っている現業員(ケースワーカー)が行います。

現業員は、市町村の事務所では非保護世帯80世帯に対して1人、都道府県の事務所では65世帯に1人を標準として配置されています。

保護費は、国が75%、実施主体が25%を負担しています。

生活困窮者自立支援法の概要

生活困窮者自立支援制度

経済的に困窮し最低限度の生活を維持することができなくなるおそれがある方へ包括的な支援を行う制度

ここでの生活困窮者とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいいます。

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